
「公式サイトを信じすぎるな。それと、“名前”より“中身”を見ろ」たぶん当時の自分は、そんな忠告を笑って聞き流したと思います。
きっかけは「Wi-Fiが入らない」という、よくある相談
先日、組み上げたPCの初期設定中、「Wi-Fiがどうしても認識しない」という相談を受けました。
マザーボードは ASUS PRIME B550M-A WIFI II。型番だけ見れば、Wi-Fi内蔵。じゃあドライバーだな、ということで、いつも通り公式サイトからドライバーをダウンロード。
……ここまでは、よくある話です。
ASUS公式サイトでは「MediaTek」と書いてある
ASUSのサポートページを見ると、Wi-Fiドライバーとして真っ先に出てくるのが MediaTek。
「なるほど、MediaTekね」そう思って、何も疑わずにインストール。結果。
Wi-Fi、認識されません。
再起動してもダメ。デバイスマネージャーを見ても、どうも様子がおかしい。この瞬間、頭の中に浮かぶのは、「……あれ?」という、修理屋あるあるの違和感です。
デバイスマネージャーを見たら、Realtekだった
嫌な予感がして、デバイスマネージャーをじっくり確認。
すると出てきたのは――Realtek。
「あ、君、Realtekだったのね」公式ページのMediaTek表記とは、まったく違う結果です。つまり、
- 公式ページ:MediaTek
- 実際のWi-Fiチップ:Realtek
という、表記と実物が食い違っている状態でした。
なぜこんなことが起きるのか
これは推測も含みますが、
- 同じ型番でもロットや構成でWi-Fiチップが異なる
- ASUSのドライバー一覧ページが「全部入り」状態になっている
- しかもMediaTekの項目が一番上に表示される
この合わせ技で、「公式なのに、間違えやすい」という状況が生まれているように感じます。
正直、これ、一般の方が迷わないほうが無理です。
正解は「RealtekのWi-Fiドライバー」
結論から言うと、
PRIME B550M-A WIFI II では、Realtek製Wi-Fiチップが載っている個体が存在し、その場合は Realtek のドライバーを入れないと動かない
これに尽きます。ASUS公式ページでも「すべて表示(Show all)」を押すと、ちゃんと Realtek のドライバーが出てきます。ただし、自分から探しに行かないと見つかりません。
現場目線での対策
もし同じ状況になったら、次を確認してください。
まずやること
- デバイスマネージャーで無線LANデバイスを確認
- MediaTek なのか Realtek なのかを見る
ドライバー選び
- 表記ではなく 実際のチップ名を基準にする
- ASUS公式ページでも「すべて表示」を使う
これだけで、「Wi-Fiが出ない地獄」からは、だいたい抜けられます。
修理屋として、ちょっと思ったこと
公式サイトに書いてあるから正しい。昔は、そう信じていればよかった時代もありました。
でも今は、
- 同型番
- 同製品名
- 同公式ページ
でも、中身が違うことがある。
だからこそ、名前じゃなくて、実体を見る。この基本に、改めて立ち返る出来事でした。














