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車の中でiPhone修理?海外で流行る不思議なスタイルと日本の現実

車の中でiPhone修理?海外で流行る不思議なスタイルと日本の現実

最近、寝る前やお昼休みにInstagramを開くと、つい長時間スクロールしてしまいます。そこでよく目にするのが「車の中でiPhoneを修理する動画」。海外ではこれがかなり流行っているようで、画面交換からバッテリー交換まで、狭い車内でサクサクこなしているんです。

え、車の中で直すの!?」と最初は驚きましたが、考えてみれば私も14年ほど前、出張修理をしていた頃は、駐車場に停めた車内で修理した経験があります。懐かしい気持ちになりつつ、「でも実際はあれ、大変なんだよなぁ」と思い出しました。

私が車内修理をやめた理由

正直に言えば「めんどくさい」から(笑)。でも本当の理由はもっと現実的で、精度の高い修理ができない環境だからです。

例えば車内では…

  • 作業台がなく、ネジやパーツが転がりやすい
  • 照明が弱く、基板やコネクタの確認が困難
  • 夏は車内温度が50度近く、冬は0度以下で液晶やバッテリーに悪影響
  • 静電気防止のアースバンドを取りづらく、基板作業が危険

つまり「交換系」の修理ならまだしも、基板修理やハンダ作業は絶対に不向きなんです。温度管理ができない車内で、ICチップをリフローするなんて想像しただけで冷や汗ものです。

苫小牧で出張修理をしていた頃の話

当店がある苫小牧では、今はほとんど需要がありません。でも14年前は片道60km圏内まで出張して、車の中やお客様の玄関先で修理することもありました。

当時は「便利さ」が喜ばれましたが、ガソリン代は年々高騰。さらに修理部品の価格競争も激化し、利益が出しづらくなっていきました。駅前の修理店は人件費や賃料の関係で高い料金設定にしていましたが、品質が特別に高いわけではなく…という裏事情もあります。

結果として「このやり方は持続できない」と判断しました。

もし専用車を作るなら?

それでも今でも「専用車両を作ればアリかも」と考えることがあります。普通の車ではなく、作業台やLED照明、静電気防止マットを常設した「修理ラボ車両」。さらにインバータで安定した電源を確保し、夏冬でも温度を一定に保てる空調を積めば、かなり精度の高い作業が可能になるはずです。

これはやり過ぎのイメージ、だけど意外ににカッコいいね

ただ現実はシビアで、苫小牧でこの需要があるかどうかは不明。札幌のような人口数なら採算が取れるかもしれませんが、地方では夢物語で終わる可能性が高いですね。

海外で流行る理由と日本との違い

なぜ海外で車内修理が流行っているのか。

一つは「土地の広さ」。アメリカでは隣町に行くだけで1時間以上かかることもザラ。だから「お店に来てもらう」のではなく「こちらから行く」のが合理的です。

もう一つは「文化の違い」。日本人はちょっとした傷でも気にしますが、海外では「まだ使えるから大丈夫」とそのまま。致命的に壊れるまで修理しない人が多いんです。だからこそ、必要になった時に出張修理の需要が爆発的に高まるんですね。

あとは「チップ」の文化が日本に無いから、も加えておきます。

動画を見て気づいた落とし穴

動画を見ていると「作業けっこう雑だな」と感じます(笑)。でも成功した修理しか公開されないので、裏側の失敗は見えません。

iPhone修理は工具さえあれば誰でも挑戦できますが、成功するかどうかは経験と情報量次第。ネジ一本の締めすぎで液晶が割れることもあれば、静電気で基板が一瞬で壊れることもあります。

だから「動画を見たら自分もできそう」と思うのは危険です。

修理は慎重に

最近はAI検索で修理方法を調べて、自分で挑戦する方も増えました。でも失敗して「最初からAppleに出せばよかった」と後悔するケースも少なくありません。

車内修理動画は見ていて楽しいし、スキルアップのヒントにもなります。ですが、現実の修理はもっと環境や精度がシビアです。勢いだけではなく、慎重に判断していただければと思います。