
空が急に暗くなり、猛烈な雨が地面を叩きつける「ゲリラ豪雨」。そして、それを伴う激しい「雷」。日本の夏、特にこの7月下旬から8月にかけて、こうした突然の天候悪化は日常茶飯事です。
そんな時、心配なのが私たちの生活に欠かせないパソコン。落雷による「停電」や「過電流(サージ)」、窓からの吹き込みによる「水濡れ」は、PCや大切なデータにとって致命的なダメージを与えかねません。
「まだ大丈夫だろう」と油断していると、次の瞬間に後悔することになるかもしれません。今回は、夏の突然の悪天候から大切なパソコンとデータを守るための、具体的な対策と緊急時の対処法を徹底解説します。
【雷が鳴る前に】今すぐやるべき「転ばぬ先の杖」
災害対策は、何事もない平時の準備が9割です。最低限、以下の2つは必ず準備しておきましょう。
1. 守りの要!「雷ガード付き電源タップ」を導入する
これは最も重要で、コストパフォーマンスの高い対策です。雷が送電線などに落ちると、家庭のコンセントに一瞬だけ非常に高い電圧(過電流・サージ電流)が流れ込むことがあります。これがPCの電子回路を破壊する原因です。
雷ガード付き電源タップは、この異常な電流を検知し、PCに届く前に遮断・吸収してくれるお守りのような存在です。数千円で購入できるので、まだお持ちでない方は今すぐ導入を検討してください。
【プロの視点】 LANケーブル(有線LAN)や電話線からもサージ電流は侵入します。より万全を期すなら、電源だけでなくLANポート用の雷ガードが付いた製品を選ぶと安心です。
2. データはPCより大切!「3-2-1ルール」でバックアップ
PC本体は買い替えられても、思い出の写真や仕事のファイルは二度と戻ってきません。データのバックアップは、PC防災の最重要項目です。
そこで推奨したいのが「3-2-1バックアップルール」です。
- 3つのデータコピーを保持する(原本+2つのバックアップ)
- 2種類の異なるメディアに保存する(例:PC内蔵SSD + 外付けHDD)
- 1つは物理的に離れた場所(オフサイト)に保管する(例:クラウドストレージ)
クラウドストレージ(Google Drive, OneDrive, iCloudなど)を一つ契約し、特に重要なファイルだけでも自動同期する設定にしておけば、自宅のPCが物理的に壊れてもデータは安全です。
【雷が近づいてきたら】即座に取るべき行動
ゴロゴロと雷鳴が聞こえ始めたら、それは行動の合図です。
1. 作業中のファイルをすべて保存し、PCをシャットダウンする
「まだ遠いから大丈夫」は禁物です。雷はどこに落ちるかわかりません。すぐに作業を中断し、正常な手順でPCをシャットダウンしてください。
2. PCに繋がる「すべてのケーブル」を抜く!
シャットダウンが完了したら、PCに接続されているケーブル類をコンセントや壁の端子から抜きましょう。これが最も確実な防御策です。
- 電源ケーブル(PC本体、モニターなど)
- LANケーブル(有線でインターネットに接続している場合)
雷ガードタップがあっても、直撃雷などの強力なエネルギーは防ぎきれない場合があります。「シャットダウンして、プラグを抜く」。これを徹底してください。
【ノートPCユーザーの方へ】 電源ケーブルを抜いていれば、バッテリーで作業を続けることは可能です。ただし、必ず有線LANも抜いておきましょう。Wi-Fiでの通信は問題ありません。
【緊急事態】もしPCが水に濡れてしまったら?
ゲリラ豪雨で窓から雨が吹き込んだり、飲み物をこぼしたり…万が一PCが水に濡れてしまった場合の対処法です。ここでの初期対応が生死を分けます。
《絶対にやってはいけないこと》
- 電源を入れる・通電する → 絶対にNG! 回路がショートし、ほぼ確実に致命的な故障に至ります。
- ドライヤーで乾かす → NG! 熱で部品が変形したり、風で水滴が内部の奥深くまで浸透したりする危険があります。
- 本体を振って水を切る → NG! 水が内部で広がるだけです。
《すぐにやるべき応急処置》
- 電源を落とし、すべてのケーブルとバッテリーを抜く。 まだ電源が入っている場合は、すぐに強制終了し、ACアダプターを抜きます。ノートPCの場合は、可能ならバッテリーも取り外してください。
- 乾いたタオルで優しく拭く。 表面の水分を、吸収性の良いタオルやキッチンペーパーで優しく拭き取ります。
- 水分を重力で排出させる。 ノートPCの場合は、ディスプレイを「く」の字に開き、キーボード面を下にしてタオルなどの上に置きます。(テントのような形)
- 風通しの良い日陰で数日間、徹底的に自然乾燥させる。 最低でも2~3日は触らず、内部の水分が完全に蒸発するのを待ちます。
【最も推奨する対処法】 応急処置をしたら、できるだけ早くプロの修理業者に相談してください。 分解して内部を洗浄・乾燥することで、復旧率が格段に上がります。
まとめ
ゲリラ豪雨や雷は、夏の日本では避けられない自然現象です。しかし、事前に対策をしておけば、被害を最小限に食い止めることは十分に可能です。
- 平時:「雷ガードタップ」と「データのバックアップ」を。
- 雷接近時:「シャットダウン」して「プラグを抜く」。
- 水濡れ時:「通電せず」、すぐに「プロに相談」。
この3つの鉄則を守り、大切なPCとデータを突然の災害から守り抜きましょう。