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メモリ高騰の正体を「理科の視点」から読み解く【続・なぜ今メモリーが高いのか】

なぜ今メモリーが高いのか──修理店が語るAI時代の影響

〜32GBが5万円を突破した今、どう動くべきか〜

すみません、DDR5の32GBが欲しいんですけど…

そう言われて、いつものクセで15,000円前後を想像していた私。それが店頭を見ると、価格タグには 50,000円 の数字。

いやいやいや、PC修理屋として長年やっていますが、“メモリよりCPUの方が安い”時代が来るなんて誰が想像できたんですか!?ほんの数年前の私に教えてあげたいです。「未来はこうなるぞ」と。

この記事は、以前書いたメモリ高騰記事の“続編”になります。あれからさらに調べて、さらに現場で感じたことを、ちょっと理科的視点も交えながら、掘り下げて解説します。

なぜこんな値段になったのか?

HBMが“工場を食い尽くす”という異常事態

メモリが高い理由──それは何度も言ってきたとおり HBM(高速メモリ) の存在です。ただ、ここに少し“理科っぽい”補足を入れると、

  • メモリチップは シリコンウェハ(薄い円盤状の基板)から作られる
  • そこに極小の回路を刻み、配線をし、積み重ねる
  • HBMはこの「積み重ね(3D構造)」が非常にシビア

つまり、HBM1個を作るのに、DDR5の約3倍の“材料(ウェハ)”が必要になるんです。これ、理科で言う「体積と表面積」の話に近くて、物質を積み重ねるほど面積増加より“体積消費”が勝つ構造になります。

平たく言えば

同じ量のご飯を茶碗に盛るのに、HBMは“デカいしゃもじ3杯分”必要。DDR5は1杯で済む。

この時点で製造効率が段違いです。

歩留まり(失敗率)問題

HBMはチップを縦積みする都合上、一部の層に傷や不良があると、全部が“ボツ”になるという厳しい運命を背負っています。これは、理科で習う「直列回路」に似ています。

  • ひとつでも電球が切れると、全体が消えてしまう
  • HBMもひと層でもミスると全体が不良品

なので、メーカーは数を作りたくても作れない。そりゃあ、DDR5の生産ラインが減って当然です。

日本市場に追い打ちをかける「円安」と「パニック心理」

ここは以前の記事でも書きましたが、日本は特にダメージが大きい理由があります。

  • メモリは“ドル建て取引”
  • 日本は“円安”
  • つまり 世界的に上がった価格 × 円安でさらに増幅

これを私は“二重インフレ”と呼んでいますが、本当にその通りで、

「海外で2倍」→ 「日本では2.2〜2.5倍に見える」

という悲しい構造。さらに店頭の在庫が減ると、人間はどうしてもこう思いますよね。

アイコン

次いつ買えるかわからないし……今のうちに買っておこうかな?

これがパニック買い → 在庫消える → さらに値上がりの無限ループに入るわけです。

2026年まで高止まりはほぼ確定。

でも“昔の値段”には戻らない可能性が高い

価格予測を見ても、

  • 2025年Q4〜2026年Q1:まだ上がる
  • 2026年中盤:ようやく落ち着くか?
  • しかし「安かった時代」に戻る保証はゼロ

という感じです。理由はシンプルで、

  • メモリメーカーが“利益重視”の経営に転換した
  • HBMはめちゃくちゃ儲かる
  • よってDDR5は“おまけ扱い”になっている

つまり、世界がAI優先の構造になった以上、昔のような激安メモリ時代は戻らないというのが実情です。

ではどうする?

私の結論は“中古DDR5を漁る”これ一択です

ここからは現場で働く人間のリアルな持論ですが──

安く買いたいなら、中古DDR5を狙うしかありません。

新品はもうどうしようもない。世界構造が変わってしまった以上、価格はそう簡単には下がらない。ですが!

中古市場には時々、常識では考えられない価格の「お宝」が眠っています。

実例:つい先日、お客様が「32GB 1万1,000円」で買えました

これは本当にあった話です。お客様からLINEで、「このメモリって買いですか?」と相談が来ました。添付した画像を見てみると、

私も思わずこう返信しました。

アイコン

この価格は熱いですね!即買いしてください!!

こんなの、今の相場を考えると奇跡みたいな値段です。実際そのお客様、「こんな値段で買えたの初めてです!」とめちゃくちゃ喜んでいました。そりゃそうですよ。新品で5万円の時代に「11,000円」ですから。私も最近は中古DDR5を本気で定期チェックしています正直に言うと、私自身も

「もう新品は手が出ない時代になる」

と感じていて、最近は中古市場を定期的に覗いています。メルカリ、ヤフオク、リサイクルショップ、ソフマップ中古……いろいろ見ていると、たまに“狙い目の波”があるんですよ。

  • PCを買い替えた人がポンと売りに出したり
  • 不要パーツをまとめて出品したり
  • 法人在庫がドッと流れてきたり

中古市場は一瞬のタイミングがすべてなので、見つけたときに素早く動ける人が勝ちます。

AI時代のメモリ価格は「元に戻らない」。だからこそ、中古で賢く戦う

ここまでの話をまとめると:

  • 32GBが5万円は“異常”ではなく“新しい現実”
  • HBMの台頭で構造的にDDR5が不足
  • 円安で日本はさらに不利
  • 2026年までは高止まり確定
  • 中古市場だけが、まだ“人間が勝てる”領域

ということになります。もちろん、中古はリスクゼロではありません。でも、11,000円で32GBを拾える世界があるのなら、私はそこに全力で賭けます。

そしてもし、「中古でこれどうですか?」という相談があれば、ぜひ画像やURLを送ってください。“今それ買っていいか判断するPC屋の視点”で、しっかりアドバイスさせていただきます。

AI時代のメモリ不足、無駄な出費をせずに一緒に乗り切りましょう。