「ちょっと良いかな?」
このお客様は10年間、この通話の一言から始まります。
このお電話だけのご相談が毎年、しかも一年でこの期間に一度だけ。不思議に思ったのは2年目から、話し相手が欲しいという感じでも無い。
内容はご利用されているパソコンのソフトの相談や、パソコン関連の雑談を30分程の会話で終了。
個人的に不思議なことは、当初は開業して間もない時期で、お電話番号もそれほど周知されていない時からのお問い合わせでしたので、珍しいお客様だとは思っておりました。
今回も、そのお客様は淡々と「これって(パソコンの専門用語などのご質問)どういう事なのですか?」などの会話をしておりましたが、10年が経ったという事で、私は思わず
「今回のお問い合わせで10年が経ちましたね。実は・・・私は最初にお電話を頂いた時、当初この事業がどこまで続くか不安な時期だったんですよ、でも広告も出していない時期にお電話を頂けた事に高揚したのを今でも覚えています」
と、お伝えすると
「・・・そうですか、もう10年間ですか、ありがとうございました」
との返答を終えた後にお電話が切れました。
え?
私にとっては開業してからの恒例行事であるようなイベントでもありましたので、こんなにあっさりと終わってしまったのか、と寂しくもありましたがこのお客様は、もしかしたら始めたばかりの当店にエールを贈って頂けたのではないかと解釈させて頂く事にしました。
まだ開業して間もない時期の初めてのGWは店内は閑散と静まり返り、誰が見るであろうか分からないホームページ(当初はHTMLを手打ちで制作)を黙々と更新しておりました。
そんな時にかかってきたこの一本のお電話。
私にとっては「名も存じないお客様」との会話は何だか救われた気がしたんですよね。そして、その会話と解釈したお問い合わせはこれで終わりなのかな?と思うと感慨深いものがあります。
もし、そのお方がこの記事をお読みになられているのであれば、一言。
来年もお待ちしております
また、お話しをしましょう。