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Windows 11アップデート後に起動不能?Dellで実際に起きた0x7Bの原因

【ブラックアウト回避のための実践手順まとめ】dynabook(第11世代 Intel Iris Xe)× Windows 11 25H2

えー、今日はですね。パソコン修理屋をやっていると、たまに出会うんです。「いや、君は悪くないんだよ。でも、設定がね……」と、パソコンに話しかけたくなる瞬間。

今回も、まさにそれでした。

ある日、突然のブルースクリーン

Dell製ノートパソコン。第8世代CPU。Windows 11をクリーンインストールして、初期設定も完了。動作確認も問題なし。

「よし、ここまで順調だな」

そう思って Windows Update を実行し、再起動をかけた、その瞬間です。画面に現れたのは、

inaccessible_boot_device(0x7B)

……はい、出ました。

このエラー、名前だけ聞くと強そうです。「ブートデバイスにアクセスできません」なんて言われると、SSDが逝ったのかと思ってしまう。でも、経験上、このタイミングで出る0x7Bは“壊れていない”ことが多い。なので、まずやることは決まっています。

BIOSを開く。黙って設定を見る。

Dellの場合、F2。そして確認するのがここ。

SATA Operationの設定が……RAID On

はい、出ました。ここが一番ややこしいところです。

  • HDDなし
  • SATA SSDなし
  • ストレージは NVMeのみ

普通に考えれば、「じゃあSATA設定は関係ないですよね?」そう思いますよね。でも、Dellでは違います。

Dellの「SATA Operation」は名前が嘘をついている

Dellのこの設定、実態はこうです。

SATAだけでなく、ストレージ全体の動作モード

NVMeであっても、

  • RAID On → Intel RST配下
  • AHCI → Windows標準ドライバ直結

という違いが生まれます。つまり今回のNVMeは、

NVMe SSD

Intel RST(仮想RAID)

Windows

という、少し遠回りな構成になっていました。

なぜアップデート後に死んだのか

流れを整理します。

  • クリーンインストール直後
    → 標準ドライバでなんとか動く
  • Windows Update実行
    → Intel RST / ストレージ系ドライバ更新
  • 起動時
    → 「あれ? ブートデバイスどこ?」

結果、inaccessible_boot_device(0x7B)理屈としては、非常に素直です。

やったことは、正直シンプル

  1. BIOSを開く
  2. SATA Operation
    • RAID On → AHCI
  3. 保存して再起動

結果はどうだったか

一発でした。

  • 再インストール不要
  • データそのまま
  • Windows 11、普通に起動

「ああ、君は悪くなかったんだね」そう声をかけたくなる瞬間です。

じゃあ、なぜDellはRAIDをデフォルトにしているのか

ここからは少し考察です。

理由① 法人・管理用途を前提にしている

Dellは、個人向けPCメーカーというより“業務機メーカー” です。

  • 法人向け大量導入
  • 同一構成での管理
  • Intel RST前提のイメージ配布

こうした現場では、

  • RAID On
  • Intel RST

が「標準」になります。

理由② NVMeでも“統一した管理”ができる

RAID On にしておくと、

  • SATAでも
  • NVMeでも
  • 同じ管理体系に乗せられる

これは管理者目線では便利です。

ただし――個人利用では、ほぼメリットがありません。

理由③ 「トラブルが起きにくい」ではなく「管理しやすい」

ここ、誤解されがちですが、

  • RAID On は
  • トラブルが少ない設定ではない
  • 管理しやすい設定

なんです。個人ユーザーや修理現場では、

  • Windows Update
  • ドライバ自動更新

という「想定外」が入りやすく、結果、今回のような事故が起きます。

修理屋としての結論

  • Dell × Windows 11 × NVMe
  • 個人利用・長期安定運用

この条件なら、

SATA Operation:AHCI 一択

RAIDを使う理由がないなら、最初から外しておくのが正解です。今回のトラブル、Windowsが悪いわけでも、SSDが悪いわけでもありません。ただ、

設定が、使われ方と噛み合っていなかった

それだけの話です。同じ症状で悩んでいる方がいたら、Windowsを入れ直す前に、ぜひ一度 BIOS を覗いてみてください。

そこに答えがあるかもしれません。

Dell・Windows 11・NVMe 環境で 0x7B が起きる技術的背景

ここから先は、一般ユーザー向けではありません。BIOS・ドライバ・ブート構成をある程度触ったことがある方向けの補足です。

1. Dell における「SATA Operation」の実体

Dell BIOS の SATA Operation は名称が誤解を招きますが、実際には以下をまとめて制御しています。

  • SATA コントローラの動作モード
  • NVMe を含む ストレージコントローラ全体の抽象化方式
  • Intel RST(VMD含む)の有効/無効

特に RAID On の場合、NVMe SSD は OS から直接は見えず、

  • Intel RST(仮想 RAID / VMD)
  • その配下のストレージ

という形で認識されます。

2. RAID On + NVMe 構成の内部構造

RAID On 時の論理構造は概ね以下です。

NVMe SSD
 ↓
Intel RST / VMD
 ↓
Windows(iaStor / RST ドライバ)

この構成では、

  • ブートローダ
  • BCD
  • ストレージドライバ

すべてが「Intel RST が正常に初期化されること」を前提に動作します。

3. クリーンインストール直後は動く理由

Windows 11 のインストーラは、

  • Intel RST が有効でも
  • Microsoft 標準の互換ドライバで
  • 一時的に起動を成立させる

ことがあります。そのため、

  • インストール直後
  • 初回起動
  • 軽い動作確認

までは 問題なく見える ケースが多いです。

4. Windows Update で破綻するポイント

問題が起きるのはここです。Windows Update により、

  • Intel RST ドライバの差し替え
  • バージョン不整合
  • 依存関係の更新

が発生すると、

  • 起動初期段階で
  • ストレージがまだ初期化されていない

ブートデバイスが見えない

この状態で止まり、結果として 0x7B が発生します。

5. AHCI に切り替えた瞬間に起動する理由

AHCI に変更すると構造がこうなります。

NVMe SSD
 ↓
Microsoft 標準 NVMe ドライバ
 ↓
Windows
  • Intel RST / VMD を完全に介さない
  • ブート時の初期化順が単純
  • 依存関係が激減

そのため、

  • レジストリ修正なし
  • セーフモード不要
  • 再インストール不要

でも そのまま起動できる ケースがあります。今回がまさにそれです。

6. 本来「再インストールが必要」と言われる理由

一般論として、

  • RAID → AHCI 切り替え
  • 既存OSあり

の場合、

  • 起動時に必要なドライバが無効
  • INACCESSIBLE_BOOT_DEVICE

になるため「再インストールが必要」と言われがちです。ただし今回のように、

  • NVMe
  • GPT / UEFI
  • 標準ドライバでインストールされていた

条件が揃うと、Windows側が AHCI / NVMe ドライバを既に持っており切り替えだけで通る場合があります。

7. 実務的な指針(技術者向け結論)

  • Dell × Windows 11 × NVMe
  • 個人利用・小規模業務
  • 長期安定運用

この条件では、

  • RAID On:❌(管理者前提・更新リスクあり)
  • AHCI:✅(最小構成・更新耐性高)
  • Disabled:❌(論外)

RAID を使う明確な理由がない限り AHCI が最適解という判断になります。

8. 同業者向けワンフレーズ

Dell の SATA Operation は名前に反してNVMe を含むストレージ制御全体に影響する。RAID On は Intel RST 依存となり、Windows Update 後の 0x7B を招きやすい。NVMe 単体構成では AHCI が最も事故が少ない。