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iTunesで音楽が同期できない!?その原因は意外なところにあった話

つい先日、とあるお客様からご相談を受けました。
「どうしてもiTunesで音楽が同期できないんです…」と。

話を聞いてみると、iPhoneはしっかり認識されている。ケーブルも問題なし。もちろん、Tunesも最新版。そして音楽やプレイリストもちゃんと存在している。それなのに、いざ同期ボタンを押すと「不明なエラー -54」が表示されてしまう……。

パソコン修理屋として、こういうときってちょっと燃えるんです。「なんとかしてあげたい!」ってね。だけどこの案件、正直、なかなか手強かった。

状況は“正常”なのに、同期だけができないという罠

まず最初に疑ったのは、接続ケーブル。安価なサードパーティ製だったりすると、データ通信ができない場合があるからです。が、今回は違いました。Apple純正ケーブルを使っていたし、iPhone自体はiTunes上にしっかり表示されていた。

じゃあ、次に考えるのはiTunesライブラリの中身。ライブラリの場所がOneDriveに同期されていたり、ファイルが圧縮属性になっていたりするだけでも、エラー -54が出ることがあるんです。でも、それも確認済み。圧縮もされていないし、クラウド同期もオフにしている。

にも関わらず、同期は失敗する。

…正直言うと、こういう時って「お手上げ」に近いんです。でも、ここでふと思い出しました。

「あれ?もしかしてApple Music、契約されてませんか?」

そう、お客様が何気なく話していた一言を思い出したんです。「最近、Apple Musicのサブスクに入ったんですよね」と。

そこでピンときました。Apple Musicに加入すると、自動的に「iCloudミュージックライブラリ(現在は“ライブラリを同期”と呼ばれています)」が有効になる。そしてそれが、今までのiTunesからiPhoneへ“手動で同期する”という方法と根本的に相性が悪んです。

つまり、これまではケーブルで接続して曲をドラッグ&ドロップしていたのに、Apple Musicに入ったことで、それができなくなる仕組みに変わっていたというわけです。

知らなかったら、そりゃ混乱しますよね…。

「仕組みが変わったこと」に気づけるかどうかがカギ

この変更、Appleから特に通知があるわけでもなく、設定もサイレントにオンになります。そして気づかないうちに、「あれ?今まで通りに使えないぞ…」となるわけです。

例えるなら、いつもの鍵で開けてた玄関が、ある日いきなり指紋認証に変わっていたようなもの。鍵が悪いのかと思ってガチャガチャやっても開かないし、そもそも「扉の仕組み」が変わっていることに気づかないと、永遠に解決しないんです。

解決策は、“クラウド時代の使い方”に切り替えること

では、どうやって解決したのか。

まずは、iCloudミュージックライブラリ(ライブラリを同期)をオフにすることで、昔ながらの手動同期に戻す方法があります。でも、今回はお客様がApple Musicを積極的に使っていたので、それでは本末転倒。

そこで取った方法は逆転の発想。「iTunesから手動で同期する」のではなく、「Apple Musicのライブラリに曲を追加し、iCloud経由でiPhoneに反映させるという使い方に切り替えました。

最初は「なんだか面倒そう」と思われていたお客様も、「え、曲をiTunesに入れるだけで自動で反映されるんですか?」と、最後には驚かれていました。

同期できないのは不具合じゃなく、“使い方が変わった”だけだった

今回のようなケースは、決して珍しくありません。むしろ、Apple Musicを使い始めたタイミングで「iTunesがうまく動かなくなった」と相談に来られる方、ここ最近すごく増えています。

でも、これはパソコンやiPhoneが壊れたわけじゃなくて、時代が、クラウドを前提とした仕組みに移り変わってきたというサインなのかもしれません。

私たち修理屋としても、こういう「壊れていないけど、動かない」事象に出会うと、自分たちの知識の更新が必要だなと痛感します。

最後にひとこと

もし、あなたのiTunesで突然同期ができなくなったら――。それはもしかしたら、「あなたのせい」ではなく、「時代の仕様」かもしれません。

Apple Musicを使っているなら、「ライブラリを同期」がオンになっていないか確認してみてください。そして、自分に合った音楽の楽しみ方を、もう一度見直してみてはいかがでしょうか。

きっと、今までよりもスマートな使い方が、そこにあるかもしれませんよ。