
「これは偏見じゃなくて、ただの職業病なんです」と前置きしつつ——オンライン予約の通知が鳴るたび、私はまず件名よりも差出人のメールアドレスに目がいきます。
@docomo や @ezweb、@i.softbank の“キャリアメール”を見ると「落ち着いた年齢層かな」と想像し、@yahoo.co.jp を見ると「私と同世代、もしくはちょっと上の先輩かもしれない」。そして @gmail.com だと「若めか、Androidユーザーかな」。外れることも山ほどあります。ええ、探偵どころか町内会の迷子アナウンスくらいの精度です。
それでも、修理やご相談のやりとりを何千と重ねてくると、メールの“育った時代”がうっすら見えてくる瞬間があるんです。今日は、その肌感と、実際の傾向を合わせて「メールアドレスで年齢は推測できるのか?」を、人間味多めで語ってみます。
三つの“メールの時代”が同居している
L1:キャリアメールは「慣れ」と「安心」を守る層
@docomo、@ezweb(@au)、@i.softbank など、携帯キャリアとセットのメール。
このアドレスが来ると、私は返信をゆっくりめの文体にして、電話番号も添えます。機種変更でも引き継ぎやすく、迷惑メール設定も厳しめ。だから「届くこと」「見逃さないこと」が最優先。まるで長年使っている固定電話の番号のように、暮らしに根を張っている感じがします。
「迷惑メールフィルタが強すぎて、うちからの案内が弾かれる」問題。対策として、件名に【予約確認】などの“目的ラベル”を入れると通りやすいことが多いです。
L2:Yahoo!メールは「国内サービスと一緒に年を重ねた」層
@yahoo.co.jp が届くと、「インターネットの初期からPCで触ってきた世代かな」と想像します。PayPay、Yahoo!ニュース、ショッピングなど国内サービスとの結びつきが強いので、スマホを乗り換えてもIDごと使い続けやすい。
私自身、ブログ黎明期はYahoo!ニュースからネタを拾い、オークションで中古パーツを落札しては、夜なべして検証してました。あの頃に作ったヤフーID、今でも肌着みたいに馴染むんですよね。替える理由がない。
「迷惑メールフォルダに予約案内が吸い込まれていた」。Yahoo!メールは学習が効くので、最初の1〜2回だけ“受信に戻す”の操作をお願いしています。
L3:Gmail は「どこでも働ける道具」を選ぶ層
@gmail.com は、若い世代だけでなく“効率重視の大人”も多い印象。端末やキャリアに縛られず、検索も強いし、スレッド管理も軽快。添付の自動プレビューや、下書き提案に助けられたこと、私も数え切れません。
仕事と私用の境界が曖昧でも管理しやすく、「メール=作業のハブ」という感覚が強い。だから、予約メールにも日付やチェックリストを箇条書きで入れると喜ばれがちです。
どうして“三層”に分かれるのか
1. 育ったインターネットの風景が違う
PCから始めたか、携帯から始めたか。最初に触れたメール文化が、そのまま「当たり前」になりやすい。
・PC黎明期にアドレスを取った人は Yahoo! をそのまま大事に(ID連携が便利)。
・スマホの全盛から入った人は Gmail を“標準装備”として受け入れやすい。
・携帯ショップで全部やってもらえる安心感が大事な人にはキャリアメールが合う。
2. 「変えない理由」の強さが違う
アドレスを替えるのって、実は引っ越し並みに大変です。銀行、会員サイト、家族LINEの連携……。年齢に限らず、生活がメールに深く結びつくほど“変えない力”が働きます。キャリアメールはサポート込みの安心、Yahoo!は国内サービスとの太い導線、Gmail は“どの端末でも同じ体験”という利便性。みんな、「今の暮らしを守る」最適解を選んでいるだけなんですよね。
これからの変化と、私の予想(という名の願い)
高齢の方でもスマホ移行がどんどん進み、キャリアメール一本だった方がフリーメールを併用するケースが増えています。受け皿として馴染みのある Yahoo!メールに落ち着く流れもあるし、子や孫の勧めで Gmail を新規に作ることも。
一方、若い世代は即時連絡をメッセージアプリに寄せ、メールは「予約の控え」「お店との正式連絡」「領収書の保管庫」という“記録係”へ。メールはますます“静かだけど大事な場所”になっていくはずです。
アドレスで“決めつけない”、でも“配慮は変える”
メールアドレスは、その人の歴史の一部。@docomo には暮らしの安心、@yahoo.co.jp には国内サービスと歩んだ時間、@gmail.com には軽やかさと効率。どれが偉いでも正しいでもなくて、「その人にとってのやりやすさ」が染み込んでいるだけ。
私の仕事は、その染み込み方を想像して、伝え方を少し変えること。苫小牧の小さな店ですが、キャリアメールには“ゆっくり丁寧に”、Yahoo!には“馴染み優先で”、Gmail には“短く要点だけ”。そして時々、思い切ってお電話する。
メールアドレスで年齢をピタリと言い当てることはできません。けれど、「届く」「伝わる」「安心できる」は、こちらの工夫でいくらでも近づけますからね。














