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パソコン設定業者がバカすぎる?現場で起きた“信じられない電話”の話

開業15年目で味わった「最も無駄な40分」

最初に白状します。これは、たぶん、いや、きっと愚痴です。

先日、A様にパソコン本体+初期設定まで含めたお見積もりをお渡ししました。お見積もりはあくまでご検討材料。決まっても決まらなくても、こちらは静かに結果を待つだけ――そのつもりでした。

ところが、とある“初対面”の設定業者さんから突然の電話。

業者さん

A様の見積書、どうやったらこの価格になるんですか? 設定内容も教えてください

頭の中で、つい本音がよぎります。「え、他社の見積もりを本人に聞く? バカなのか?いやいや、落ち着け自分」。ここで感情のネジが一本飛びかけましたが、「お答えできかねます」と丁寧に回答。

すると相手は畳みかけます。

業者さん

では、御社の見積は虚偽記載ですね?

やっぱバカでしょ(笑)

…二本目のネジが飛びました。でも口では「そのような事実はございません」とだけ。逆の立場なら、こんな電話3秒で切られます。結局、「当店は他のお客様にも同条件でご提案しています」とだけ伝え、通話終了。

数時間後、何故かお客様のA様から電話があり

A様

その業者さんが、もっと安くできるって言ってたから、あっちでお願いするつもりだったから、設定内容も教えてあげて?


えっ!!それ本気で言ってるんですか???(笑)

うーん……結果すべてお断りさせて頂き完了しました。

量販店の「取り違え事件」

似た話で、家電量販店で購入したPCの初期設定をご依頼いただいたとき、設定完了後に量販店から「間違った機種を引き当ててしまいました!」と連絡が。

先方はお詫びとして「設定費用はこちらで負担します」とのことでしたが、そもそも“間違ったPC”の設定は無効。ここはお代をいただかず、案件をきれいにリセット。お客様に「当店で代替機のご提案も可能です」と選択肢をご用意した結果、当店でご購入いただく流れに。争わず、感情で動かず、手順で整える。結果として、みんなが傷を最小限にできました。

繁忙期はどこも冷静さを欠きがち。もちろん私も例外ではありません。だからこそ「気合い」より「仕組み」。経験はブレーキになりませんが、チェックリストはブレーキになります。

口約束をやめて“時系列ログ”で残す

  • 作業を始める前に、依頼内容・到達点・除外範囲をメモ化
  • 作業中は工程ごとに短文でメモ(例:初期設定→Windows更新→Office認証→プリンタ登録…)
  • 終了時にそのままLINEで共有(「本日ここまで。残りは〇〇到着後に実施」)

口でどれだけ伝えても、翌日には“お互いに”忘れます。
文章は冷静さの貯金。時系列を残すだけでトラブルの8割は消えます。

音声→テキストで“微暴録(びぼうろく)”

  • スマホで音声メモ→AIでテキスト化→要点だけ整形
  • 固有名詞(Wi-Fi名、プロダクトキー等)は伏字写真で別送
  • 「やったこと」「やってないこと」「次回やること」を3行でまとめる

例)
・やった:初期設定/Windows更新/プリンタ追加
・やってない:メール移行(旧PC未着のため)
・次回:旧PC到着後にメール・写真データ移行

作業シールで“現物に貼る”

  • 名刺サイズの作業シールを1枚用意
  • 日付/担当/実施項目/注意点を手書きでPC裏に貼付
  • お客様→私→未来の私、みんなが救われます

「見積もりの防波堤」を最初に敷く

  • 見積には前提条件を必ず明記(在庫の変動、ライセンス有無、旧PCの状態など)
  • 比較相談は歓迎、内訳の技術ノウハウの譲渡は不可と事前に宣言
  • 値下げ交渉の代わりに、作業範囲の再設計で調整(「今回はメール移行を後日に」など)

なぜ他社に“見積もり”は教えられないのか

情報には重さと責任がある

見積もりは、その店の在庫状況、仕入れルート、保証体制、人的コストまで含んだ“設計図”。
他社の図面をそのまま渡すのは、当店の信用を同時に手放すことになります。

お見積はあくまでもお客様にお渡しするものであって、他社に利用され助言するものではありませんからね、その点だけは履き違えないようにご理解を頂ければ幸いです。

比較は大歓迎、ただし“同じ土俵”で

  • 価格だけでなく、作業範囲・保証・データの扱いまで並べて比較してください
  • わからない用語は、その場で遠慮なく聞いてください。専門用語の翻訳係は私の仕事です
  • そして、もし他社さんを選ばれても、いつでも戻ってきてください。私たちは“地域の保守担当”でありたいのです

愚痴から始まった話ですが、最後は“仕組み”に着地しました。
人は焦るとバグります。私もです。だからこそ、冷静さを外付けする。チェックリストと時系列ログ、それだけで現場は驚くほど穏やかになります。

そして、もし見積もりで迷子になったら――その時は遠慮なく相談してください。
ネジのゆるんだ日もあるけれど、締め直す方法は、ちゃんとここにあります。