ネット動画だけでテレビを観なくなった若者というのは幻想なのか?
近年、「若者はスマホだけでテレビを観なくなった」という意見が一般的になっています。しかし、この見解は現実の状況を完全には反映していないかもしれません。実際には、若者たちは依然として様々なデバイスを使ってテレビコンテンツを楽しんでいるように思えます。
この表題の内容に気が付いたのは、有名な俳優、アイドル、タレント、お笑い芸人など、ネット動画だけでは観られないコンテンツの情報をやんわりですが認知しているのです。
「今でも若者だってテレビは観てるじゃん」
という内容に加えて、ちょっと気になった事を少しだけ掘り下げて書こうと思います。
人気のテレビ番組はTVerで知る
若者の視聴行動は、単にスマホだけに限定されているわけではありません。彼らはスマホ、タブレット、パソコン、そして伝統的なテレビを含む複数のデバイスを利用しています。特に、スマホは外出時や移動中に便利ですが、家にいる時には大画面のテレビやパソコンで視聴することが一般的。
これはTVerなどの日本の主要な民間放送局(日本テレビ、テレビ朝日、TBSテレビ、テレビ東京、フジテレビ)が共同で運営する無料の動画配信サービスを2015年に開始し、主に放送局が制作したテレビ番組の見逃し配信を提供している事で、一週間以内であれば殆どのドラマやバラエティー番組を観ることが出来るようになってから再びテレビ番組に目を向けられるきっかけになった気がします。
映画館はオワコン?でもライブビューイングなら?
若者はコンテンツの種類に応じて視聴デバイスを使い分けています。例えば、短い動画やソーシャルメディアのコンテンツはスマホで手軽に楽しむ一方で、映画やドラマ、スポーツの試合などの長時間コンテンツは、より大きな画面で見ることを好みます。このように、スマホが主要な視聴デバイスであるという認識は誤解なのかもしれません。
多感な時期に色々なものに触れたいというのは誰にでもあったこと。その証拠に、映画料金が高いと言う方もいれば、上映内容がライブビューイングだったとしたらどうなのでしょう?動画配信サービスでは得られない貴重な体験を求める意味では、劇場ですら多様性を見出すコンテンツを提供してくれている時代となっており、その意味では情報収集に長ける若者がこれをしらない筈はありませんからね。
ついでにテレビという逆転現象
さらに、ストリーミングサービスの普及により、若者の視聴スタイルはますます多様化しています。これらのサービスはスマホでも視聴可能ですが、多くの場合、テレビやパソコンで視聴する方が快適です。例えば、NetflixやAmazon Prime Videoなどのプラットフォームは、スマートテレビやストリーミングデバイスを通じて視聴されることが多く、スマホだけに依存しているわけではありません。
皮肉なモノで、現在テレビはスマートフォンよりも安価に購入する事が可能な世の中になっており、40インチサイズであっても国産で2万円台で購入出来るものが多くなっており、大画面であればゲームやストリーミング再生機器のついでにテレビを観るという逆転現象が起こっているのかもしれません。
なにせ、テレビの視聴って無料なんですから、所持したら繋がない理由はありませんからね。
高齢者がネットにシフトしてるじゃん
そして意外なことに、近年では高齢者もテレビからネット動画にシフトする動きが見られます。かつてはテレビが主要な娯楽の一つであった高齢者も、インターネットの普及とともに、YouTubeやNetflixなどのストリーミングサービスを利用するようになっています。これは、スマートテレビやタブレットの操作が容易になったこと、またリタイア後の時間を使って新しい技術に触れる機会が増えたことが一因かもしれません。
特に、趣味や興味に合わせたコンテンツを選べる自由度の高さが、高齢者にとっても魅力的に映っています。これにより、テレビとネット動画の境界が曖昧になり、世代を超えた視聴スタイルの変化が進んでいるのです。
この辺りは直にお客様宅にお伺いしている当店が目の当たりにしている事ではありますが、テレビの前に机を置いて、そこにノートパソコンをおいて、リクライニング椅子に座ってのんびりと好きな動画を観ながらテレビを視聴されている光景を多数お見かけ致します。
テレビは【ながら見】で、パソコンで【動画】を見ている
なんて事は、結局は老若男女は関係ないんですよ、時間は平等にあってその時間を有効にどう過ごすかにあると考えれば、自ずとこのようなライフスタイルにシフトするんじゃないですかね。
時代はタイパとコスパとウェルパ
若者がスマホだけでテレビを観なくなったというのは、必ずしも真実ではありません。彼らは視聴シーンやコンテンツに応じて適切なデバイスを選び、依然として多様なデバイスを使い分けています。スマホはその一部であり、全てではありません。さらに、高齢者もネット動画にシフトする動きが見られ、視聴スタイルは世代を超えて多様化しています。実際には、若者も高齢者も様々なデバイスを活用して、豊かな視聴体験を楽しんでいるのです。
その中でも近年、消費者の行動は「コスパ(コストパフォーマンス)」や「タイパ(タイムパフォーマンス)」を重視する傾向が強まっています。コスパは、価格に見合った便益が得られるかどうか、タイパは、時間の投入に見合った結果が得られるかどうかを評価する指標です。しかし、新たな価値概念として「ウェルパ(ウェルビーイング・パフォーマンス)」が注目され始めています。
ウェルパとは、電通未来事業創研の立木学之さんが提唱する概念です。ウェルビーイングとは、心身が満たされ、生き生きと健康で過ごせる状態を指します。つまり、消費行動やサービス利用が、自分自身や社会のウェルビーイングに寄与するかどうかが評価の基準となるそうです。
例えばコンビニジムやチョコザップといったサービスがその好例です。これらはコスパやタイパを追求するだけでなく、日常生活における健康維持や心身のリフレッシュをもたらすことで、ウェルパを実現しています。また、睡眠の質を改善する「ヤクルト1000」のヒットも、タイパとウェルパの両方の要素を満たしているとの事です( 次のトレンド「ウェルパ」はコスパやタイパを包含 お金より「自分のための時間」に価値 から引用 )。
若者以上に限りある時間を有意義に過ごす方法を知っているのが高齢者なんですよね。価値観が違う世代だと思えて実は同じだったりします、という例をご紹介しました。