
NZXTというメーカーについて
PCパーツを扱うメーカーの中でも「NZXT」は比較的有名で、特にゲーミングPCユーザーから支持されているブランドです。主にPCケース、水冷クーラー、ファン、RGB照明、マザーボードといった製品を展開しており、デザイン性に優れた外観やシンプルで使いやすい構造から、見た目を重視する自作ユーザーにも人気があります。
ただし、人気がある一方でサポートや信頼性については賛否があり、海外レビューサイトやコミュニティでは「サポート対応が遅い」「不具合が直りきらない」といった声も一定数見られます。また、過去にはレンタルPCサービス「Flex」に関して、マーケティングの不透明さやユーザーに不利な契約内容があると指摘されたこともありました。
さらに、Intel第13世代/第14世代CPUを搭載したNZXT製マザーボードで安定性の問題が報告され、メーカー公式からBIOSアップデートや保証延長などの対応が案内されています。つまり「見た目の良さやブランド力はあるが、完璧なメーカーとは言い切れない」というのが現状です。
Intel第13世代CPUとゲームの不具合
今回焦点となるのは、Intel第13世代CPUを使っている環境で「特定のゲームだけが起動しなくなる」という問題です。たとえばある時期までは普通に遊べていたタイトルが、アップデート以降まったく起動しなくなった…というケースが報告されています。代表的には「APEX」などで発生しやすいとの声もありました。
この問題は、単なるハードウェアの故障ではなく、CPUマイクロコードやBIOSの不具合、あるいはGPUドライバやゲームアップデートによる環境依存の不整合が原因となっている可能性が高いです。
具体的に考えられる原因
- BIOSやマイクロコードの古さ
Intel第13世代CPUでは、初期のBIOSや古いマイクロコードに不具合が残っているケースがありました。これが原因で、特定のアプリやゲームがクラッシュすることがあります。最新のBIOSにアップデートすることで改善する事例が報告されています。 - GPUドライバやゲームアップデートとの相性
一定の時期を境に起きる不具合は、ゲーム側のパッチやGPUドライバの更新によって新しい描画APIが導入された結果、古い環境との相性が崩れる場合があります。 - CPUコア設定や電源管理の問題
Intel第13世代からはP-core(性能コア)とE-core(効率コア)のハイブリッド構成が導入されています。これがBIOSや電源設定と噛み合わないと、特定の負荷でのみ不安定になることがあります。ゲームだけがクラッシュするという症状もこれに関連している可能性があります。 - ソフトウェアの依存関係や干渉
アンチチートソフト、ランチャー、セキュリティソフトなどがゲームの起動を妨げることがあります。また、DirectXやVisual C++ランタイムといったゲームに必須のライブラリが壊れている場合もあります。
クリーンインストールは必要か?
では、こうした問題に対処するにはどうすればよいのでしょうか。
まず第一に、BIOSを最新に更新することは非常に有効です。Intel公式や各マザーボードメーカーは、この種の不具合を解決するマイクロコードを含むBIOSを随時配布しています。一方で「Windowsをクリーンインストールすべきか?」という問いに対しては、以下のように考えるのが妥当です。
- クリーンインストールが有効な場合
ランタイムやライブラリが破損している、過去のドライバやソフトが複雑に干渉しているなど、OS環境自体に問題がある場合。 - 他の対処で直る場合
BIOS更新やGPUドライバのクリーンインストール、ゲーム自体の再インストールなどで改善することも多く、いきなりクリーンインストールに踏み切るのは非効率なこともあります。
つまり、まずは「BIOS更新 → GPUドライバのクリーンインストール → ゲームの再インストール」といった段階的なアプローチを試し、それでも改善しない場合に最後の手段としてクリーンインストールを検討するのが良いでしょう。
実際に試せる対策フロー
最後に、同じような症状で悩んでいる方へ向けて「順番に試すべき対策フロー」をご紹介します。いきなりクリーンインストールに進むのではなく、段階を踏んで確認していくのがおすすめです。
ステップ1:BIOSを最新に更新する
- マザーボードメーカーの公式サイトから最新BIOSをダウンロードし、アップデートする
- アップデート後は、オーバークロックや電圧関連の設定を一度リセットし、デフォルト値に戻して安定性を確認
ステップ2:GPUドライバをクリーンインストールする
- 既存のドライバを「DDU(Display Driver Uninstaller)」などで完全削除
- NVIDIAやAMDの公式サイトから最新版を入れ直す
- グラフィックドライバの不整合は、特定のゲームだけクラッシュする典型的な原因
ステップ3:ゲーム本体の修復・再インストール
- SteamやOriginなどのランチャーで「ファイルの整合性チェック」を実行
- それでも改善しなければゲームをアンインストールし、再度インストールし直す
ステップ4:電源プランやCPUコアの設定を確認
- Windowsの電源プランを「高パフォーマンス」または「バランス」に設定
- BIOSでP-core / E-coreの挙動を確認し、必要なら設定を見直す
- 特定のゲームが重い処理で落ちる場合、ここで改善することもある
ステップ5:干渉している可能性のあるソフトを確認
- セキュリティソフト、アンチチート、ランチャー系のソフトを一時的にオフにして検証
- ゲームが起動しない場合、こうした常駐ソフトがブロックしているケースもある
ステップ6:それでも直らなければ、Windowsをクリーンインストール
- すべての手順を試しても改善しない場合は、最終手段としてOSをクリーンインストール
- 時間と手間はかかるが、環境をまっさらにすることでライブラリや設定の不整合を根本から解消できる
まとめ
NZXTは人気メーカーでありながら、Intel第13世代CPUとの組み合わせでは一部で安定性問題が報告されており、BIOS更新やドライバ調整が必須となるケースがあります。
「特定のゲームだけ起動しない」という不具合に直面した場合、いきなりOSの再インストールに走るのではなく、上記のステップを順に試すことで改善する可能性が高いです。
自作PCはパーツの組み合わせ次第で思わぬトラブルが発生するものですが、正しい手順で切り分けを行うことで無駄な作業を減らし、安定動作にたどり着けるはずです。