
小さな変化が教えてくれる “老い” のサイン
最近、うちのハムスターの様子が少し変わってきました。以前は夜中に回し車を豪快に走り回っていたのに、最近は寝ている時間が増え、動きもゆっくり。
特に気になったのが──トイレの段差をまたぐ動作が苦しそうになってきたこと。
ほんの数センチの縁ですが、高齢のハムスターにとっては意外と負担になるようで、毎回「よいしょ」と体を持ち上げているのが見ていて分かるようになりました。「これはさすがに何か対策を考えないと…」と思い、介護用のトイレを探してみましたが、売っているのは壁が高いタイプばかり。“段差のない介護向け小動物用のトイレ”というカテゴリーが、そもそも存在しない のが現状なんですよね。
Geminiに「こんなトイレ作れない?」と聞いてみた結果

私は3Dモデリングの専門家ではありません。複雑な形状を作るのはかなり苦手です。
そこで思いついたのが AI(Gemini)に相談すること。
「高齢ハムスターでも入りやすい、浅いオープン型トイレを作りたい」と正直ざっくりした説明を投げてみたところ──Geminiは、
まさかの “即・設計図提供” という展開に。正直、コードを見ても「呪文かな?」という感想でしたが、OpenSCADに貼り付けて Enter を押すと、思い描いていた形がそのまま画面に表示されました。
// ハムスター用 浅型オープントイレ
// 単位はミリメートル(mm)です
// --- 設定エリア ---
// トイレの横幅 (A1 miniなら最大180まで)
width = 105;
// トイレの奥行き
depth = 105;0
// 全体の高さ(ここを小さくすると浅くなります)
// 砂が少し入る程度なら15〜20mm、ほぼ床なら5〜10mm推奨
height = 5;
// 壁の厚み (丈夫にするなら3mm、軽くするなら1.5mm)
wall_thickness = 1.5;
// 底の厚み (薄すぎると割れるので2mm以上推奨)
floor_thickness = 2.0;
// 角の丸み (掃除のしやすさに影響します)
corner_radius = 10;
// --- ここから下は計算プログラム ---
$fn = 60; // 曲線の滑らかさ
module rounded_box(w, d, h, r) {
hull() {
translate([r, r, 0]) cylinder(r=r, h=h);
translate([w-r, r, 0]) cylinder(r=r, h=h);
translate([w-r, d-r, 0]) cylinder(r=r, h=h);
translate([r, d-r, 0]) cylinder(r=r, h=h);
}
}
difference() {
// 外側の形
rounded_box(width, depth, height, corner_radius);
// 内側をくり抜く
translate([wall_thickness, wall_thickness, floor_thickness])
rounded_box(width - wall_thickness*2, depth - wall_thickness*2, height, corner_radius - wall_thickness);
}「なるほど…これがAIの時代か」と軽く衝撃です。
Bambu Lab A1 miniでプリント

設計データができたら、あとは印刷するだけです。
今回は安全性の高い PLAフィラメント を使用しました。
- 植物由来でハムスターがかじっても比較的安心
- 印刷が安定していて反りにくい
- 仕上がりが綺麗
特に介護目的なので、安全性は最優先です。
Bambu Lab A1 mini は扱いやすく、スライサーにデータを読み込ませてボタンを押すだけで自動的にプリント開始。数十分後には、浅型で角がすべて丸められた「段差ほぼゼロのトイレ」が完成しました。
手触りも引っかかりがなく、入口は床材を敷くと完全に“地続き”になります。
実際に使ってみたら…負担が明らかに減った
完成したトイレをケージに入れて様子を見ていると、高齢のハムスターが起きてきて、そのまま自然にスッと入りました。
今まで必要だった「縁を越える動作」が丸ごとなくなり、見ていても明らかに負担が軽くなっているのが分かりました。段差がなくなるだけで、こんなにも動きが変わるんだなと実感しました。
AI × 3Dプリンターは“必要なものを必要な形で作る”時代へ
市販のペット用品はどうしても「一般向け」のデザインが多く、高齢化した小動物に向けた選択肢はまだ少ないのが現状です。
でも、AIと3Dプリンターを使えば、
- 市販されていないもの
- その子にピッタリの形状
- 細かな段差や角などの配慮
これらを 自分の手で用意できる時代 になりました。私は特別な技術を持っているわけではありませんが、AIの助けを借りることで “想いを形にする” ことができました。
もし同じように、「老いてきたペットのためにできることはないかな」と悩んでいる方がいれば、3Dプリンターを使ったこうした工夫も、ひとつの選択肢として知ってもらえたら嬉しいです。















