ご連絡・ご予約・アクセスはこちら

「電源ボタンが入らない」Surfaceが増えてきた話

Surface Go

ここ最近、同じ相談がぽつぽつ…ではなく、連続して届きました。

Surface Laptop 3、電源ボタンが反応しないんです

最初の一本目は“たまたま”と思っていたのですが、二本目、三本目と続くと、さすがに胸の奥がざわつきます。修理屋の性(さが)で、原因を追いかけずにはいられません。

ボタン一つで、日常が止まる

電源が入らない。たったそれだけで、仕事も学校も、写真も家計簿も、ぜんぶ「中にあるのに届かない」状態になります。お客様の前では落ち着いて見えるように努めますが、正直、私の心の中も同じくらい焦っています。

まずは息を整えましょう。データは守れる可能性がまだある

自分にも、お客様にも、そう言い聞かせます。

Surface Laptop 3の「構造」と修理のハードル

Surface Laptop 3(13.5インチ/Model 1867)は、天板側(キーボード一体)と本体ベースで構成されたクラムシェル型。裏蓋はビス数が少なく、一見シンプルに見えますが、電源ボタンはフレキシブルケーブルで上部ユニットに直結。スイッチ単体の交換では済まず、実質“上カバー(キーボード側)丸ごと交換”のケースが多いのが現実です。

自虐ネタ:音量ボタンをにらめっこ

修理屋あるあるですが、私も最初は「音量+電源」でUEFI…をやろうとして、肝心の“電源ボタン”が死んでる事実に改めて突きつけられ、机に突っ伏しました。
「分かってたけど、やっちゃうんだよなぁ…」と、自分にツッコミを入れつつ、手を止めて状況整理へ。

代わりに起動できないの?に、真正面から答えます

結論から言うと、物理電源ボタンが壊れていて、完全シャットダウン状態なら、確実な回避策はほぼありません。ただし、例外が一つだけあります。

例外その1:Wake on Power(WoP)が“事前に”有効ならワンチャン

ACアダプタを挿すだけで自動起動する機能がWoP。これが故障前から有効になっていたなら、電源ボタンなしで起動する可能性があります。試し方はシンプルで、ACアダプタを抜き差ししてみること。もし画面が上がれば勝ちです。

ただし現実:個人利用ではONになっていないことが多い

WoPは企業・学校向けの管理ツールで設定されることが多く、一般ユーザーの標準環境ではOFFのまま。“後から有効化”しようにも、そもそも起動できなければUEFIに入れません。ここがジレンマです。

それ以外のアイデアはどう?

  • 音量ボタンとの合わせ技(UEFI/USBブート)
    → どれも“最後に電源ボタンを押す”前提。使えません。
  • 外付けキーボードやマウスで起動
    → それは“スリープ復帰”の話。完全オフ(S5)からは無理。
  • Wake on LAN
    → これも事前設定必須。SurfaceはLANポートも標準非搭載。現実的ではないです。

いちばん大事なのは「データの救出順序」

起動できないSurfaceで怖いのは、メーカー修理の多くが“本体交換(リフレッシュ品と入れ替え)”になる点。このとき内部データは戻りません。だからこそ、データが大事なら“先に”データ保全を。

私の現場フロー(本音)

  1. WoPの望みがあるか確認(AC抜き差しで自動起動するか)
  2. 反応がなければ、データの優先度をヒアリング
  3. データが重要:専門のデータ復旧(分解抽出)を先行
  4. その後、メーカー修理 or 専門業者で電源系の物理修理

「とにかく動けばいい」よりも、“思い出”や“仕事の原本”を落とさないほうが、長い目で見て絶対に正解です。

修理・復旧の選択肢とそれぞれのリアル

メーカー修理(本体交換)

  • メリット:動作保証が堅い、期間が読みやすい
  • デメリットデータは戻らない/費用はやや高め

サードパーティ修理(電源スイッチ周りのリワーク)

  • メリットデータを残したまま直る可能性
  • デメリット:分解難易度が高く、作業リスク/期間は読みにくい

データ復旧サービス(先に救い出す)

  • メリット最優先の“中身”を安全圏へ
  • デメリット費用・日数がかかることも

どれが正解、ではなく「何を守りたいかの順番」で決めるのがコツです

再発させない“運用のコツ”(直った後の話)

休止状態(Hibernate)を“主電源オフ”にする

毎回“完全シャットダウン”ではなく、休止に切り替えると、復帰はキーボードやマウスで可能。電源ボタン依存を下げられます。

可能ならWoPを有効化(企業管理端末なら特に)

IT管理者がいる環境なら、SurfaceのUEFI管理ツールWoP(AC挿したら自動起動)を有効に。“次に壊れても起動口が一つ増える”のは大きいです。

物理ボタンの“使い方”も優しく

長押しでの強制電断を多用すると、ボタン寿命やストレージ保全の面でも良くありません。
フリーズ時の対処は、まず数分待つ/外部デバイスを外す/画面明るさやスリープ疑いを潰すなど“優しい順”で。

いますぐできるチェックリスト

  • ACアダプタの抜き差しで自動起動するか(=WoPの望み
  • うっかり完全放電していないか(30分以上充電して再確認)
  • それでも無反応なら、データの優先度を決める(救うべき中身は?)

電源ボタンが物理的にフニャッとした感触、もしくは全く手応えがない場合は、押下機構の破損の可能性が高いです。無理押しは悪化のもと。

お店としてできること

  • データ優先の診断フローで、最悪の“データ喪失”を回避する提案をします
  • ご希望に合わせて、
    • データ復旧 → 修理
    • 修理優先 → バックアップ構築二段構えで進めます
  • 復旧後は、休止状態運用/バックアップ設計まで一緒に整えます

機種によってはご対応出来ないケースもあります

「まずは中身を助ける。そのあと機械を直す。」――焦る気持ち、よく分かります。私も、家族写真や経理データが“あの中”しかないときは心拍数が上がります。だから、落ち着いて順番にいきましょう。一歩ずつ取り返せます。

守るべきは“電源”より“中身”かなぁ

  • 電源ボタン故障のSurfaceは、原則“WoPが事前有効”でない限り外部からの起動は困難
  • 迷ったら、データ保全を先に
  • 直ったら、休止状態運用+可能ならWoPで“次”に備える

「電源が入らない」は“終わり”ではありません。ここからが、私たちの出番です。お気軽にご相談ください。