
先日、お客様から一本のご相談がありました。
「MacBook、まだ買って1年半しか経ってないんですが…最近、カーソルが動かなくなったり、Chromeが開かなかったりするんです」
実は、ここ最近増えてるんです。「購入から1〜2年くらいしか経っていないのに、なんだか動きが不安定」というMacのご相談。しかもその内容が妙に共通してる。
・マウスカーソルがフリーズする
・Google Chromeが起動しない
・Safariが重くて開かない
・FaceTimeやカメラが使えない
とにかく、なんとなく調子が悪いという、この漠然とした不調。これが一番やっかい。
まず最初に伝えたいのは「焦らなくて大丈夫」です
こういうとき、「もしかして初期化しなきゃダメですか?」と焦って聞かれることがよくあります。
でも、ちょっと待ってください。初期化は最終手段です。たとえるなら、風邪を引いたときに、いきなり手術を考えるようなもの。
「まずはうがいをして寝よう」っていう話です。
ですからここでは、初期化の前に試してほしい5つのことを、実際の修理屋としての経験をもとに、わかりやすくお伝えします。
セーフモードって知ってますか?まずは診断の第一歩
セーフモード起動で、隠れた不調を見抜く
「セーフモード」って、Macにもあるんです。あまり知られてませんが、これが実は優秀。起動時に不要な拡張機能やキャッシュを読み込まずに、Macを“素の状態”で立ち上げてくれる診断モードなんですね。
起動方法:
- Appleシリコン搭載のMac:電源ボタンを長押し → オプションが表示されたら「Shift」キーを押しながら起動ディスクを選択
- Intel Mac:電源を入れてすぐに「Shift」キーを長押し
これでChromeやSafariが普通に動いたり、カーソルがフリーズしなければ、原因はアプリや拡張機能、あるいはログイン項目かもしれません。
ディスクユーティリティで“Macの心臓”をチェック
「First Aid」はMacの健康診断
「First Aid」とは、MacのSSDに異常がないかをチェックし、簡単な修復までしてくれる便利な機能。診断に来られたお客様のMacでも、実際これで修復して復活したことが何度もあります。
なかには、「え、これで直るの!?」って驚かれる方も。
操作手順:
- Finder → 「アプリケーション」→「ユーティリティ」→「ディスクユーティリティ」
- 「Macintosh HD」を選んで「First Aid」を実行!
数分で終わる作業ですが、意外と効果アリです。
忘れがちな「アクティビティモニタ」の存在
あなたのMac、誰が中で暴れてる?
「最近、動きが遅い」「ファンがうるさい」と感じたら、アクティビティモニタを開いてみてください。これ、いわばMacの中で何がどれだけ働いているかを見せてくれる監視カメラみたいなもの。ChromeやPhotoshopが暴走してCPUやメモリを食い潰してる…なんてこと、よくあります。
開き方:
- Spotlightで「アクティビティモニタ」と検索 → 起動
- 「CPU」「メモリ」タブで異常な数値のアプリがないか確認
過去にこれだけで原因がわかって、お客様が「え!それだけで良かったんですか!」と拍子抜けしたことも。
SMCやNVRAMリセットも試す価値アリ(Intel Mac限定)
意外と知られていない、Macの“おまじない”
電源管理やカメラ・充電系の動作に影響するのが「SMC」と「NVRAM」。とくにカメラが起動しないって症状、SMCリセットで直ること、意外と多いです。Appleシリコン搭載機にはこの手順は不要(自動でやってくれてる)なので、Intel Macだけが対象。
- SMCリセット:Shift + Control + Option + 電源ボタンを同時押し(数秒)
- NVRAMリセット:起動時に「Option + Command + P + R」
Appleシリコンではこれらは自動的に管理されているため不要です。
それでもダメなら…初期化を検討するタイミング
「データを守る」前提で行う初期化
いろいろ試しても症状が改善しない…そんなときは、Time Machineでバックアップを取ってから、macOSを上書き再インストールまたは完全初期化を考えましょう。
ただし、初期化で直るのは“ソフトウェアの問題”だけです。それで直らなければ、もしかすると…本体、つまり基板側やSSDの不良の可能性も。
「SSDの劣化」も視野に。見逃せない兆候とは?
私の経験上、SSDが原因のMacのトラブルは、だいたいこう始まります。
- 突然アプリが起動しない
- OSのアップデートに失敗する
- 時間が経つほどフリーズ頻度が増える
これ、つまりSSD(NANDチップ)の書き込みエラーが静かに広がってる状態なんです。ログを調べて「disk0s2 I/O error」などが出ていれば、黄色信号どころかオレンジ信号。AppleではSSD交換はロジックボードごと交換になるため、保証状況やAppleCareの有無は必ず確認してください。
最後に:今、不安なあなたに伝えたいこと
Macの調子が悪くなると、心まで重くなりますよね。
「もう買い替えなのか…?」
「私が使い方を間違ったのか…?」
そんな不安を感じている方こそ、まずは初期化する前にできることを一つひとつ見直してみてください。多くの場合、「あ、これで直ったんですね!」という展開になることが多いです。でも、もしそれでもダメだったら、どうか一人で抱え込まず、信頼できる修理店やサポートへご相談くださいね。
【今後の対処手順:まとめ】
内容 | 目的 |
---|---|
1.セーフモード起動 | キャッシュや拡張機能の問題切り分け |
2.ディスクユーティリティ実行 | ファイルシステム破損修復 |
3.アクティビティモニタ確認 | リソース使用状況を可視化 |
4.macOSアップデート | ソフトウェア側の不具合修正 |
5.macOS再インストール(上書き) | システムファイルの再構築 |
6.初期化(Time Machineでバックアップ後) | 最終手段。改善があればソフト起因と判断 |
7.ロジックボード故障の診断 | 改善なければApple Storeや正規修理店で診断推奨 |