
普段、私はできるだけ平日に作業を終わらせるようにしています。日曜日はなるべく自分の時間を取りたいという思いもあって、あまり出動することはないんです。ところが先日、LINEで「音が鳴らないんです」というご連絡をいただきました。
これは中古のBTOパソコンを販売させていただいたお客様からでした。
正直に言うと、説明を文字でやり取りするよりも、自分が直接お伺いして確認した方が早い。そう判断して、久しぶりの日曜日出動となったのです。
水洗いクリーニングした自信作だったのに
今回のお客様にお渡ししたパソコンは、販売前に内部を水洗いで丸ごと洗浄した1台。ホコリも汚れも落として、ピカピカの状態で仕上げたものです。正直、「これなら安心して使っていただける」と思えるくらい、自分の中では自信を持っていたパソコンでした。
だからこそ、「音が出ない」という連絡をいただいた時には、胸の奥が少し痛みました。自分がしっかり確認していなかったのではないか……そんな不安が頭をよぎったのです。

どのドライバーを入れても音が鳴らない
現地で確認を始めると、案の定ピンジャックからは音が出ません。リアルテックのドライバーを当ててもダメ。Windows標準のドライバーでもダメ。いくら試しても反応がなく、頭を抱えるしかありませんでした。
「ここまで試しても鳴らないなんて…」と、額にじんわり汗がにじみます。お客様の前で冷静を装いながらも、心の中ではかなり焦っていました。
苦肉の策、HDMIからの音声出力
最終的にたどり着いたのは、HDMIから音を出し、ディスプレイ側のピンジャック経由でスピーカーにつなぐという方法でした。「これなら音が出ますよ」とご案内すると、お客様は「それでいいですよ」と納得してくださいました。
ただ、私の心の中にはどうしても引っかかりが残ります。「情けないな…」と。お客様にご納得いただいたのに、自分の中で納得がいかないのです。
自分の確認不足を痛感する
思い返せば、最近の私は自分の環境でHDMI経由の音ばかり使っていました。だからこそ、販売時に「ピンジャックで音が出るか」という基本中の基本を確認しないまま、お渡ししてしまった。
本来なら一番最初にチェックすべき部分を怠っていた。それが原因でお客様に不便をかけてしまったのです。その瞬間、心の中で小さくため息をつきました。「自分はまだまだだな」と。
基本をおろそかにしないことの大切さ
今回の出来事は、私にとって大きな学びになりました。どれだけ技術を積み重ねても、どれだけ経験を積んでも、最後にものを言うのは「基本を怠らないこと」なのだと。
小さな確認を一つ飛ばすだけで、お客様に余計な不安や不便を与えてしまう。そんな当たり前のことを、改めて痛感しました。
反省と次へ
日曜日にお伺いして、結果的にはお客様にご満足いただけました。それは救いでした。でも、それ以上に私自身の心に残ったのは「もっと丁寧に確認しよう」という強い気持ちです。
パソコン修理や販売という仕事は、ただ技術を提供するだけではなく、人の信頼を預かる仕事でもあります。その信頼を裏切らないために、私は今日も一つひとつの基本を大切に積み重ねていこうと思います。