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ネジを外しても取れない!?マウスコンピューター(MB-F521SD)キーボード交換の「罠」と、安全な取り外し方

ネジを外しても取れない!?マウスコンピューター(MB-F521SD)キーボード交換の「罠」と、安全な取り外し方

今回は、マウスコンピューターのノートパソコン「m-Book Fシリーズ(MB-F521SD-S2-A)」 の修理をご依頼いただきました。内容はシンプルに見える“キーボード交換”…のはずだったのですが、これがとんでもない曲者でした。

手順通りに進めてもまったく外れる気配がなく、私は正直、途中で「え、これ本当に外れるの?」と冷や汗をかいたほどです。

今回は、同じ型番を触る可能性がある方へ向けて、“キーボードが全然外れない問題” の実体験ベースの注意喚起としてまとめておきます。

通常の手順(ここまでは順調)

この機種(ベース筐体:Clevo N750WU)は、本来とても分解しやすい部類です。キーボードの取り外しも、一般的には以下の流れで簡単にできるはずでした。

  • 裏面のネジを外す
  • 「K/B(キーボード)」と刻印されたネジを外す
  • 押し出し穴から棒を差し込み、裏側からキーボードを押す
  • 表側でキーボードが浮いて、パカッと外れる

ここまでは“教科書通り”の世界。私も裏側の「K/B」ネジを確認し、しっかり取り外しました。「さて、あとは裏から軽く押せば浮き上がるはず…」そう思い、いつものように押し出し穴へ棒を入れて軽くトントン。

……全く動かない。

2. 想定外の事態「びくともしない」

通常なら、キーボードの端が“ピョコッ”と浮いてくるはずなんです。ところが今回は、本当に1ミリも動かない。「ネジ外し忘れた?」「構造が違う?」何度も裏面を見直してみても、やはり抜け漏れはなし。

でも、ここで無理にこじ開けると──薄型キーボードは簡単に曲がり、筐体まで割れる可能性があります。嫌な予感がして、隙間から慎重に覗き込むと…原因がはっきりしました。

「……これ、全面テープで固定されてるじゃん」

正直、この瞬間は笑いました。ネジ止め + 工業用強力テープというダブル固定。普通の固定とは“レベル”が違う粘着力です。

3. エタノールを使った摘出作業

こうなったら“力技”は完全にアウト。ここからは、粘着を弱めるための“剥離作業”に作戦変更です。

● 使用した手順

① エタノールを用意
隙間に少量ずつ無水エタノールを流し込み、粘着剤を弱らせます。

② ヘラで少しずつ切り込み
アルコールが浸透した箇所から、薄いプラスチックヘラをゆっくり差し込みます。

③ 「メリメリ」と少しずつ進める
一気に剥がすとキーボードが割れるため、数ミリ進む → エタノール追加 → 数ミリ進むという地道な作業を繰り返します。

こうして少しずつ攻めていくこと数十分。ようやく頑固な両面テープがすべて剥がれ、キーボードが“無傷”のまま取り外せました。この瞬間の開放感といったら、ちょっとしたハプニング映画のラストのようでした。

無理は禁物です

最後はフラットケーブルのロックを外し、新しいキーボードと交換して作業は完了。今回の教訓は、本当にこれに尽きます。

「教科書通りで外れないなら、無理に力を入れてはいけない」

DIYで挑戦されている方で、「裏のネジを全部外したのに取れない!」という状況になった場合、今回のように“強力な両面テープ”が裏で頑張っている可能性があります。

無理に引っ張ると壊れる危険性が高いため、アルコール・ヘラ・根気…この三つの武器を使って丁寧に作業を進めてください。

当店では、このような「一見簡単そうなのに、実は危険な作業」も経験と技術で安全に行っております。キーボード交換はもちろん、パソコンのトラブルでお困りの際は、ぜひお気軽にご相談ください。

今回の経験が、どこかの誰かの修理ミスを1つでも減らせますように。