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2025年のPC買い替えは「義務」なのか「投資」なのか

2025年のPC買い替えは「義務」なのか「投資」なのか

PC市場はなぜ今こんなに盛り上がっているのか?

パソコンって正直もう伸びしろないんじゃない?」なんて言葉を数年前によく耳にしました。スマホやタブレットに押され気味で、PCはもはや “仕事道具” くらいにしか見られていなかったんです。ところが、コロナ禍で一気にリモートワークやオンライン学習が広がり、気がつけばPCが再び脚光を浴びています。その反動で一度冷え込んだ市場も、2024年以降から回復。2025年には世界的な出荷台数が前年比4%以上伸びるという予測まで出ています。

僕自身も日々修理やセットアップの現場に立っていて、「パソコンってもうオワコンじゃなかったの?」という空気が一気に変わってきたのを肌で感じています。

Windows 10サポート終了がもたらす「大きな波」

サポート終了日は2025年10月14日

この日付を聞いただけで、業界人はちょっと背筋が伸びます。Windows 10のサポートが切れることで、多くの企業は強制的にPCを買い替えざるを得ない状況に。
サポート切れのOSを使い続けるのは、雨漏りしている家に住み続けるようなもの。気づかぬうちに水が床下に広がり、ある日突然天井が抜ける…そんなイメージです。

実際に過去のケースでは、ウイルス感染で業務ファイルが一気に壊れるような事故も報告されています。「まあ大丈夫だろう」で済まないのが怖いところです。

有料延長サポート(ESU)の落とし穴

Microsoftは「どうしても今のPCを使いたいならお金を払えば延長できますよ」と言ってはくれています。ただ、このESUは決して安くない。しかも年々値上がりしていく見込みで、結局「新しいPCを買った方が安い」という結論に誘導されてしまうんです。ちょっと意地悪な商売に見えるかもしれませんが、これも彼らの戦略。僕らユーザーは「じゃあ買い替えるか…」と決断するしかないのです。

Windows 10のESU登録手順について調査した結果、誤解が含まれる点が確認されました。まず、WindowsバックアップやOneDriveを無効化する必要はなく、むしろ同期を有効にすることでESUの無償提供条件を満たせます。次に、Microsoft Rewardsの1,000ポイントを利用した登録方法は正規の手段であり有効です。また、1つのMicrosoftアカウントで最大10台のPCに適用可能ですが、各PCで個別に登録操作が必要です。ESUはあくまで一時的な延命策であり、最終的にはWindows 11やAI PCへの移行を見据えた準備が重要です。

Windows 11の壁と電子ゴミ問題

厳しすぎるハード要件

Windows 11にアップグレードしたくても、古いPCは要件を満たせないことが多いんです。CPUが古すぎたり、TPM 2.0が無かったり。せっかくまだ元気に動いているPCでも「君は門前払いだよ」と言われてしまうのはちょっと切ないですよね。

Windows 11への無償アップグレードには、CPU(1GHz以上64bit/2コア以上)、RAM4GB、ストレージ64GB、UEFI+セキュアブート、TPM2.0、DirectX12対応GPU、9インチ以上720p以上の画面などが必須条件です。要件を満たさないPCでも導入は可能ですが、更新配信対象外・動作不安定・保証対象外など深刻なリスクがあります。特に古いPCはTPM2.0やセキュアブート非対応が多く、買い替えが現実的選択肢です。診断には「PC正常性チェック」アプリが利用できます。

捨てられるパソコンたち

この結果、世界で数億台ものPCが廃棄される可能性があると試算されています。想像してみてください、それを全部積み重ねたら月の直径を超えるとか…。僕の工房にも「まだ動くのに捨てるしかない」という相談が絶えません。直す側としても歯がゆい気持ちになります。

新しい波「AI PC」の登場

「パソコンの性能がちょっと上がった」なんてレベルの話じゃありません。AIに特化したNPUという頭脳を持つ新しい世代のPC――それがAI PCです。

MicrosoftのCopilot+ PCなんて、その代表格ですね。過去の操作を全部記録して検索できる「リコール」機能や、落書きからリアルなイラストを生み出す「コクリエイター」。これまでの「パソコン=作業道具」というイメージを壊して、「パソコン=相棒」へと進化させているんです。

僕も初めてAI PCを触ったとき、「あ、これ仕事の流れが根本から変わるな」と直感しました。性能が理由で買い替えるんじゃなくて、「新しい体験が欲しいから買う」時代に入った感じです。

って、言うけどさ・・・

正直に言うと、こういう「AI PCすごい!」って宣伝を聞いても、ぶっちゃけ必要性はあまり感じませんね。「リコール」なんて過去の操作を全部記録するって聞こえは便利だけど、結局はプライバシーの塊みたいなもので、むしろ怖い気がします。

「コクリエイター」も、ちょっと遊びで絵を描く程度ならスマホアプリや既存のAIサービスで十分。結局、普段のWordやExcel、ネットサーフィンには全然関係ないんですよね。結局のところ、仕事や生活がAI PCじゃないと絶対に回らない人なんてごく一部。大多数のユーザーにとっては「今あるPCで十分」で、新しい体験とやらも「まあ別に無くても困らない」で終わっちゃうと思います。

追い打ちをかける8月のWindows 11アップデート不具合

深刻なSSDトラブル

さて、ここで厄介なニュース。2025年8月のWindows 11更新プログラム(KB5063878)が、SSDやHDDを認識不能にしてしまう不具合を引き起こしているんです。僕の元にも「アップデートしたらSSDが消えた!」という悲鳴のような相談が飛び込んできました。

大容量のゲームをインストールしたり動画編集をしている人ほど、被害を受けやすいと言われています。これはもう、趣味も仕事も丸ごとストップしてしまう大問題。

WindowsアップデートでSSDが消える!? ― KB5063878の落とし穴と“有志PowerShellスクリプト”で乗り切る方法

クリエイターにも直撃

さらに、配信ソフトのOBSやNDIを使っている人たちにとっても死活問題。映像や音声が途切れたりカクついたり。配信中に突然音が消えたら…想像するだけで胃が痛くなります。

「今」移行すべきか?それとも待つべきか?

Windows 10のサポート終了は2025年10月14日。もうすぐそこに迫っています。でも現状のWindows 11には重大な不具合が残っている。これ、正直ユーザーにとっては「進むも地獄、戻るも地獄」状態です。

僕自身の結論はシンプル。今は慌てずアップデートを一時停止すること。そして、マイクロソフトやSSDメーカーが修正パッチを出して、それがコミュニティで「大丈夫」と確認されてから移行するのがベストだと思います。

最適な移行のタイミングとは?

結局のところ、「適切な時期」というのは日付で決まるものじゃありません。以下の3つがそろったときこそが、その時です。

  1. 大切なデータをきちんとバックアップできていること
  2. ハードやソフトの互換性が確認できていること
  3. 最新アップデートの安定性がコミュニティで確認されていること

この3つを満たしていないなら、まだその日は来ていません。逆に言えば、焦らず準備していれば「その日」を迎えるのは怖くないんです。

焦らず、でも備えは今から

PC市場は確かに活況です。Windows 10の終了、AI PCの登場、GIGAスクールの更新需要…。でもその裏では、電子ゴミ問題やアップデート不具合といった課題も山積み。

僕らユーザーにできることは、慌てて波に飲み込まれるのではなく、正しい準備をして波を乗りこなすこと。焦らなくても大丈夫。ただし「備えは今から」――これが僕からの一番のメッセージです。