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Windows 10サポート終了の日に思う、修理屋としての10年

2025年10月14日。
今日をもって、Windows 10のサポートが正式に終了します。

店のシャッターを開けた瞬間、外の風がひんやりとしていて、秋の終わりを感じました。
その風にあわせるように、「ああ、本当に終わるんだな」と、心のどこかで静かに区切りをつけた自分がいました。

今年最大の“波”が、ようやく落ち着いた

ここ数ヶ月、本当に駆け抜けました。新しいパソコンの販売、Windows 11へのアップグレード、そしてデータ移行や設定サポート。

気づけばこの数ヶ月だけで、販売・設定・アップグレードを合わせて50台以上。まるで年末の繁忙期が早めに来たような、そんな日々でした。

朝に受け取り、夜に納品。そしてまた翌朝には新しいパソコンが届いている。修理屋というよりも、“引っ越し屋”に近い感覚でしたね(笑)。

みんなに愛された「完成形のOS」

私にとっても、Windows 10は特別な存在です。

Windows 8.1の“どこを触っていいか分からない”仕様に苦戦したあの頃。ようやく落ち着いて、使いやすくなったのがWindows 10でした。

動作は軽快で、安定していて、どこか懐かしい。まさにWindows 7の正統進化。4GBメモリでもサクサク動くOSなんて、今では奇跡に近いです。

お客様の中にも「10が一番使いやすかった」とおっしゃる方が多く、私もまったく同じ気持ちです。

そして、次の主役「Windows 11」へ

ただ、時代は進みます。そして新しい風――Windows 11がやってきました。

とはいえ、まだまだ変化の途中。私は25H2(次期大型アップデート)でようやく“安定期”に入ると思っています。ただその一方で、ローカルアカウントの廃止、Microsoftアカウントの必須化など、少し「自由が減ったな」と感じる部分もあります。

昔は“自分のパソコン”を“自分で自由に構築する”のが楽しかった。今は“Microsoftにログインしないと始まらない世界”。

便利さと引き換えに、どこか“窮屈さ”を覚えるのは私だけではないと思います。

サブスク化する未来と、広がるAIの存在

そしてもう一つ気になるのが、Microsoftの“サブスク戦略”。

Officeはすでに月額制。
AI機能も有料。

そのうちWindows自体も“月払い”になるんじゃないかと、つい冗談まじりにお客様と話したりしています。

でも、この流れを“悪い”とは思っていません。なぜなら、その裏には確実に“AIの進化”があるからです。

ChatGPT、Gemini、Copilot──頼もしい「第三の相棒」

最近は、若いお客様がChatGPTやGeminiを活用して、自分でトラブルを調べてくることが増えました。「これ、AIで調べてきたんですけど…」と少し不安そうに言われるのですが、私は心の中で思います。

「それ、めちゃくちゃ助かります!」と。

実際、事前にAIで調べておいてくれると、診断の方向性が早く見えるんです。“お客様の視点”と“私の技術”がAIを介して交わる瞬間。まるで通訳を挟んでお互いの言葉が通じるような、不思議な心地よさがあります。

AIの言葉を「読み解く力」が、これからの鍵になる

ただし、AIの答えは常に正しいとは限りません。時には平然と間違った情報を出してきます。

でも、その“間違いの中から本質を見抜く力”こそが、今後のスキルなんだと思います。

10年前、Google検索で“コツ”を覚えたように。
これからはAIに“質問の仕方”を学ぶ時代です。

私も修理の現場でAIを使いますが、結局最後は手の感覚です。通電の微妙な匂い、チップの温度、ネジの締まり具合。その「勘」と「AIの分析」が噛み合ったとき、修理は不思議なくらいスムーズに進みます。

修理屋のこれからと、お客様との“共進化”

これからは、お客様もAIで調べ、私もAIで調べ、お互いが同じ結論にたどり着くことも増えるでしょう。

「それ、ChatGPTでもそう言ってましたね」なんて笑い合える関係、悪くないですよね。

情報が共有される時代だからこそ、修理屋は「経験」と「感覚」で差をつける時代になります。1万台以上の修理を経験してきた中で、私は確信しました。AIが進化しても、“人の手でしか分からない領域”は必ず残ります。

そして、AIは敵ではなく共に歩む相棒。Windows 11の時代は、きっとそんな関係が自然になるはずです。

終わりではなく、次のはじまりへ

今日という日は「別れ」ではなく、「引き継ぎの日」だと思っています。

ありがとう、Windows 10。
そして、ようこそWindows 11。

少し不安もありますが、技術も人も、きっと前に進むために生まれ変わるんです。

次の時代も、私たちは“パソコンを愛する人”として、ひとつずつ、新しいページをめくっていきましょう。