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Surface Pro 7が起動後すぐ落ちる?バッテリー交換でも直らなかった原因とは

ある日、「Surface Pro 7を起動するとロゴが表示された後、3秒くらいで電源が切れる」というご相談がありました。正直に言うと、この段階で嫌な予感がしていました。なぜなら、この症状、僕の修理人生の中でも、ややこしいランキング上位常連だからです。

そのSurfaceはお客様の大切な仕事用マシン。何としてもデータを救いたい。そんな使命感と、うまくいかなかったときにどうしようという焦りが、入り混じった状態で開梱作業を始めました。

Surface Pro 7の分解は、まるで人間ドック

Surface Pro 7の内部にアクセスするには、液晶パネルを剥がさなければなりません。これがまた繊細で、ちょっとでも気を抜くと液晶がバキッと割れてしまいます。まるで、内視鏡検査中にくしゃみをするようなものです。

幸い、今回は慎重に作業を進めた結果、無事に開梱成功。内部のバッテリーコネクタも外し、しばらく放電して再接続。

よし、これで直ってくれ。

期待を込めて電源ボタンを押すと、Microsoftのロゴが表示……そして3秒後、スッと落ちる。

――変わらない。

バッテリーを交換しても変化なし、そのとき感じたこと

ここまでやっても症状が改善しないとなると、次に疑うのはバッテリー自体の劣化。ならば、と新品のバッテリーを取り寄せ、交換作業に踏み切りました。

Surfaceの内部構造は本当にシビアで、ネジ一本緩めるだけでも神経を使います。ましてやバッテリー交換なんて、ちょっとした緊張感の連続。交換後、端子を確認し、発熱や接触不良がないかもチェックして、いざ再組み立て。そして電源ボタンを押してみた――。

やっぱり、同じように数秒で電源が落ちる。

正直、落胆しました。けれど、これで原因が絞られたとも言えます。そう、これはもうバッテリーの問題ではない。

問題はもっと奥深くに――記憶媒体の損傷か?

バッテリーの交換でも改善が見られない場合、次に疑うのは記憶媒体(SSD)や基板上の電源制御回路の不具合です。

Surface Pro 7は、見た目がスリムでスマートな反面、修理性が極めて低い製品です。記憶媒体は基板に直付けされているため、取り外して検証することすらできません。

つまり、SSD自体に何らかの損傷がある、あるいは電源制御チップやCPU周辺のトラブルが原因となっている可能性が極めて高いということ。ここまでくると、もう僕たち町の修理屋が手を出せる領域ではなくなってきます。

それでも、できる限りのことはやりたい

この症状、実はネットでもよく見かける厄介なやつです。

・完全放電で直った人もいれば、
・SSDや電源ICの故障だったケースもあり、
・最終的にマザーボード交換でしか直らなかった、という報告も。

だからこそ、まずはやれることをひとつずつ潰していく。今回も、分解・放電・バッテリー交換という工程を経て、判断の精度を高めることができました。

結果として、残念ながら改善には至りませんでしたが、少なくともお客様には「何が原因でないか」をはっきりお伝えできる。それもまた、修理屋の役目だと僕は思っています。

まとめ:あきらめないための一歩

今回のように、「一見軽そうに見えるけど奥が深い」症状って、パソコン修理の世界では日常茶飯事です。

放電で改善することもあれば、バッテリーの交換、さらには基板故障という重たい原因にたどり着くこともある。

大切なのは、“起動しないから終わり”ではなく、どうすれば救えるかを模索すること。僕たち修理屋がいるのは、そのためだと思っています。

Surface Pro 7のこの問題にぶつかった方。まずは落ち着いて、信頼できるお店や技術者に相談してみてください。そして、できることならデータのバックアップは日頃からしっかりと。過去の自分にも言ってやりたいくらいです。

今回のご依頼でも、全ての工程に対して真摯に向き合ったことで、「可能なこと」と「できなかったこと」をしっかり整理してお返しする準備が整いました。

あなたの大切なデータと日常が、また元通りになることを祈って。