
最近、あるご年配のお客様からこんなご相談を受けました。
「Excelって、昔は無料だったよね?なんで今はお金かかるの?」
一瞬、「ああ、これは少し誤解があるな」と感じつつも、私は昔のことを思い出しました。確かに、Windows 95や98、XP時代のパソコンって、電源を入れるとすでにWordやExcelが使えたんですよね。ディスクもなし、インストール作業もなし。
でも、それは“無料”だったわけじゃなくて、パソコンを買ったときにOfficeも一緒に買わされていたという、いわば“抱き合わせ商法”だったんです。しかも当時はプロダクトキーも割とザルで、あちこちにコピペされていたという、今では考えられないような時代でした。
サブスクが当たり前の若者と、戸惑うシニア世代
今や、WordやExcelを使うにはマイクロソフトアカウントの登録が必須。プロダクトキーを入れても、それは自分のアカウントに紐付けられ、使い回しなんてもちろんできません。
この流れ、若い世代にはごく普通のこと。でも、長年“起動すれば使えるもの”だったOfficeが、“毎年2万円払ってようやく使える”なんて仕組みに変わってしまったら……そりゃ戸惑いますよね。
「何で毎年そんなに払うの?前は無料だったのに!」
この言葉には、懐かしさと怒りと、ちょっとした寂しさが混ざっているように感じました。
買い切りはもはや“絶滅危惧種”?
Office 2021のような買い切りモデルも、まだ辛うじて生き残っています。でも、パッケージ販売は年々縮小傾向にあり、マイクロソフトは明らかにサブスクリプション(Office 365)へと誘導している節があります。
ちなみに、パソコンを購入する際に+25,000円でOfficeがバンドルされているモデルも多いのですが、これはまだ良心的な方だと思います。とはいえ、アカウントの管理、特にIDとパスワードを忘れたときの復旧作業は、なかなか大変です。
マイクロソフトアカウント、これはもう「Windows用の運転免許証」みたいなもの。失くしたら再発行はできますけど、身分証(登録メールアドレスや電話番号)がなければアウトです。
サブスクの「良さ」と「落とし穴」
さて、ここでちょっと例え話を。
昔、TSUTAYAでCDを借りて、アルバム10枚で2,500円くらい払った経験、ありませんか?でも今はSpotifyなどの音楽配信サービスで、月1,000円で何万曲でも聴ける時代。
コスパで言えば圧倒的に今の方がいい。
でも、問題は「使ってるかどうか」です。
YouTube Premiumに入ったけど、最近はNetflixばかり見てるとか、ChatGPTの有料プランに入ったはいいけど使ってないとか。これ、私自身もやりがちです。「もったいないなぁ」と思いながら放置してるんですよね、解約も面倒で。
これがサブスクリプションの落とし穴です。使えば得。でも、使わないまま払ってたら、それはただの浪費。
自分の「優先順位」を持とう
結局のところ、サブスクリプションが向いているかどうかは、その人の価値観とライフスタイル次第です。
パソコンを頻繁に使う人、最新機能を常に取り入れたい人にはOffice 365は合理的です。でも、「たまに家計簿をつけるだけ」なら、買い切り型の方が安心かもしれません。
重要なのは、「自分にとって本当に必要なものか?」を、定期的に見直すこと。年末の大掃除と同じように、心の棚卸しをしてみましょう。
私は最近、ついにYouTube Premiumを解約しました。広告、ちょっとくらい見てもいいやって思えたんです。代わりにNetflixを残しました。こっちは家族全員が使ってるので、無駄じゃないって感じました。
サブスクは「賢く選ぶ時代」へ
サブスクリプションは、決して悪者じゃありません。むしろ、うまく使えば非常にお得で便利です。ただ、世代によって“当たり前”が違うことも、ちゃんと理解しないと、無用なストレスを生むことになります。
おじいちゃんが「なんでオフィスが無料じゃないんだ!」と怒っていたら、まずは一緒にお茶でも飲みながら、ゆっくり説明してあげてください。
そして、あなた自身のサブスクも、たまには見直してみてくださいね。
「使ってるもの」と「使ってないもの」、意外と混在してるかもしれませんよ?