
今日は少し趣向を変えて、日々の修理の中でも印象深かった出来事をひとつご紹介したいと思います。
いつもは淡々とこなしている作業のようでいて、やっぱり「人の仕事」に携わるというのは気持ちが入るものです。
「とにかく立ち上げてほしい」――企業様からの一報
ある日、企業様からのご相談がありました。
「大事な業務システムが入っているので、とにかくこのパソコンを立ち上げてほしい」と。
こういうご依頼、実は少なくありません。
でも今回の機種は、なかなか骨のある相手でした。
パソコン自体は富士通製の法人向けモデル。
一見すると、事務作業には十分そうなデスクトップなのですが…。
最初の難関:壊れかけのハードディスク
電源を入れてもウンともスンとも言わない状態。
まず疑ったのはハードディスクの損傷でした。
これがまた…なかなかのギリギリライン。
幸いだったのは、物理的な損傷ではなく、セクター不良が始まっている程度だったこと。
パッと見ただけで「うわ、これはヤバい」とわかるタイプのディスクでしたが、なんとかクローンが通ったのは正直、運が良かった。
2.5インチHDDからSSDにデータをクローン。
ここは何とか突破。

起動しない原因は「たった2GB」のメモリだった
ところが、そこからが本番。
SSDに交換したにも関わらず、パソコンはビープ音を鳴らすばかりで起動しません。
こうなると次に疑うのはメモリです。
内部を開けてみて、思わず「えっ」と声が出ました。
法人用デスクトップなのに、搭載されているメモリはわずか2GB。

しかも、そのメモリに物理的な損傷が見られました。
なるほど…電源を入れるたびにカチカチ音が鳴るというご相談の意味が、ようやく腑に落ちました。
手持ちの8GBメモリに交換し、ようやく安定して起動。
ようやく「パソコン」としての姿を取り戻しました。
法人モデルの“徹底的なコストカット”に驚く
今回、本当に驚いたのは、富士通さんのコストカットっぷりです。
デスクトップパソコンで2.5インチのハードディスクを使っている時点で「おや?」と思いましたが、2GBのメモリというのは流石に…。
「これで業務を回してたのか…?」と、少しだけ胸が痛みました。
修理の本当の目的は「安心して使い続けてもらうこと」
こういった場合、私たちの仕事は「直せば終わり」ではありません。
ただ動かすだけでは意味がない。
そのあとも安心して使っていただけるかどうか
今回は修理費用を抑える代わりに、性能アップと安定性の確保を優先させていただきました。
壊れるその日まで、快適に。
そして「まだ使える」を、できるだけ長く。
そんな思いで、今回も工具を手に取りました。
最後に
パソコンの修理は、単なる機械の復旧ではありません。
それは、その人や会社の「仕事」や「日常」を、もう一度動かすこと。
これからも、そんな一台一台に向き合っていきたいと思います。
また、こうした修理の様子も少しずつご紹介できたら嬉しいです。