
今日は少し趣向を変えて、当店がどんな流れでBTOパソコンを組み上げているのか、その“舞台裏”をお話ししたいと思います。
「パーツをケースに入れて、電源入れて、はい終わりでしょ?」
……そう思われる方、本当に多いんです。でも実は、そこに落とし穴がいくつもあるのをご存じでしょうか。お客様のもとへ届いてからトラブルを起こさないために、私たちはあえて独自の工程で組み立てを進めています。その理由も含めて、今日は私の“裏ルーティン”を包み隠さずご紹介します。
最初は「ケースに入れない」が鉄則
実は、最初からケースに入れることはほとんどありません。まずは マザーボード + CPU + メモリ + SSD を取り付けた“むき出しの状態”で起動テストを行います。
なぜ「裸」でテストするのか?理由は2つ。
① 初期不良を即発見できるから(リスク回避)
ケースに入れてしまうと、もしメモリやSSDに初期不良があった場合、外して → 検証して → 戻して……という手間がとんでもなく増えます。
むき出しなら、「はい、これ不良ですね」と即交換。ストレスゼロです。
② 圧倒的な効率化
広い作業台の上でテストするので、電源ユニットをポンとつなげばすぐ起動確認できます。ケースを開けたり閉めたりしないだけで、作業スピードが2倍くらい変わります。

“流れ作業”にはしない、こだわりの1台
キーボードやマウスはスイッチャーで切り替えて効率化していますが、大事なのは 「一度にやりすぎないこと」 です。
PCは生き物みたいなもので、ちょっとした音、ちょっとした表示、そういう「小さな違和感」が初期不良のサインだったりします。欲張って3台4台同時に進めると、その変化を見落とします。
だから私はいつも、「台数よりも目視」を優先して、丁寧に1台ずつ向き合っています。
設定の順番にも“プロの順序”がある
組み込みが済んだら、こんな順番でセットアップします。
① BIOSアップデート(最優先)
起動した瞬間に更新します。古いBIOSは不具合の温床なので、ここは最初に片づけます。
② Windows & Officeインストール
まずは使える状態にする。これはもう機械的に淡々と。
③ ライセンス認証は“後回し”
ケースに収めて最終形態になってから行います。途中でパーツ変更が入ったりすると認証がややこしくなるので、ここは焦りません。
このフローにより、平均1台30分ほどで基本構成を完了できます。
グラフィックボードだけは「特別扱い」
ここが一番質問を受けるポイントです。
結論:グラボだけは、ケースに収めてから最後に取り付けます。
理由は単純で、最近のグラボ――特にRTX40シリーズなんて、とにかくデカい。重い。高い。むき出しの状態で取り付けたままケースに入れようとすると、PCIeスロットに負荷がかかり、「バキッ」といく危険があります。
高額パーツを壊すわけにはいかないので、ここだけは本当に慎重に、時間をかけて取り付けています。
「お客様のストーリー」を組むということ
すべてのテストが終わったら、配線のしやすいケースを選んで、LEDカラーを調整して、ようやく完成です。
単に「速く作る」だけなら雑にできるんですよ。でも私たちが作っているのは、お客様の夢を叶える1台です。
- 配線は美しいか?
- Wi-Fiドライバは入れたか?(これ、忘れると本当に大変)
- 初回起動で困らない工夫はできているか?
こうした細かな配慮こそ、専門店が提供できる“安心”そのものです。














