
先日の震度5強の地震。苫小牧では久しぶりに「これは来るかもしれない」と身構えるような強い揺れでした。
揺れのあと、店内を見回してみると、いつも通り動き続けてくれていた機材たちの中で、ひとつだけ静かに異変を訴えている存在がありました。——液晶モニターのポールが、ほんの少し、曲がっている。
大破ではない。だけど、じっと見ていると胸の奥に「そろそろ替え時かもしれない」という淡い不安が湧いてくる。実は少し前からモニター環境の入れ替えをしようと考えていたところだったので、今回の揺れはその背中をそっと押してきたようなものでした。
修理屋の“現場事情”は、端子の種類で決まる
パソコン修理という仕事をしていると、絶対に避けて通れないものがあります。それは——映像出力端子のカオス。
昔ながらのアナログVGA。主流のHDMI。法人デスクトップ界隈を牛耳るDisplayPort。
これら全部を、一日に何回も、機種ごとに差し替えてチェックするわけです。特に DELLのデスクトップはHDMIではなくDPが標準。そのおかげで「DP対応してないモニターじゃ話にならない」という場面も多い。
頭では分かっていても、毎回アダプタを付け替える作業は地味にストレスで、「今日こそはDPのまま統一してやる!」と意気込んでは、3分後にVGAの古いノートを持ち込まれて現実に引き戻される——そんな日々です。
正直、修理屋の動作チェック環境って、パソコンよりモニターのほうが重要なときがあるんですよね。
アダプタ運用という名の“永遠の負債”
もちろん私も考えました。“変換アダプタを揃えればいいんじゃないか”と。でも実際は……
- BIOS画面だけ映らない時がある
- DP→HDMIが相性で沈黙する
- 端子の抜き差しでケーブル寿命が削れる
- 静電気で不具合を誘発することもある
- 差し替え作業が単純に面倒くさい(ここが一番大きい)
修理の現場は「早く確実に映る」が全て。毎回アダプタに気を遣っているようでは、本職としてストレスが大きすぎます。そんなこんなで、“全部入りモニターを1台ドンと置いたほうが絶対に正解”という結論にたどり着きました。
ようやく巡り合った、三種の神器対応モニター
実は、今どき VGA・HDMI・DP の三系統が全部揃ったモニターってかなり貴重です。新品ではほとんど絶滅危惧種。そんな中でも、修理店の“現場”にマッチするモデルを厳選しました。
I-O DATA「EX-LDH241DB」
—これぞ“全部入り”の救世主。


修理屋に刺さるポイント
- DP / HDMI / アナログ(VGA)全対応
- BIOSの表示が速い、相性が少ない
- 画質より「安定動作」が重視されている
- 価格も手頃で壊れにくい
「とりあえず1台置くならコレ」感がすごいです。
I-O DATA「EX-LDH271DB」
27インチの余裕、なのに全部入り。


作業領域が広く、文字も大きく見やすい。修理したPCの設定を進めながら、隣でマニュアルや情報を並べて確認する時に便利。27インチで三系統入力があるのはかなりレア。
Acer「B247Y」
—姿勢自由、プロ向けの安定感。

高さ調整・回転・ピボットなど自由自在。修理中のログ画面を縦長表示で見たい時なんかはこれが最高です。法人向けの堅牢さもあって、揺れにも強い印象。
地震と、買い替えの「きっかけ」
今回の揺れでポールが少し曲がったこと自体は、大きな問題ではありません。でも不思議なもので、「そろそろ環境を整え直しておけよ」と、背中を押されたような感覚がありました。
修理屋は毎日、何十台ものパソコンの“健康チェック”をするわけですが、その土台となるモニターが揺らいでいては、本末転倒です。
私自身、いろいろと考え込む前に、まずは1台、確実に仕事が進む環境をつくる。今回の買い替えは、そんな自分へのメッセージのようにも感じています。
修理現場は“見えるかどうか”が正義
パソコン修理って、派手な仕事じゃありません。でも毎日、お客様のデータや思い出が詰まった機械に向き合いながら、「どうか無事に動いてくれ」と祈るような場面も多いものです。
そんな現場で、 映る/映らないの判断を数秒縮められる のは、とても大きい。地震で曲がったモニターが、「あ、そろそろアップデートしとけよ」と教えてくれたのかもしれません。
次の揺れが来る前に——そして次の修理が持ち込まれる前に。新しいチェック環境を、またひとつ整えていこうと思います。














