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画面が映らない…原因はマザーボード?CPU?自作PCトラブルの実例

CPUかマザーボードか、それが問題だ

マザーボードが悪いのか、それともCPUがダメになったのか、切り分けがしたいんです

そんな一通のお問い合わせをいただいたのは、ある午後のことでした。電話越しに伝わるお客様の声からは、パソコンが突然沈黙した戸惑いと、でもどこか冷静に状況を分析しようとされている姿勢が感じられました。

お話を伺うと、その方は自作PCの経験者。使用中の構成は、Ryzen 3000番台のCPUに、B450のマザーボード。ある日ふと思い立って、BIOSからTPMの設定をいじったそうです。セキュリティ関係の機能を有効にするのは、今の時代とても大事なことですから、その判断自体は悪くありません。

でも、問題はその“直後”に起きました。

画面が真っ暗になった瞬間、頭も真っ白に

再起動をかけたその瞬間、モニターには何も映らなくなった。ファンは回る。でも、ピープ音も出ない。画面は沈黙したまま。

「これ、どっちが壊れたんでしょうね…CPUかな、マザボかな…」

そんな問いかけを受けて、私も一瞬黙り込みました。こういうとき、頭の中では一斉にチェックリストが走ります。電源は?メモリは?外して再装着は?――でも、今回は「BIOSの設定変更直後」という前提がついている。

壊れたとは限らない。その経験、私にもあります

ここでふと、数年前の自分を思い出しました。まだ今ほど経験もなく、PCのBIOSでよくわからないまま設定をいじっては、画面が真っ暗になり、血の気が引いたあの瞬間…。あのときは本当に焦りました。

でも、そんなときに私を助けてくれたのが、「CMOSクリア」でした。マザーボードにあるクリアジャンパや、ボタン電池の取り外しによって、設定を初期化するあの操作。これで何度“生還”したことか…。

だから今回も、私の第一のアドバイスは「CMOSクリアを試してみてください」でした。

もちろん、これは万能薬ではありません。でも、BIOS設定の変更だけでCPUが物理的に壊れるというのは、滅多にありません。CPUが壊れるのは、もっとこう、ドラマチックというか、雷が落ちたとか、通電中にヒートシンク引っこ抜いたとか、静電気で“パチッ”とやったとか、そういう「明らかにマズいこと」が起きたときです。

電話だけでは限界がある理由

今回のお客様は、部品の差し替えもご自身でできるとのことで、電話でのアドバイスのみで完了となりました。ただ、正直申し上げると、こういった内容は「診断」に該当します。

「設定をリセットしても映らない」「パーツは動作するけど何も表示されない」――こうしたトラブルは、現物を前にしないと分からないことが多いのです。実際、現場では“仮パーツ”を使って一つずつ切り分けをしていく地道な作業が必要になります。

そして見落としがちなのが、CPUやマザーボードを交換した場合、Windowsのライセンスが無効になる可能性が非常に高いという点。これは本当に多くの方が「え、そうなの?」と驚かれます。でも現実には、マザボ交換=“別のパソコン”と見なされてしまうんです。Microsoftさん、なかなか厳しいですね…。

奇跡は、待つものではなく、作るもの

もしかしたら、もう一度電源を入れたら直るかも…
その気持ち、ものすごくよく分かります。私も昔はやってました。10回くらい電源ボタンを押しては消して、最後は謎の祈りまで捧げてました。でも、パソコンってそんな“気まぐれな神様”みたいな存在ではないんですよね。

特にトラブルが起きた直後は、“通電の回数”をなるべく減らすことが大事です。中の部品に負担をかけずに、問題をさらに悪化させないようにするためにも、できるだけ早く診断を受けていただくのが一番です。

最後に:私たちができること

当店では、マザーボードやCPUの動作確認はもちろん、それ以外のパーツに問題がないかも含めて、丁寧に診断を行っております。「どこが壊れたのか」だけでなく、「どの部品は再利用できるか」までしっかりとお伝えします。

パーツ交換で直るか、それとも新しい構成にするか。どちらがコストパフォーマンスが良いか――そんなご相談も大歓迎です。

もし、今まさに画面が映らず、どうしようか迷っている方がいらっしゃれば、どうか一度ご相談ください。
あのときの私のように、焦って空回りしてしまわないように。
“その一歩”のお手伝いができれば、こんなに嬉しいことはありません。