
先日、AliExpressを眺めていたら、SanDiskのUSBメモリが信じられないくらいの価格で売られていました。32GBで数百円。レビューも上々で「これは買いだな」と思ってついポチリ。
届いたUSBメモリは、一見するとちゃんとしたSanDisk製。パッケージもそれっぽくて、端子部分もUSB 3.2 Gen1のように見えます。でも、どこか違和感が拭えない。安さの裏には何かあるかもしれないという“警戒心”が頭をよぎったのです。
因みに、以下の記事で購入したUSBメモリ達です。
速度チェックで感じたモヤモヤ
一応使える。普通にファイルも保存できる。でもある日、大きめの動画ファイルを移したときに、「あれ?やけに遅い…」と感じました。
これはちょっとおかしいかもしれないと思い、いつも使っているベンチマークツール「CrystalDiskMark」で速度を測ってみました。
CrystalDiskMarkの結果
- 読み込み速度:約165MB/s(良好)
- 書き込み速度:約41MB/s(まあまあ)
- ランダム書き込み:約2MB/s(かなり遅め)
速度自体はそれほど悪くはないのですが、USB 3.2 Gen1の割にはランダム性能が妙に低いのが引っかかりました。
「中身を調べたい」という衝動
速度だけじゃなく、本当にこれがSanDiskの正規品なのか?という疑問がふつふつと湧いてきました。見た目だけでは判断できないなら、中身を見てみるしかない。そう思い、USBメモリの内部情報を確認できるフリーソフト「ChipGenius」を使ってみることに。
ChipGeniusってなに?
ChipGenius(チップジーニアス)は、USBメモリや外付けドライブに関する技術情報を読み取るツールです。主に以下のような情報を表示してくれます。
- デバイス名とドライブレター
- USBの接続規格と動作速度
- ベンダーID(VID)と製品ID(PID)
- シリアル番号
- 使用されているコントローラICの型番(判別可能な場合)
外からは見えないUSBメモリの“履歴書”を覗けるような感覚ですね。
実際にChipGeniusで調べてみた結果
以下が、実際に表示された情報です。

- Device Name:SanDisk 3.2 Gen1
- Protocol Version:USB 3.20
- Current Speed:High Speed(=USB 2.0接続)
- VID / PID:0781 / 55AD(SanDiskの正式ID)
- Serial Number:異様に長く、やや不自然
- Controller Part-Number:Unknown(情報取得不可)
USB 3.2なのに、なぜUSB 2.0で接続?
一番気になったのはここ。「USB 3.2 Gen1」に対応しているはずのメモリが、USB 2.0相当の”High Speed”で接続されているという表示になっていました。
これは、以下のような原因が考えられます:
- USBポート自体が2.0しか対応していない
- ハブや延長ケーブル経由で速度が制限されている
- USBメモリ内部の設計が偽物の可能性
今回の場合、他のUSB 3.0ポートでも試してみましたが結果は変わらず。つまり、中身がUSB 2.0仕様の可能性が高いということになります。
コントローラICが「Unknown」ってどういうこと?
本来なら、ここに「Phison」や「SMI」などの型番が出てくるはず。しかし今回は、まったく情報が取得できませんでした。SanDiskは独自コントローラを使っていて非公開の場合もありますが、AliExpressで激安だったという背景を考えると…ちょっと不安が残るところです。
まとめ:安さは魅力、でも裏をとるのも大事
今回のUSBメモリ、普通に使えなくはないし、速度も表面的には悪くありません。でも、「USB 3.2」と名乗っていながら実際にはUSB 2.0で動作していたり、コントローラ情報が取得できなかったりと、どこか“それっぽいだけ”の印象が残ります。
AliExpressのような海外通販で格安USBを購入すること自体は悪くないですが、届いた商品が本当に仕様通りなのかを確認する手段を持っておくことは、とても大切だと改めて感じました。
今回使ったツールの紹介
🔧 ChipGenius(USB情報取得ツール)
- ダウンロード(非公式ミラー):http://www.usbdev.ru/files/chipgenius/
- インストール不要。起動するだけで使用可能。
🧪 H2testw(容量詐称検出用)
- ダウンロード(heise公式):https://www.heise.de/download/product/h2testw-50539
- USBメモリの全領域に書き込み&読み取りを行って、実容量を検証できます。
おわりに
USBメモリって、ちょっとしたデータの持ち運びに便利な反面、中身が見えないからこそ怖さもあるんですよね。「使えればいい」と思ってたけど、いざという時に信頼できるかどうかは全然別の話。
もし、少しでも「あれ?これ本物かな?」と思ったら、ChipGeniusでのチェックをぜひ試してみてください。小さな不安が、大きなトラブルになる前に。そんな気持ちで、これからもUSBメモリとは付き合っていこうと思います。