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Amazonにおけるセッションハイジャック:脅威、対策、そして被害発生時の対応

インターネットショッピングの普及に伴い、ECサイトにおけるセキュリティ対策の重要性が増しています。Amazonのような巨大なECプラットフォームにおいても、ユーザーのアカウント情報や決済情報を狙ったサイバー攻撃は後を絶ちません。その中でも、セッションハイジャックは、ユーザーになりすまして不正アクセスを行う巧妙な攻撃手法であり、近年大きな脅威となっています。

本稿では、Amazonにおけるセッションハイジャックについて、その定義、手口、被害、そして対策を詳しく解説します。さらに、万が一被害に遭ってしまった場合の対応についてもご紹介します。

Amazonのセッションハイジャックとは?

セッションハイジャックとは、ユーザーがWebサイトにログインしている間のセッション情報を盗み取り、攻撃者がそのユーザーになりすまして不正アクセスを行うサイバー攻撃です。セッション情報とは、ユーザーがログインしている状態を維持するためのデータであり、一般的にはセッションIDと呼ばれる識別子が用いられます

Amazonでセッションハイジャックが発生した場合、攻撃者はユーザーのアカウントにログインし、個人情報や注文履歴を閲覧したり、不正に商品を購入したりする可能性があります。

重要なのは、セッションハイジャックは、ユーザーのパスワードが漏洩していなくても発生する可能性があるということです。これは、攻撃者がセッションIDを盗み取ることで、パスワード認証を迂回してアカウントにアクセスできるためです。そのため、強力なパスワードを設定していても、セッションハイジャックの脅威から完全に逃れることはできません。

私はこの方法でAmazonビジネスアカウントで2段階パスワードをかけているにも関わらず、ギフト券がチャージされ解約されてしまいました

セッションハイジャックによる被害

セッションハイジャックによって引き起こされる被害は、個人情報の漏洩、不正アクセス、金銭被害など多岐に渡ります。

具体的には、以下の様な被害が考えられます。

  • 個人情報の漏洩: 住所、氏名、電話番号、メールアドレスなどの個人情報が盗み見られる可能性があります。
  • 注文履歴の閲覧: 過去の注文履歴や保存されている支払い方法などの情報が攻撃者に知られてしまう可能性があります。
  • 不正な商品購入: 攻撃者がユーザーのアカウントを利用して、勝手に商品を購入する可能性があります
  • アカウントの乗っ取り: アカウント情報が書き換えられ、ユーザーが自身のアカウントにアクセスできなくなる可能性があります。
  • クレジットカード情報の盗難: Amazonアカウントに登録されているクレジットカード情報が盗まれ、不正利用される可能性があります

2010年には、Apacheサーバでセッションハイジャックによる被害が発生した事例があります。この事件では、Apacheのバグトラッキングソフト「JIRA」をホスティングしているサーバが、クロスサイトスクリプティング(XSS)を用いた攻撃によりセッションハイジャックされました。管理者がXSS攻撃コードが仕込まれたURLをクリックしたことで、セッション情報を含むCookieが盗み取られ、攻撃者は管理者権限でサーバにアクセスできるようになってしまいました。

セッションハイジャックの手口

攻撃者は様々な手口を用いてセッションハイジャックを行います。主な手口としては、以下のものがあります。

  • セッションIDの推測: 脆弱なセッションIDを生成するWebサイトの場合、攻撃者はセッションIDを推測することで、他のユーザーのセッションを乗っ取ることがあります。
  • クロスサイトスクリプティング (XSS): Webサイトの脆弱性を悪用し、悪意のあるスクリプトを埋め込むことで、ユーザーのCookie情報を盗み取ります。CookieにはセッションIDが含まれていることが多いため、攻撃者はこれを利用してセッションをハイジャックします。
  • セッションフィクセーション: 攻撃者が事前に用意したセッションIDをユーザーに強制的に使用させることで、そのセッションを乗っ取ります。
  • Cookieポイズニング: Cookieを改ざんしたり、偽のCookieを送り込んだりすることで、セッションIDを盗み取ったり、Webサーバへの不正アクセスを行ったりします。

セッションIDの管理:Amazonとユーザー双方による対策

セッションハイジャック対策として、セッションIDの適切な管理が重要となります。Amazonとユーザー双方で、それぞれ以下の対策を講じることが重要です。

Amazon側の対策

  • セッションIDをURLに含めないようにする。
  • 第三者から推測されにくい、複雑なセッションIDを生成する。
  • ログイン成功後に新しいセッションIDを付与する。
  • HTTPS通信で利用するCookieにsecure属性を加えることで、Cookieの盗聴を防ぐ。

ユーザー側の対策

  • 公共Wi-Fiの使用を避ける: 公共Wi-Fiはセキュリティが脆弱な場合があり、セッションIDが盗み取られるリスクが高まります。
  • 不審なリンクをクリックしない: フィッシングメールなどに含まれる不審なリンクをクリックしないように注意しましょう。

Amazonのセッションハイジャック対策

Amazonは、ユーザーのアカウントをセッションハイジャックから守るために、上記のセッションID管理に加えて、様々なセキュリティ対策を講じています 2

  • AWS Certificate Manager: HTTPS通信を導入し、通信内容を暗号化することで、セッションIDなどの盗聴を防ぎます。
  • AWS WAF: Webアプリケーションファイアウォール (WAF) を利用し、悪意のあるトラフィックを遮断することで、クロスサイトスクリプティングなどの攻撃を防ぎます。
  • Amazon Cognito: セキュアな認証システムを提供し、ユーザーのログイン情報を保護します。これらのサービスは、暗号化やアクセス管理、不正なアクセスを検知する機能を提供し、セッションハイジャックを防ぎます 9

ユーザーが取るべき対策

Amazonのセキュリティ対策に加えて、ユーザー自身もセッションハイジャックを防ぐための対策を講じる必要があります。

  • 強力なパスワードを設定する: 推測されにくい、複雑なパスワードを使用し、定期的に変更しましょう。
  • 二要素認証を有効にする: Amazonアカウントに二要素認証を設定することで、セキュリティを強化しましょう。
  • ソフトウェアを最新の状態に保つ: OSやブラウザなどのソフトウェアを最新の状態に更新することで、セキュリティの脆弱性を解消しましょう。
  • セキュリティソフトを導入する: セキュリティソフトを導入し、ウイルスやマルウェアからコンピュータを保護しましょう。
  • ログアウトを忘れない: Amazonの利用後は、必ずログアウトするようにしましょう。

専門家からのアドバイス

セキュリティ専門家やセキュリティ機関は、セッションハイジャック対策として、以下のようなアドバイスを提供しています。

  • 定期的にセキュリティ対策を見直す: セキュリティ対策は、常に最新の状態を維持することが重要です。新しい脅威や攻撃手法が出現するたびに、セキュリティ対策を見直し、必要があれば更新しましょう。
  • セキュリティに関する情報収集: セキュリティに関するニュースや情報を収集し、最新の脅威や対策について学びましょう。
  • 不審な点があればすぐに報告する: Amazonで不審な点に気づいたら、すぐにAmazonのカスタマーサービスに報告しましょう。

被害に遭ってしまった場合の対応

万が一、Amazonでセッションハイジャックの被害に遭ってしまった場合は、以下の手順で対応しましょう。

  1. Amazonに連絡する: Amazonのカスタマーサービスに連絡し、被害状況を報告しましょう。
  2. パスワードを変更する: Amazonアカウントのパスワードをすぐに変更しましょう。
  3. 二要素認証を設定する: まだ設定していない場合は、二要素認証を設定しましょう。
  4. アカウントの利用状況を確認する: 注文履歴やアカウント情報を確認し、不正なアクセスがないか確認しましょう。
  5. クレジットカード会社に連絡する: クレジットカード情報が盗まれた可能性がある場合は、クレジットカード会社に連絡し、カードの利用停止などの手続きを行いましょう。
  6. 警察に被害届を提出する: 必要に応じて、警察に被害届を提出しましょう。

結論

Amazonにおけるセッションハイジャックは、ユーザーにとって大きな脅威となります。Amazon自身も様々なセキュリティ対策を講じていますが、ユーザー自身もセキュリティ意識を高め、適切な対策を講じる必要があります。強力なパスワードの設定、二要素認証の利用、公共Wi-Fiの利用を避ける、OSやブラウザのアップデートなど、基本的なセキュリティ対策を徹底することで、セッションハイジャックのリスクを軽減することができます。

セッションハイジャック対策は、Amazonとユーザー双方にとっての責任です。Amazonは、最新のセキュリティ技術を導入し、ユーザーのアカウントを保護する必要があります。一方、ユーザーは、セキュリティ意識を高め、Amazonのセキュリティ対策を理解し、積極的に活用する必要があります。

万が一被害に遭ってしまった場合は、落ち着いてAmazonや警察に連絡し、適切な対応を取りましょう。

引用文献

セッションハイジャックとは?その原因と対策を徹底解説 – サイバーセキュリティ.com, https://cybersecurity-jp.com/column/18583

セッションハイジャックとは?その仕組みや手口、対策などを解説, https://www.lrm.jp/security_magazine/session-hijacking/

セッションハイジャックはなぜ起こるのか?攻撃の仕組みと求め …, https://eset-info.canon-its.jp/malware_info/special/detail/230110.html

アカウントハイジャック(セッションハイジャック)とは | 脆弱性 …,
https://www.shiftsecurity.jp/blog/20220518

セッションハイジャックとは?攻撃の手口・事例と被害を防ぐため …, https://office110.jp/security/knowledge/cyber-attack/session-hijacking

セッション ハイジャックとは何か | F5, https://www.f5.com/ja_jp/glossary/cookie-poisoning

セッションハイジャックの仕組みから対策までわかりやすく解説 …, https://www.lanscope.jp/blogs/cyber_attack_pfs_blog/20231225_17585/

そのホームページ大丈夫? セッション・ハイジャックって何 …, https://mbp-japan.com/tokyo/itlaboj/column/5109330/

【初心者向け】セッションハイジャック対策 〜なぜHTTPSで通信 …, https://zenn.dev/ichimia111/articles/1c5f8c364b83c1

ASCII.jp:Amazonの二要素認証が突破される? 新手の詐欺が発生中, https://ascii.jp/elem/000/004/160/4160479/

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