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パソコンを水で洗う?動画の世界と現実のギャップ

海外動画に衝撃を受けたあの日

最近、TikTokやYouTubeショートを眺めていると、妙に目を引く動画が流れてきます。古~いパソコンを丸ごと水で洗い、その後乾燥させて組み立て直し、電源オン!というもの。いやいや、水で洗うってどうなのよ…と突っ込みたくなるのですが、見ている分にはなかなか面白いんですよね。

20年くらい前の埃だらけのマシンが、水でピカピカにされて蘇る様子は、ある意味で爽快感があります。まるで泥だらけの靴を川でジャブジャブ洗って新品のように見せる感覚に近いでしょうか。

実際にやるのはおすすめしない理由

ただ、現実的にはおすすめできません。理由は単純、「水だから」です。電子部品に水分は天敵。完全に乾燥させても、細かい部位には潤滑や油分が必要で、水洗いだけでは逆に寿命を縮める可能性もあります。

私は実際に、中古パーツの清掃で“水”を使うことがあります。ただし、その後はIPA(無水エタノール)で仕上げ、必要に応じてシリコンオイルや接点復活剤、グリスを塗り直すなど、いわば「延命措置」のようなイメージです。これをサボると、後々トラブルを呼び込みかねません。

ここは動画の見せ場と、現場での現実の違いですね。

重点的に洗浄する場所と避ける場所

汚れが酷いのは、やはりマザーボードとグラフィックボード。この2つは、しっかり洗浄して仕上げをするだけで、通電リスクがぐっと減ります。

一方でファン類は要注意。プロペラ部分は綺麗にできますが、中のボールベアリング軸まで水をかけると寿命を縮める原因に。ここはグッと我慢して、外側の清掃に留めています。

全部ピカピカにしたい!」という気持ちと、「長持ちしてほしい」という思いの間で揺れる…そんな場面も多いんです。

清掃は価格に反映していない理由

よく聞かれるのが、「その清掃代、販売価格に入ってるんですか?」という質問。答えは「入っていません」。当店では、販売用の中古パソコンを扱う際、初期化だけで出すのではなく、独自に清掃をして“新品の匂い”に近づけています。前のオーナーさん特有の匂いが残っていると、持ち帰った時のテンションが下がりますからね。

正直、手間はかかります。でも「開けた瞬間にスッキリとした気持ちになる」ことこそが、次につながると思っているんです。

ノートパソコンの清掃はどうする?

じゃあノートパソコンも洗えるの?」と聞かれることもありますが、答えは「部分的に」です。特にキーボードは水洗いすると乾燥が難しく、ほぼ自爆行為。ここは軽い清掃で十分です。

実はノートの内部って、それほど汚れていないんです。よほど過酷な環境で使われていない限り、CPUクーラー周りの埃を取る程度で大きな効果があります。

一番汚れるのはBTOパソコン

私の経験上、ケース内が一番汚れているのはBTO(自作系)のパソコンです。理由は単純で、エアフローがしっかり設計されているからこそ、埃も均等に回って付着するんですよね。

せっかく冷却に強い設計なのに、その冷気と一緒に埃もお届けします!」みたいな皮肉な状況です。でも、それだけ内部の空気循環が良い証拠でもあるので、手を入れると長寿命につながります。

今後どう向き合うか

私自身も「水洗い清掃」をどこまでやるべきか、日々考えています。正直、リスクもありますからね。ただし、きちんと処理をすれば間違いなく延命効果はあります。中古パソコンは保証期間も短くなりがちですが、それでも「できるだけ長く快適に使ってほしい」という思いで工夫を重ねています。

パソコンを水で洗う動画を見て「すごい!」と感じた方へ。現実の修理現場では“見せ場”よりも“安心”が優先です。私はこれからも地道に清掃しつつ、少しでも長持ちする中古PCをお届けしていきたいと思っています。

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ピシコ
北海道苫小牧市でパソコンとiPhone修理業を営んでいます
三度の飯よりも修理好きでゲームとプラモが趣味
19匹多頭飼いするほどのハムスター好き
最近は筋トレでの減量にハマってます(←NEW)