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安くても損する?AliExpressと消費税の微妙な関係

ある日、いつものようにパソコン修理の部材整理をしていたとき、ふと気づいたんです。

USBメモリの在庫、だいぶ減ってるな

そう思って、久しぶりにAliExpressを開いてみたんですよ。半分興味本位、半分は節約魂ですね。検索してすぐに目に入ったのが、SanDiskの32GB USBメモリ。……1本500円台。

あれ?これ本物?」と目を疑いました。でもレビューは上々、パッケージ画像も精巧。「こりゃ掘り出し物だ」と思わず20本まとめ買い。届いたものも動作良好で、これは久々の“当たり”だと内心ガッツポーズ。

でもその喜び、長くは続きませんでした。

税理士さんの一言「それ、控除できないかもしれませんよ」

仕入れの帳簿処理をする中で、税理士さんに言われたひとことが頭に刺さりました。

税理士

AliExpressでの仕入れは、インボイスの要件を満たしてないことが多いので、消費税控除ができない可能性がありますよ……

……え?私、ちゃんとインボイス登録してますけど?

税理士

そうなんですが、問題は“相手”なんです。AliExpressでの取引先が、日本の“適格請求書発行事業者”じゃない場合、仕入税額控除の対象にはならないんですよ

そのとき、思わず「あっ…」とつぶやいてしまいました。真面目に制度に対応して登録までしたのに、相手の登録がなければ意味がない?その瞬間、安く買えたという“得した気分”が、音を立てて崩れていきました。

「安くても、控除できなきゃ高くつく」…それは本当か?

後日、自分でも調べてみました。結果、税理士さんの言葉はやっぱり正しかった。

AliExpressは中国など海外業者が出品しているため、多くの場合は日本の「適格請求書発行事業者」ではありません。だから、消費税の控除対象にはならない。これは、制度上もう避けようのない“壁”です。

ただし、一つだけ救いもあります。

税関で「輸入消費税」がかかって、それに対して正式な領収書(証憑)が発行されていれば、控除可能だという点。

でもAliExpressは商品の価格を“安く申告”して送ってくるケースが多く、そもそも輸入消費税がかからないことも多い。つまり、多くの場合は証憑が手に入らず、控除できないわけです。

この10%の壁。想像以上に重い。

スピードとコスト、リスクの中での選択

とはいえ、AliExpressの魅力もやはりあります。

昔は「いつ届くかわからない」イメージでしたが、今はヤマト運輸や佐川急便で1週間以内に届くことも珍しくありません、しかも配送ステータスはリアルタイムでプッシュ通知。

国内のAmazonと比べればスピードは劣りますが、「時間に余裕がある仕入れ」には十分使える。そして何より、やっぱり安い。USBメモリ20本で送料込み10,000円前後。これは日本ではまず無理な価格。

ただし、この「安さ」には、“控除できない消費税分”という見えないコストが乗ってくる。

もしそれを含めて計算しても「安い」と感じられるなら、それは“お得”。でも、価格差がそこまでなければ、その10%はじわじわと利益を削っていく。

まさに、「博打」なんですよね。

国産品への想いと、もしトラの影

もちろん、できることなら国産品を使いたい。品質の安定感も、サポートも違います。でもやっぱり価格差は大きい。

最近では「トランプ氏が再び大統領に?」というニュースも聞こえてきて、「もしまた関税強化が再開されたら、今度はアメリカ経由のパーツも高騰するのか…」と、不安は募るばかりです。

部品を扱う身として、価格の動きや世界情勢まで考えながら仕入れ先を選ぶ時代になったんだなと、しみじみ感じています。

仕入れの本質は「信頼」と「責任」

現在、私の仕入れは国内が6割、中国が4割。正直、国内だけで完結できれば一番ラク。でもそれだと、お客様に納得いただける価格で提供できないこともある。

だからこそ、“海外仕入れのリスク”を理解した上で、あえて選択する。AliExpressは、あくまでも「ストック用」や「予備パーツ用」と割り切る。大事な作業に使うものは、やっぱり信頼性の高い国内品。

そうやって、日々の選択を繰り返していくうちに、自分の中に“仕入れの哲学”みたいなものが少しずつ形になっていくような気がします。

数字の裏にある“実感”を忘れない

経営者として数字を追うのは大切。でも、「安く仕入れたはずなのに、どこか引っかかる」という心のざわつきも、決して無視してはいけない。

AliExpressの買い物は、ある意味“現代の市場”。得もあれば、落とし穴もある。でもそれを分かった上で付き合えば、仕入れの幅も広がるし、リスクとの距離感もつかめてくる。

今日もまた、AliExpressのページを開きながら、頭の中でそろばんを弾いています。「これは本当に安いのか?」「あとで税金で泣かないか?」そんな問いを自分に投げかけながら。

私たち修理屋の仕事は、こうした小さな選択の積み重ねでできている。最近、そう実感することが増えてきました。

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ABOUT US
アイコン哀喜
ピシコ
北海道苫小牧市でパソコンとiPhone修理業を営んでいます
三度の飯よりも修理好きでゲームとプラモが趣味
19匹多頭飼いするほどのハムスター好き
最近は筋トレでの減量にハマってます(←NEW)