
先日、誕生日を迎えましたので「そろそろ免許の更新か…」と思いながら、警察署へ向かう前に何気なく調べてみたんです。すると、オンライン講習を受けるにはマイナンバーカードと免許証の“紐付け”が必要だというではありませんか。
「なるほど、今はそんな時代か」と思いつつ、出勤前の時間をぬって警察署へ立ち寄ることにしました。ところが行ってみて驚きました。
整理券を取ると――なんと25組待ち。
月曜の朝9時にこれですよ。「みんな考えることは一緒か…」と苦笑いしながら待合室でぼんやり過ごしていると、ようやく呼ばれたのが9時半ごろ。
思いがけず「リアル講習」へ突入
手続きの窓口で、更新ハガキを出して事情を説明すると、担当の方が丁寧に流れをくみ取ってくれました。
「本日、講習も受けていかれますか?」
思わず「えっ、今日ですか?」と聞き返してしまいました。しかしその場の空気に押されて、「じゃあ…お願いします」と答えてしまった私。
結果――
オンライン講習を受ける前に、リアル講習を受けてしまうという、なんとも滑稽な展開に。
自分でも笑ってしまいました。
一般講習の1時間、眠気との戦い
実は私、数年前にスピード違反をやらかしてしまってまして。それ以来の更新講習でした。違反講習ではないものの、一般講習という1時間の受講が必要です。
正直に言うと、「オンラインで受けられれば時短になる」と思っていました。でも気づけば教室の椅子に座って、スライドを見ながらうつらうつら……。
「眠い…でも、せっかくだからちゃんと聞こう」と自分を奮い立たせながら、なんとか1時間をやり遂げました。終わった頃には、なぜか妙な達成感。「やっぱり人の声って、直接聞くと違うな」と思ったんです。
紐付けをした人は意外と少ない
今回、警察署で感じたことがありました。
マイナンバーカードと免許証を紐付ける人が、意外と少ないということです。
私が待っている間も、「紐付けはしません」という人の方が多かった。理由はおそらくシンプルで、「面倒くさいから」。
でも、私の場合は少し違いました。ITの仕事をしていることもあり、「実際にやってみて、どう便利になるか知りたい」という興味が勝ったんです。
人柱のつもりでやってみた結果
実際に紐付けをしてみて思ったのは――
「あまり便利じゃない」ということ。
身分証明書としては確かに一本化できてスマートですが、それ以外の恩恵はほとんど感じません。
銀行、税務署、医療機関、年金、国保……全部マイナンバーでつながる世界。たしかに効率的かもしれませんが、どこかで「丸裸にされているような」落ち着かなさもありました。
とはいえ、「自分が実験台になるなら、それも悪くない」と思えるのが私の性分です。もしこれで何か不便を感じることがあれば、同じように悩む誰かに伝えられる――そう思っているんです。
やっぱり“人の声”で受ける講習の重み
今回の講習を通して、強く感じたことがあります。オンライン講習も便利だけど、人の声で聞く教えには、重みがあるということです。
スクリーン越しの映像よりも、その場で話す教官の表情や、語気の強さ、実際に起きた事故の話を聞いたときの胸の痛み――それらがじかに心に刺さってくる。
「運転中に少し気を抜くだけで、人生が変わる」
そんな一言を聞いた瞬間、眠気なんて吹き飛んでしまいました。
便利さの中にある「人の温度」
今は何でもオンライン。
買い物も、手続きも、講習までも。けれど、人と人が同じ空間で交わす“温度”は、どんなテクノロジーにも置き換えられないのだと改めて感じました。
次回の更新のとき、たぶん私はまたリアル講習を受けると思います。面倒でも、やっぱりそこに「学び」があるから。
そして何より、人の声で、心の奥に“警笛”を鳴らしてもらう時間こそ、安全運転に欠かせない大切な瞬間だと思うのです。
マイナンバーとの紐付けも、便利さを求めた結果かもしれません。でも、どんなにデジタルが進化しても、人の心が動くのは“人”と関わった瞬間だと、私は信じています。
今回の更新講習は、まるで人生の縮図のようでした。
効率よりも、丁寧さ。
手間よりも、温かさ。
そんな原点を思い出させてくれた、ちょっと不思議で、少し眠くて、でも心に残る一日でした。