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パソコン修理屋が診断ツールを作っている理由と、今後の話

パソコン修理屋が診断ツールを作っている話― 来店前セルフチェックと、その先を見据えて ―

パソコンの不具合相談を受けていると、ここ数年で特に増えたと感じるのが、こんな声です。

  • 「突然落ちるけど、原因が分からない」
  • 「修理に出すほどなのか判断できない」
  • 「遠くて、すぐには持って行けない」

そして実際に見てみると、物理的に壊れているケースばかりではない、ということも少なくありません。そこで現在、私はGPU・SSD・メモリー・電源まわりを対象とした簡易診断ツールを制作・調整しています。

なぜ診断ツールを作ろうと思ったのか

世の中には、ベンチマークソフトや診断系ツールが数多く存在します。それでも「自分で作ろう」と思った理由は、とても単純です。修理の現場では、

  • 数値は出るけど、判断に使いづらい
  • 情報が多すぎて、逆に混乱する
  • お客様に説明するのが難しい

こういった場面が多々ありました。私が欲しかったのは、性能を競うツールではなく、状況を整理するための道具です。

「どこが怪しそうか」
「今すぐ危ないのか、それとも様子見でいいのか」

その判断材料を、なるべく分かりやすい形で揃えたかった、というのが本音です。

どんなことを確認するツールなのか

現在調整中のツールでは、主に以下のような点を確認します。

  • GPU使用時の挙動やエラー傾向
  • SSDの動作状態や転送に関する違和感
  • メモリー関連のエラー兆候
  • 電源まわりが影響していそうなログや動作

これらを一括でチェックすることで、「原因の可能性が高そうなポイント」を浮かび上がらせる構成にしています。

重要なのは、故障を断定するツールではないという点です。あくまで「現状を把握し、次の判断につなげる」そのための簡易チェック、という位置づけになります。

実際に、この診断ツールで何をしているのか

ここで、私が制作している診断ツールについて、もう少しだけ具体的な中身をお話ししておきたいと思います。使い方は非常にシンプルで、

  • ツールをダブルクリックで1回起動
  • 管理者権限の確認が出るので「はい」を押す
  • それだけで診断は自動的に進みます

特別な操作や設定は一切必要ありません。

診断が完了すると、自動的にフォルダーが開き、中にテキスト形式のレポートファイルが出力されます。このレポートに記載されている内容が、今回の記事で触れている「不具合の兆候として見ている部分」です。

GPU診断について見ているポイント

GPU診断では、「クラッシュした回数」といった数値も一応は確認できます。ただし、正直に言うと、この数値単体は、そこまで重要視していません。私が見たいのは、

  • 実際に落ちたタイミング
  • その前後で、どのエラーが出ているか
  • SSD関連のエラーと重なっていないか

といった時系列の流れです。GPUとSSDは、もちろん同じ部品でも、同じ役割でもありません。

ですが、「どのタイミングで、どのエラーが同時に出ているか」を並べて見ることで、単体チェックでは見えにくい違和感が見えてくることがあります。

このツールでは、その流れを一通り確認できるようにしています。

メモリチェックは“あくまで簡易的”です

メモリーに関しても、このツールで行っているのは詳細なメモリテストではありません。いわゆる長時間かけて行うメモリ検査とは別物で、

  • イベントログ上のバグチェック
  • メモリ関連エラーの有無

といった部分を、簡易的に確認するためのチェックになります。そのため、メモリーが疑わしい場合には、後日あらためて専用のメモリテストを行う必要があります。

ここでも目的は、「白黒を付けること」ではなく、次に何を疑うべきかを整理することです。

電源(PSU)についての考え方

電源ユニット(PSU)の不具合については、正直なところ、ソフトウェアのログだけで判断することはできません。ただ、それでも、

  • 電源が関係していそうな挙動
  • 他のエラーとの重なり方

こういった点は、判断材料として見ておきたい部分でもあります。多少、他の項目と内容がかぶる部分はありますが、それも含めて、全体を並べて見たときの材料の一つとしてレポートに含めています。

PCの構成情報も含めて、レポートとして出力します

最終的にこのツールでは、

  • GPU・SSD・メモリー・電源まわりの簡易チェック
  • イベントログから拾った情報
  • PCの構成情報

これらをまとめて、一つのテキストレポートとして出力する形を取っています。このレポートをもとに、

  • 来店前のセルフチェック
  • 遠方からの簡易診断
  • 実機確認時の事前資料

といった使い方につなげていく想定です。

来店前セルフチェックという考え方

このツールを作りながら、もう一つ、はっきりと見えてきた使い道があります。それが、来店前のセルフチェックです。

  • いきなり修理に出すのは不安
  • まずは状況だけ知りたい
  • 本当に持ち込む必要があるのか判断したい

こういった方が、事前にツールを実行し、結果を確認することで、ある程度の方向性を持った状態で相談ができるようになります。これは、お客様にとっても、「無駄な来店」や「不要な出費」を減らすことにつながります。

遠方の方への簡易診断という選択肢

さらに将来的には、遠方で来店が難しい方向けの簡易診断も想定しています。ツールを実行していただき、その結果を送付してもらうことで、

  • 今、何が起きていそうか
  • どこから確認すべきか
  • 修理が必要そうか、様子見か

といった点を、文章で整理してお伝えする、という形です。もちろん、実機を触らない以上、確定診断や修理完了はできません。

それでも、「何も分からない状態」から一歩進めるだけでも、意味はあると考えています。

現在は“配布に向けた調整中”です

ということで、この診断ツールは現在、一般配布を目標に調整中です。実際の現場で使いながら、

  • 表示内容はこれで誤解を生まないか
  • 一般の方が使っても危なくないか
  • どこまでを無料範囲とするべきか

こういった点を一つずつ確認しています。正直なところ、「とりあえず配る」という段階ではありません。

便利な反面、使い方を誤ると不安を煽ってしまう可能性もあるため、慎重に整えている最中です。

今後は、こういう形で進めていきます

現時点で考えている方向性は、以下の通りです。

  • 来店前セルフチェック用途としての配布
  • 遠方・来店困難な方向けの簡易診断対応
  • 「分かること/分からないこと」を明確にした運用

ツール自体も、一度完成して終わりではなく、実際の使用例をもとに調整を続けていく形になると思います。

次回は、もう少し踏み込んだ話をします

今回は、「こういうツールを作っていて、こういう方向を考えています」という全体像の共有を目的とした記事でした。次回はもう少し踏み込んで、

  • なぜ表示項目を減らしているのか
  • 無料でできる範囲、できない範囲の考え方
  • 調整中に見えてきた“難しさ”

このあたりを、もう少し具体的に書いていこうと思っています。

完成したら終わり、ではなく、作りながら考えていることも含めて、順に公開していく予定です。

続きは、また次回のブログで。