
気がつけば10年。
ああ、10周年なのかと、どこか他人事のように思いながら、しかし数字だけを見れば確かに10年という歳月がそこにあります。2015年頃に始めたこのブログも、数にすれば3000記事どころか、おそらく3600記事前後にはなっているでしょう。
振り返ってみると、「目指していた形に到達したのか?」という問いに対して、正直なところ答えは出ません。というより、もうその問い自体が意味を失っているような感覚すらあります。書き続けるという行為そのものが、すでに目的であり結果でもあるからです。
書くことを習慣にした理由
10年前、ブログを書くことは経営者の間で一種のブームのようなものがありました。毎日書く、何年続けた、という実績が、ある種の勲章のように語られていた時代です。
中でも、あるコンサルタントの方が「5年か6年、毎日欠かさず書いている」と自慢げに語っていたのを覚えています。けれど後になって分かったのは、実際には“毎日”ではなかったということ。もちろんそれを責める気はありません。ただ、その時に私はこう思ったのです。
「習慣にするなら、1日も休んではいけない」
自慢ではありません。むしろ逆で、休まないという選択をした瞬間から、それは努力ではなくなりました。歯を磨くのと同じで、書かないという選択肢が消えただけなのです。
書けない日が来ないように、余裕のある時には15日分ほどまとめてストックしておく。年末年始などは、クリスマス前にはもう数週間分を予約投稿して、ゆっくり休む。そんなルーティンが、10年を支えてきました。
ただ、今回はそのストックがありません。やりたいことが増えすぎて、書き溜める余裕がなかったからです。それでも「今日は書かなくていいか」とは思わない。これが10年という時間の重みなのでしょう。
ストックという思想
この“ストック”という考え方は、漫画『こちら葛飾区亀有公園前派出所』の作者、秋本治先生の話から学んだものです。原稿は常に1か月分ほど先まで仕上がっている。だからこそ、毎週連載でも破綻しない。
連載は30年近く続きました。私は10年で語っているのに、30年です。とても追いつけるものではありませんが、そこにあるのは気合ではなく仕組みです。
毎日必死に書くのではなく、先に書いておく。あとは1日1記事を投稿するだけ。精神論ではなく、仕組みで続ける。これが、結果として「10年1日も休まなかった」という状態を作っただけなのです。
音声入力とAIの登場
そしてこの2年で、ブログ執筆は劇的に変わりました。私はほとんどキーボードを使わなくなりました。音声で話した内容を、そのまま文章として入力しているからです。
ここで誤解してほしくないのは、「AIに文章を書かせている」のではないということです。あくまで私は話しているだけ。AIはその声を文字に起こしてくれているだけです。
10分ほど話せば、軽く5000文字は超えます。内容によっては1万文字に達することもあるでしょう。これによって、書くこと自体のハードルは大きく下がりました。
むしろ、質は落ちていません。むしろ上がった感覚すらあります。構成を整え、誤字脱字を補正してくれる。昔は友人に「誤字が多い」と笑われて応援されていたものですが、今はその“面白さ”は減ったかもしれません。理由は単純で、誤字がほとんどなくなったからです。
それでも、これは私の言葉です。私が話し、私が考え、私が発した内容。それを整える道具としてAIが存在しているに過ぎません。
ブログがAIに拾われる時代
最近、非常に象徴的な出来事がありました。苫小牧に住むお父様のパソコン修理の件で、出張依頼の連絡をいただいたのですが、どこで当店を知ったのかと伺うと、ホームページではなく「ChatGPTに聞いた」とのことでした。
つまり、「苫小牧市でパソコン修理」とAIに尋ねた結果、当店の情報が紹介されたということです。これは正直驚きました。検索エンジンの上位表示とはまた違う、新しい導線です。
10年間、毎日書き続けてきたブログが、AIの中で“人格のようなもの”として認識されている感覚があります。もちろんこれは証明できるものではありません。しかし、積み重ねた情報がどこかで蓄積され、誰かの役に立っているのだとしたら、それだけで十分です。
AI時代のパソコン修理屋
これからの10年を考えると、パソコン自体は今後売れなくなっていく可能性が高いと見ています。ですが、修理は確実に増えます。理由は単純で、AIを使うにはパソコンが必要だからです。
多くのトラブルは、AIに聞けば自己解決できる時代になりました。それでも、最後の一線――物理的な故障や基板レベルの不具合は、人の手が必要です。実際、中国から来日しているお客様が、AIで調べた上で「これは無理だ」と判断して当店に来店されることもあります。
AIは敵ではありません。むしろ優秀な相談役です。ただし、AIの答えは“可能性の一例”に過ぎません。パソコンのエラー原因は1000通りあると言っても過言ではありません。成功事例が多いものほど目立つだけで、深い不具合は未だ人間の経験が物を言います。
だからこそ、私はAI以上の情報を持ち、AIと共存する修理屋でありたいと思っています。
自分で作るという選択
現在、LINE予約システムを自作しています。以前は月800円から1000円ほどのサービスを利用していましたが、今は約2.9ドル、つまり500円程度のサーバー費用だけで、24時間稼働の予約システムが構築できています。
これは私の功績ではありません。AIが教えてくれた道筋を、私が労力として形にしているだけです。けれど、自分の手で作った仕組みが、自分の店を回していく。この感慨は、既製品のサービスを契約するのとはまったく別物です。
WordPressのブログ、ロゴ、画像、そして予約システムまで。かつてはお金を払って導入していたものを、今は自分で構築できる時代になりました。面白くないわけがありません。
これからの10年
これからの10年、ブログは備忘録としての色合いが強くなるでしょう。修理事例はもちろん書き続けますが、それに加えてアプリ開発やAI活用の記録も増えていくと思います。
気に入っていただけるものがあれば、販売もしますし、実装のお手伝いもします。ただし時間には限りがあります。ですから、基本はモジュール販売という形になるでしょう。
目標は明確です。
身の回りのサブスクサービスを、すべて自分で作る。
品質がどうなるかは分かりません。けれど、面白いからやる。それだけです。
情報の時代に生きるということ
最近は修理系の動画や情報も急激に増えました。かつては公開されなかったような技術情報が、今では世界中から流れ込んできます。ロシアや中国の技術者の情報公開の姿勢には、正直驚かされます。課金してでも見たいと思うレベルです。
だからこそ、私も発信を続けます。
ただし、忘れてはいけないのは、AIが常に正しいわけではないということです。提示される解決策はあくまで一例。答えは必ずしも一つではありません。深い不具合ほど、人の経験が最後の判断材料になります。
AIとお客様が対立するのではなく、AIを受け入れた上で、それ以上の結果を出す。そんな修理屋でありたいと考えています。
書き続けるという未来
10年という区切りを迎えましたが、正直なところ、やめる理由がありません。意地でもなく、根性でもなく、ただの習慣です。おそらく、この店を続けている限り、ブログもまた続いていくでしょう。
10年後、ブログという形が残っているかは分かりません。デバイスもアプリも、今とは違う姿になっているかもしれません。それでも、「記録する」という行為は必ず残ります。
私はこれからも、自分の声で話し、自分の経験を書き残していきます。
そしてまた明日も、何事もなかったかのように、新しい記事を書いていると思います。














