
Windows 11 最大20%速くなった、とMicrosoftが10月15日(米国時間)に発表しました。スタートメニューやエクスプローラーの反応が良くなり、メモリ8GBのパソコンで特に違いが出る、という内容です。8GBのノートを使っていて、フォルダーを開くたびにワンテンポ待たされている人には気になる話だと思います。
ただ、この発表は数字が独り歩きしやすい形をしています。「20%」は何を測った数字なのか。「2GB」は何が2GBなのか。そして自分のパソコンにはもう届いているのか。この記事では、Microsoftの公式ブログと更新の一覧を読み合わせて、この3つを順に整理します。
先に結論:「最大20%」は、検索・スタート・右クリック・設定・切り取りツール・エクスプローラーの6つの操作の反応時間を、Microsoftが自社で比べた数字です。「2GB」はメモリの使用量が減った話ではなく、使っているデータをメモリに置いておける量が最大2GB増えた、という意味です。
測定に使われたのは、9月29日から一般向けに配られているWindows 11 バージョン26H2の版(ビルド26300.9550)です。winverでバージョンとビルド番号を確かめ、26H2でなければWindows Updateで上げるのが、今できることです。
Windows 11 最大20%の中身は? 測ったのは6つの操作
発表したのは、MicrosoftのWindows担当のNavjot Virk氏です。Windows Experience Blogの記事で、この1年の改善をまとめて紹介しています。本文では、スタート・エクスプローラー・検索・切り取りツール・Microsoft 365・Edgeなどの反応が良くなったと書かれています。
ところが、20%という数字の根拠を書いた脚注を読むと、測った範囲はもう少し狭いことが分かります。
最大20%は、検索・スタート・右クリック・設定・切り取りツール・エクスプローラーの反応時間を、ビルド26300.9550と26200.7628で比べた測定に基づく。実際の性能は機器・構成・使い方などで変わり、配る時期も機器と地域で変わる。
出典:Windows Experience Blog「What’s new in Windows 11: everyday experiences reimagined」
発表の数字を、項目ごとに表にしておきます。どれも公式ブログに書かれている内容で、第三者が測った値ではありません。
| 項目 | 発表の内容 |
|---|---|
| 反応の速さ | 最大20%向上 |
| 測った操作 | 検索・スタート・右クリック・設定・切り取りツール・エクスプローラー |
| 比べた版 | ビルド26300.9550(新)と26200.7628(旧) |
| メモリ | 使っているデータを最大2GB多くメモリに置ける |
| 8GB以下のPC | ウィジェットを開くまで読み込まず、200MB超を空ける |
| 測った人 | Microsoft自身 |
測った6つは、どれも「押してから画面が出るまで」の操作です。ブラウザーでページを読み込む速さや、ゲームの動きの速さはこの20%に入っていません。パソコン全体が2割速くなるという話ではない、と読むのが正確です。
ここ、見落としがちです:比べた古い方のビルド26200.7628はバージョン25H2の版で、新しい方の26300.9550は26H2の版です。1回の更新で20%速くなったのではなく、その間に積み重なった改善の合計です。「最大」とあるとおり、いちばん差が出た場合の値でもあります。
Windows 11 最大20%と一緒に出た「2GB」は何の数字?
今回の発表でいちばん誤解されやすいのが、この2GBです。「メモリの使用量が2GB減った」と読みたくなりますが、公式ブログの言い方は違います。
遅いストレージに逃がさず、メモリに置いておける量が最大2GB増える
公式ブログには「使っているデータを、遅いストレージへ移さずにメモリに置いておける量が最大2GB増えた」と書かれています。メモリが足りなくなると、Windowsはしばらく使っていないデータをSSDやHDDへ一時的に移します。そのデータを次に使うときは、ストレージから読み戻す待ち時間が生まれます。
用語:メモリとストレージとは、パソコンが作業中のデータを置く場所(メモリ)と、ファイルやアプリをしまっておく場所(SSD・HDDなどのストレージ)のことです。メモリの方がずっと速いかわりに容量が小さく、電源を切ると中身が消えます。8GBや16GBと書かれているのはメモリの量です。
Microsoftの説明では、アプリやブラウザーのタブをたくさん開いても反応が保たれるようになる、とされています。一方で、どういう仕組みで2GB多く置けるようになったのか、なぜ8GBのPCで特に効くのかは書かれていません。8GBはすぐに埋まりやすく、ストレージへ移す場面が多いので、その分の効果が大きく出る、というのは自然な読み方ですが、Microsoftがそう説明しているわけではありません。
このニュースを日本語で整理している動画に、ずんだITガジェ速報【ずんだもん解説】の「【朗報】Windows 11が最大20%速く8GBで効く、2GBの正体は〇〇」があります。私が記事にしようと思ったきっかけもこの動画です。
動画では、メモリを作業中の資料を広げる机、ストレージを資料をしまう本棚にたとえ、机の広さは同じまま、片付け方の工夫で多くの資料を出したままにできる話だと説明している。
出典:【朗報】Windows 11が最大20%速く8GBで効く、2GBの正体は〇〇(ずんだITガジェ速報【ずんだもん解説】)
机(メモリ)そのものが8GBから10GBに広がるわけではない、ということです。動画では、以前話題になった「何もしていないときのメモリ使用量が減った」という報告とは物差しが違う、という点も指摘しています。8GBのPCで発表どおりに効くのかを読者が確かめた結果は、動画の時点では見つかっていない、とも話しています。
8GB以下のPCではウィジェットを開くまで読み込まない
もう一つ、8GB以下のPCに限った変更があります。タスクバーから開くウィジェット(天気やニュースのパネル)を、開いたときだけ読み込むようにしたというものです。これで200MBを超えるメモリをほかのアプリに回せる、と公式ブログの脚注にあります。16GB以上のPCは、この変更の対象に入っていません。
200MBは8GBのおよそ40分の1です。なお、設定でウィジェットのボタンを消すことと、この「開くまで読み込まない」変更は別の話なので、ボタンを消せば同じだけ空くとは言えません。

メモリの使用量の話は以前にも書いています。8GBのPCをどうするかは、次の記事でも整理しました。
自分のPCにもう届いている? 26H2とビルド番号の確かめ方
海外のニュースの中には「Insider(先行して試す人)向けが先で、一般向けはこれから」と読める書き方のものもありました。ところが、公式ブログで「Insider向けで、広く配るのは年内」とはっきり書かれているのは、新しい検索の機能です。20%の測定に使われたビルド26300.9550は、Microsoftの更新の一覧で見ると、一般向けの版でした。
Windows 11 バージョン26H2は2026年9月29日に一般向け(General Availability Channel)の提供が始まった。ビルド26300.9550は同日のKB5124010、最新は10月13日のKB5127648(ビルド26300.9711)。24H2のHome・Proは更新の提供が終わっている。
出典:Microsoft Learn「Windows 11 - release information」
つまり、26H2にして10月の月例の更新まで入れていれば、Microsoftが測った版と同じか、それより新しい状態です。ただし脚注にあるとおり、変更が有効になる時期は機器と地域で変わるので、ビルド番号は「届いているはず」の目安として見てください。
| バージョン | ビルド | 今の状態 |
|---|---|---|
| 26H2 | 26300.xxxx | 9月29日から一般向け。測定に使われた版 |
| 25H2 | 26200.xxxx | 更新は続いている。同じ改善が入るかは公表なし |
| 24H2 | 26100.xxxx | Home・Proは更新の提供が終了 |
確かめ方と、上げるときの操作は次のとおりです。
注意:大きな更新の途中で電源を切ったり、ノートの電源アダプターを抜いてバッテリー切れにしたりすると、Windowsが起動しなくなることがあります。書き換えの途中でシステムのファイルが中途半端な状態になるためです。ノートはアダプターをつないだまま、時間に余裕のあるときに始めてください。
- キーボードのWindowsキーを押して「winver」と入力し、Enterを押す。出てきた画面の「バージョン」と「OSビルド」を見る。
- バージョンが26H2で、ビルドが26300.9550以上なら、測定に使われた版と同じかそれより新しい。ここで終わってよい。
- 26H2でなければ、設定 → Windows Update を開き、「利用可能になったらすぐに最新の更新を入手する」をオンにして「更新プログラムのチェック」を押す。
- 「Windows 11 バージョン26H2」が出たら、ダウンロードしてインストールし、再起動する。
- 出てこなくても故障ではない。順番に配られているので、日を置いてもう一度チェックする。
- 写真・書類など消えたら困るファイルを、USBメモリや外付けのドライブに写しておく
- Cドライブの空き容量を確かめる(設定 → システム → ストレージ)
- ノートは電源アダプターをつなぐ
- 出かける直前や仕事の締め切り前には始めない
更新が途中で止まる、エラーで先に進まないといった話は、以前にも別の記事でまとめています。
上げたあとは、しばらく使っていなかったアプリやブラウザーのタブに戻ったときのもたつきを、更新の前と比べてみてください。Microsoftが言う「置いておける量が増えた」効果が出るとしたら、そういう場面です。

8GBのパソコンは、増設や買い替えを待つべきか
ここは、私の評価をまだ決めずにおきます。理由は単純で、8GBのPCで発表どおりの差が出るのかを、Microsoft以外が確かめた結果がまだ見当たらないからです。26H2に上げて、自分の使い方で軽くなったと感じるなら、それで十分です。増設や買い替えは、上げてみてから考えても遅くありません。
増設を考えるときに、気になるのが値段です。動画では、10月16日時点の価格.comでノート用のDDR5メモリ16GBが1枚3万7980円から、と紹介しています。その値段を見ると、お金をかけずに試せる更新を先に入れておく意味はあると思います。
メモ:DDR4とDDR5は形が違い、差し替えはできません。ノートの中には、メモリが基板に直接付いていて増設できない機種もあります。増設を考えるときは、先にパソコンの型番で規格と空きスロットの有無を確かめてください。
もう一つ、重さの原因がメモリだけとは限りません。ストレージがHDDのままだったり、SSDが傷み始めていたり、起動時に動くソフトが多すぎたりすると、メモリの改善だけでは体感はあまり変わらないはずです。当店のGoogleのクチコミ(139件・平均4.9、2026年10月時点)でも、何年も前に買ったノートパソコンをSSDに換えて、サクサク動くようになったという声をいただいています。
増設か買い替えかは、次の順で考えると迷いにくくなります。
- まず26H2と最新の月例の更新を入れて、数日使ってみる
- タスクマネージャーの「パフォーマンス」で、メモリの使用率がいつも9割近いか見る
- ストレージがHDDかSSDかを同じ画面で確かめる
- メモリが増設できる機種か、型番で確かめる

よくある質問
Windows 11の「2GB」は、メモリの使用量が2GB減るという意味ですか?
いいえ、使用量が減るという意味ではありません。Microsoftの説明では、使っているデータを遅いストレージへ移さずに、メモリ上に置いておける量が最大2GB増えるという意味です。アプリやブラウザーのタブを多く開いたときに差が出やすいとされています。
どの更新プログラムを入れれば速くなりますか?
特定のKB番号で入るとは発表されていません。Microsoftが測った版は26H2のビルド26300.9550で、9月29日のKB5124010にあたります。10月13日のKB5127648を入れると26300.9711になるので、Windows Updateで26H2の最新にしておけば測った版より新しくなります。ただし変更が届く時期は機器と地域で変わるとされています。
これでメモリの増設や買い替えは要らなくなりますか?
それだけで決めないほうがよいです。最大20%はMicrosoft自身の測定で、使い方や機器によって効果は変わります。更新しても重いままなら、ストレージや常駐ソフトなど別の原因を確かめてから、増設や買い替えを考えてください。
まとめ
Windows 11の「最大20%」は、検索やスタートなど6つの操作の反応時間を、Microsoftが25H2の版と26H2の版で比べた数字です。「2GB」は使用量が減ったのではなく、メモリに置いておける量が増えたという話で、8GB以下のPCではウィジェットを開くまで読み込まない変更も入っています。
測った版は9月29日から一般向けに配られている26H2なので、まずはwinverで自分のバージョンを確かめ、26H2でなければ上げてみてください。8GBのPCで本当にどれだけ効くのかは、まだMicrosoftの言葉しかありません。増設や買い替えの判断は、上げて数日使ってからでも間に合います。










