
本日は、日々の仕事の中でたびたびある、ちょっと印象的なお話をひとつ残しておこうと思います。
お客様からお電話で、
「テレビがつかないのよ」
というお問い合わせをいただきました。
最初に聞いた時は、文字通りご自宅のテレビのことなのかなと思ったのですが、少しお話を聞いていくと、どうも様子が違うんです。
「リビングの奥にあるパソコンなんだけどね」
「ノートじゃなくて、あの大きいの」
「えっと、なんだったっけ……」
そんなやりとりのあとに、こちらから
「デスクトップパソコンですか?」
とお聞きしたところ、
「そうそう、それ。それのテレビがつかないの」
という流れでした。
この時点で、ある程度お分かりになる方もいらっしゃると思いますが、今回のお客様がおっしゃっていた“テレビ”というのは、いわゆるパソコン用のモニター、またはディスプレイのことだったんですね。
高齢のお客様ほど、言葉のズレは珍しくありません
これは決して珍しい話ではありません。
特にご年配のお客様の場合、パソコンまわりの機器を、私たちが普段使っている専門用語とはまったく別の言い方で表現されることが本当によくあります。
モニターのことをテレビ。
本体のことをパソコン。
インターネット全体をGoogle。
メールをLINE。
プリンターの用紙詰まりを「壊れた」。
こういうことは、実はかなり日常的です。
でも、だからといって、こちらが勝手に決めつけて話を進めてしまうのは危険なんですよね。
なぜなら、本当にテレビにパソコンをつないで使っている方もいらっしゃるからです。
決めつけないことが、結局いちばん大事
この手のお問い合わせで一番怖いのは、こちらが「たぶんこういう意味だろう」と思い込んでしまうことです。
たとえば今回も、
「テレビがつかない」
という言葉だけを聞いて、
「じゃあモニターの電源ですね」
と断定してしまったら、話がずれてしまう可能性があります。
ですので、私たちはこういう時、改めて確認を取ります。
それは、パソコンに映すための専用の画面ですか。それとも、家庭用のテレビにパソコンをつないで使っていますか。本体の電源は入っていますか。画面だけが映らないのか、それとも全部反応しないのか。
こういう一つひとつの確認は、遠回りに見えて、実は一番大切なんです。
「ちょっと見てほしい」が一番難しいこともある
最近、本当に増えたなと感じるのが、
「ちょっと見てほしい」
「少しだけ確認してほしい」
「すぐ終わると思うから」
というご相談です。
お気持ちはとてもよく分かります。実際、現地で確認したらコンセントが抜けていただけ、入力切替が変わっていただけ、なんてこともあります。
ですが、そこにたどり着くまでには、こちらが移動し、時間を確保し、現場で状況を見て、必要があれば切り分けをしなければいけません。結果として作業が数分で終わったとしても、そこに行くまでの準備や時間、そして経験そのものは、どうしても無料では成り立たないんですね。
ここがなかなかご理解いただきにくいところでもあります。
出張費用が高い、と言われることもあります
今回のお客様も、出張費用のお話をしたところ、
「ちょっと高いわねえ」
ということで、いったんご依頼は見送られる形になりました。これも、気持ちとしては分かるんです。画面が映らないだけに見えると、「そんな大げさなことではない」と感じられることもありますからね。
ただ、私たちからすると、現場に行ってみなければ分からないことが本当に多いんです。
モニターの故障なのか。
パソコン本体の出力不良なのか。
ケーブル不良なのか。
コンセントや電源タップの問題なのか。
あるいは単純に入力切替だけなのか。
電話口だけでは断定できないからこそ、慎重にヒアリングをして、それでも必要なら出張で確認する。この流れは、どうしても省けません。
町の修理屋だからこそ、確認する範囲があります
家電量販店さんや町の電気屋さんでも、もちろん対応してくださることはあると思います。
ただ、パソコンが絡むと話は少し変わってきます。
テレビなのか、モニターなのか。映像が出ないのか、パソコンが起動していないのか。周辺機器の問題なのか、設定の問題なのか。
こういう境目の部分は、パソコン修理屋だからこそ細かく見られることがあります。逆に言えば、そこまで見ようと思うと、やはり「無料でちょっとだけ」というわけにはいかないんですね。
無償でできないのは、冷たいからではありません
ここは誤解されたくない部分です。
出張費用や診断費用をいただくと聞くと、冷たいとか、商売っ気が強いとか、そういうふうに受け取られてしまうことがあります。でも実際は逆で、ちゃんと責任を持って対応しようとすると、無料では続けられないんです。
無償で何でも受けてしまうと、時間も体力も削られます。そして何より、本当に困っていて必要な方への対応にも影響が出てしまいます。
だからこそ、きちんと費用をいただいた上で、きちんと確認する。
この形を取らせていただいています。
実はたくさんの確認事項や経験が詰まっている
「テレビがつかないのよ」
たった一言ですが、その裏にはいろいろな可能性があります。
そして、こうした言葉のズレは、特に高齢のお客様とのやり取りでは本当によくあります。だからこそ、私たちは決めつけず、丁寧に聞き取りをしていくようにしています。ただし、その先で現地確認が必要になる場合には、どうしても出張費用や診断費用は発生します。
これは意地悪でも何でもなく、きちんと原因を見極め、責任を持って対応するために必要なことです。最近は「ちょっとだけ見てほしい」というご相談が本当に増えています。ですが、その“ちょっと”の中に、実はたくさんの確認事項や経験が詰まっているんですよね。
こういう話は、なかなか表に出す機会がないのですが、町の修理屋として日々感じていることのひとつとして、今日は残してみました。















