
最近とても多いお問い合わせがあります。それが、
「Wi-Fiルーターは10年前のままですが、光回線のルーターに繋がっているLANケーブルを新しいものに替えれば、通信速度は速くなりますか?」
というご相談です。この点については、正直にお伝えすると「速くなる可能性は低い」というのが実情です。
なぜLANケーブルを替えても速くならないのか
理由は単純で、ルーター側の性能が追いついていない可能性が高いからです。
約10年前のWi-Fiルーターの場合、
- そもそもギガ(1000Mbps)に非対応
- LANポートが最大100Mbpsまで
- Wi-Fi規格も古い(11nなど)
こういった制限があるケースが珍しくありません。
この状態では、LANケーブルだけを高性能なものに替えても、ルーターがボトルネックとなり、通信速度はほとんど変わらない、という結果になりがちです。
SNSで見る「LANケーブルで爆速」は本当なのか
最近、X(旧Twitter)などで、
「LANケーブルを替えたら爆速になった」
という投稿を見かけることが増えています。これは決して間違いではありません。ただし、前提条件が揃っている場合に限る、という点が重要です。
その前提条件とは、
- Wi-Fiルーターがギガ対応
- LANポートが1000BASE-T以上
- 端末(PC・ゲーム機)もギガ対応
この環境がすでに整っている場合に限り、LANケーブルを Cat5 → Cat6以上 に交換することで、速度や安定性が向上するケースがあります。
LANケーブルのカテゴリー別 比較表
ここで、LANケーブルの違いを整理しておきます。
| カテゴリー | 最大通信速度 | 最大周波数 | 実用上の評価 |
|---|---|---|---|
| Cat5 | 100Mbps | 100MHz | 現在は非推奨 |
| Cat5e | 1Gbps | 100MHz | 最低限のギガ対応 |
| Cat6 | 1Gbps(短距離10Gbps) | 250MHz | 現在の主流 |
| Cat6A | 10Gbps | 500MHz | ノイズ耐性が高い |
| Cat7 | 10Gbps | 600MHz | 家庭用では過剰 |
| Cat8 | 40Gbps | 2000MHz | データセンター向け |
家庭用途であれば、Cat6 または Cat6A で十分と考えて問題ありません。
Wi-Fiルーター 年式別・LANポート性能の目安
次に、「どの年代のルーターが、どの程度の性能なのか」をざっくり把握できる表です。
| 年式の目安 | 主なWi-Fi規格 | LANポート性能 | 現在の評価 |
|---|---|---|---|
| 2010年頃 | Wi-Fi 4(11n) | 100Mbps | 完全に性能不足 |
| 2012〜2014年 | Wi-Fi 4(11n) | 100Mbps〜1Gbps混在 | 要注意世代 |
| 2015〜2016年 | Wi-Fi 5(11ac初期) | 1Gbps | 最低ライン |
| 2017〜2019年 | Wi-Fi 5(11ac) | 1Gbps | まだ現役 |
| 2020〜2021年 | Wi-Fi 6 | 1Gbps | 安定性向上 |
| 2022〜2023年 | Wi-Fi 6 / 6E | 1Gbps〜2.5Gbps | 高性能 |
| 2024年以降 | Wi-Fi 6E / 7 | 2.5Gbps以上 | 将来向け |
10年前のルーター=性能不足と考えても、ほぼズレはありません。
自宅ルーターがギガ対応か確認する方法
方法①:ルーターの型番を見る
ルーター本体の裏面・底面に記載されている型番を確認します。
仕様欄に、
- 1000Mbps
- ギガビット
- 1000BASE-T
と書かれていればギガ対応です。「10/100」と書かれている場合は非対応です。
方法②:LANポートの表記を確認する
ルーター背面のLANポート付近に、以下のような表記があります。
| 表記 | 判定 |
|---|---|
| 100BASE-TX / 10/100 | 非ギガ |
| 1000BASE-T | ギガ対応 |
| 2.5G / 2.5GbE | 2.5Gbps対応 |
方法③:Windowsでリンク速度を見る
Windowsパソコンをお使いの場合、
- ネットワークの状態
- ハードウェアのプロパティ
から リンク速度(受信/送信) を確認できます。
| 表示速度 | 状態 |
|---|---|
| 100Mbps | 非ギガ |
| 1000Mbps | ギガ対応 |
| 2500Mbps | 2.5Gbps対応 |
※この数値は「ルーター × LANケーブル × PC」すべての最大値が反映されます。
よくある勘違い
「光回線が1Gbps契約だから大丈夫」
これはルーターがギガ対応であることとは別です。
- 回線:1Gbps
- ルーター:100Mbps
この場合、実効速度は最大100Mbpsになります。
おすすめの順番
10年前のWi-Fiルーターを使っている場合は、
- まずWi-Fiルーターを買い替える
- その後 LANケーブルをCat6以上に交換する
この順番が、最も失敗の少ない選択です。
LANケーブルは決して魔法のアイテムではありません。環境全体のバランスを見て判断することが大切です。














