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RTX 5090の保証拒否|電源付属ケーブルは対象外か

RTX 5090の保証拒否|電源付属ケーブルは対象外か

RTX 5090の保証が、電源ユニットに付いてきたケーブルを使っていたという理由で断られた。そんな報告が 2026 年 9 月下旬、海外のパソコン系メディアで一斉に取り上げられました。メーカーは PNY。溶けたのは 12V-2×6 という 16 ピンの電源コネクタで、グラボ側と電源側の両端が溶けていたそうです。

何十万円もするパーツです。溶けただけでも頭を抱えるのに、そのうえ「そのケーブルは保証の対象外です」と言われたら、もう笑うしかありません。この記事では、何が起きたのかを報道の範囲で整理し、グラボを買う前・使う前に確かめておきたい保証の条件と、つなぎ方の注意をまとめます。

先に結論:PNY は「箱に入っている PNY 承認のケーブルかアダプタ以外は保証しない」と回答したと報じられていますが、公開されている保証書(2025 年 2 月 28 日改訂)には、電源ケーブルについての記述がありません。PNY の公式な説明は、まだ出ていません。

買う人・使う人ができるのは 3 つです。保証書で付属品と電源の扱いを確かめる。付属のアダプタやケーブル、元の箱を捨てずに残す。コネクタを奥まで差し、根元で曲げない。

RTX 5090の保証拒否で何が起きたのか

話のもとは、持ち主が Reddit に書いた投稿です。TechSpot、Tom’s Hardware、TechPowerUp の記事から、分かっていることを表にまとめます。どれも持ち主の説明に基づく内容です。

項目内容
グラボPNY 製 GeForce RTX 5090
購入2025 年 9 月
故障2026 年 8 月
電源ユニットASRock PG-1600G(ATX 3.1・1600W)
使ったケーブル電源に付属の 12V-2×6 ケーブル(変換アダプタなし)
使い方オーバークロックなし・電力制限は標準より下げていた
壊れたときアイドル中
溶けた場所グラボ側と電源側の両端
PNY の対応申請の翌日に保証を断る
報じられた内容の要点(2026 年 9 月 27 日時点)

PNY のサポートから届いたとされる返信は、次のような内容でした。

16 ピン(12VHPWR/12V-2×6)の電源が必要な PNY のグラボには、PNY が承認した電源ケーブルかアダプタが箱に入っている。保証の対象はその組み合わせだけで、他社のケーブル・アダプタ・電源ユニットのケーブルを使って、溶け・焦げ・過熱・変形が起きた場合は保証を受けられない。その損害はケーブルや電源のメーカーの責任になる、という回答だったと報じられている。

出典:Tom’s Hardware「PNY allegedly refuses to cover melted RTX 5090 powered by native power supply cable」

持ち主は「保証書のどの条項に基づく判断なのか」と 2 回たずねました。返ってきたのは、「シニア技術者」からの「決定は最終です」という一言と、チケットを閉じたという知らせだったそうです。話題になっているのはここです。壊れたこと自体より、理由を聞いたら窓口が閉まったことに、多くの人が引っかかっています。

ただし、ここまでの話は持ち主の説明に基づくもので、PNY は公式の声明を出していません。TechPowerUp も「持ち主の言い分だけに基づく話なので、割り引いて受け止めるべき」と注意書きを付けています。報道の段階の話として読んでください。

店長
店長
修理屋の目で見ると、「アイドル中に壊れた」はあまり決め手になりません。負荷の高いときに傷んでいて、止まったのがたまたまアイドル中、ということもあります。それでも、理由を示さずに閉じる対応は別の話です。

RTX 5090の保証は、電源付属の12V-2×6ケーブルで外れるのか

まず前提として、12V-2×6 は PNY や NVIDIA が独自に作った部品ではありません。業界団体が決めた共通の規格で、電源ユニットのメーカーもグラボのメーカーも、同じ決まりに合わせて作っています。

用語:12V-2×6とは、PCI Express の規格を決める業界団体 PCI-SIG が定めた、グラフィックボード用の 16 ピン電源コネクタの規格です。前の世代の 12VHPWR を改良したもので、12 本の電力用ピンと 4 本の信号用ピンがあり、コネクタが奥まで差さっていないとグラボに電力が流れないよう、信号用ピンが短く作られています。

ATX 3.1 の電源ユニットには、この 12V-2×6 のケーブルが最初から付いているものがあり、今回の ASRock PG-1600G もその 1 つです。電源から 1 本でグラボにつなぐ形は「ネイティブケーブル」と呼ばれ、8 ピンのケーブルを何本も束ねる変換アダプタより配線がすっきりします。自作をする人の多くが、ごく普通に選ぶつなぎ方です。

ここで少しだけ電気の計算をします。12 本の電力用ピンのうち、12V を運ぶのは半分の 6 本です。600W を 12V で流すと 50A、6 本で割ると 1 本あたり約 8.3A。Tom’s Hardware が伝えた規格の要件では、ピン 1 本の定格は最低 9.2A です。余裕は 1 割ほどしかない。ピンの接触に少しでもむらがあれば、どれか 1 本に電流が寄って、そこが熱を持ちます。TechPowerUp も、独立した検証で溶ける原因の一部がピンごとの電流の偏りにあるとされ、特定のケーブルのメーカーの問題ではない、と書いています。……と、この計算を続けると規格の設計そのものの話になってしまうので、ここでブレーキをかけます。修理屋が言えるのは、「どのケーブルでも、差し方と曲げ方しだいで熱は持つ」ということです。

そのうえで、今回の話がややこしいのはここからです。Tom’s Hardware によると、このカードの箱には 16 ピン同士のケーブルは入っていませんでした。PNY の理屈に沿うなら、電源付属のネイティブケーブルではなく、8 ピンを束ねる変換アダプタのほうを使え、ということになります。記事はこれを「説得力に欠ける」と指摘しています。

メモ:変換アダプタも電源付属のネイティブケーブルも、差す先は同じ 12V-2×6 の口です。規格が決めているのはコネクタの形と電気の条件で、「どのメーカーのケーブルを使え」という決まりではありません。今回の争点は規格ではなく、PNY の保証の運用です。

では、PNY が公開している保証書には何と書いてあるのか。PNY のサイトにある GeForce 用の 3 年保証の文書(RTX 50 シリーズを含む、2025 年 2 月 28 日改訂)を読みました。

保証は、製品が通常の使用条件のもとで、同梱の取り付けガイドに従って取り付け・使用されていることが条件。誤用・不適切な取り付け・事故などがあったと PNY が独自に判断した場合は、保証の対象外になる。保証を受けるには、購入日が分かる証明(レシートや請求書)と元の箱が要る。

出典:PNY「GTX 16 Series, RTX 30 Series, RTX 40 Series, and RTX 50 Series Graphics Cards Warranty」

ケーブル、アダプタ、12V-2×6 という言葉は、この文書のどこにもありません。あるのは「PNY が独自に判断した場合は」という一文です。Tom’s Hardware も、同梱の取り付けガイドには 6 ピンと 8 ピンのつなぎ方しか載っておらず、承認済みケーブルの一覧はサイトにも見当たらないと書いています。書いていない条件が、あとから出てくる。私はこれを「後出し条件」と呼ぶことにしました。

新品のパーツが壊れたのに保証で揉める話は、今回が初めてではありません。以前、新品のマザーボードが発火したのに初期不良として扱われなかった件も書きました。

中古PCの交換したマザーボード

これからグラボを買う人が確かめたい保証の条件

今回の件から、買う側がはっきり持ち帰れることは多くありません。メーカーの窓口の中で何が決まっているかは、外から見えないからです。それでも、買う前と買った直後に確かめておけば、揉めたときの足場になるものはあります。

買う前と、箱を開けた日に、これだけ確かめてください。

  • 保証書やメーカーのサイトに、電源ケーブル・変換アダプタの扱いが書いてあるか
  • 箱に入っている付属品(変換アダプタ・ケーブル)が何か
  • 保証の窓口がメーカーか、販売店か、国内の代理店か
  • 保証の期間と、購入証明・元の箱が要るかどうか
  • 中古で買うなら、メーカーの保証を引き継げるか

最後の項目は軽く見られがちです。PNY の保証書は、中古で手に入れた製品を保証しないと明記しています。封が切られていなくても、新品として売られていても同じです。フリマやオークションで安く見つけたハイエンドのグラボは、最初から保証の外にいるかもしれません。

もう 1 つ、日本で買う場合の話です。国内で売られているグラボは、メーカーではなく販売店や国内の代理店が保証の窓口になっていることがあります。今回の PNY の件は、米国の保証書と海外の持ち主のやり取りの話なので、日本でどう扱われるかは分かりません。自分のカードの保証書を一度だけ読んでおくのが、いちばん確かな方法です。

ここ、見落としがちです:付属の変換アダプタや元の箱は、使わなくても捨てないでください。PNY の保証書は元の箱を保証の条件に挙げていますし、今回のように「付属品を使ったか」が争点になったとき、付属品が手元に揃っていること自体が話の材料になります。

箱はかさばります。ハイエンドのグラボの箱は特に大きく、押し入れの奥で邪魔者扱いされがちです。それでも保証期間のあいだは、中の緩衝材ごと取っておいてください。

店長
店長
保証書は、壊れてから初めて読まれることが多い書類です。買った日に 5 分だけ読んで、スマホで写真に撮っておく。それだけで、揉めたときの話が早くなります。

いま使っている人が気をつけたいこと

保証の話とは別に、そもそもコネクタを溶かさない使い方をするのが、いちばんの防御です。ここからは、今日の夜にでもできることを書きます。

差し込みの深さと、ケーブルの曲げ方を見直す

電源ユニットのメーカー Seasonic は、12VHPWR/12V-2x6 のケーブルについて、次のように案内しています。

コネクタは奥まで差し込み、ツメがかかって、しっかり収まった状態にすること。差したあとはケーブルをどの方向にも曲げず、コネクタの近くで曲げたり力をかけたりしないこと。曲げるなら、差し込む前に形を作っておく。

出典:Seasonic Knowledge Base「RTX 4xxx and 12VHPWR / 12V-2x6 Cable Guidance」

大型のグラボは、ケースの横パネルとのすき間が狭く、ケーブルが根元で折れ曲がりがちです。パネルを閉めるときにケーブルを押し込んでいないか、一度開けて見てください。電源側も同じです。今回の持ち主のように、電源側のコネクタが溶けることもあります。

ちなみに今回の PG-1600G は、電源側の 12V-2x6 コネクタの温度を見張る「TempGuard」という機能をうたっています。Tom's Hardware は、その機能が設定されていなかったか、働かなかったと見られると指摘しています。見張り役がいても、差し方と曲げ方の点検は要る、ということです。

焦げたにおい・変色に気づいたら使うのをやめる

コネクタの状態は、目とにおいで確かめられます。次の順で見てください。

注意:点検は、必ず電源ユニットのスイッチを切り、コンセントを抜いてから行ってください。変色や溶けが見つかったコネクタを何度も抜き差しすると、傷んだピンや樹脂がさらに崩れ、原因の確認も保証の申請も難しくなります。

  1. パソコンをシャットダウンし、電源ユニットのスイッチを切ってコンセントを抜く。
  2. ケースを開け、グラボ側のコネクタが奥まで差さっているか、コネクタとグラボの間にすき間が無いかを見る。
  3. コネクタの周りとケーブルの根元に、茶色い変色や溶けた跡が無いかを見る。
  4. 電源ユニット側のコネクタも、同じように差し込みと変色を見る。
  5. 焦げたにおいがしないか確かめ、少しでも異常があれば、抜き差しを繰り返さずに使うのをやめる。

異常が無ければ、手順 2 と 3 のついでに、ケーブルが根元で曲がっていないかも見ておきましょう。グラボを入れ替えたあとに固まる・落ちるといった症状が出ている場合は、電源まわり以外の原因も含めて切り分けが要ります。

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壊れたときに備えて残しておくもの

壊れてしまったら、保証の申請が勝負です。今回の件も、持ち主が状況を細かく書き残していたからこそ、記事になって議論されています。

保証の申請に備えて残しておくもの

  • 購入日が分かるレシートや請求書
  • 元の箱と付属品(変換アダプタ・ケーブル)
  • 溶けた部分の写真(グラボ側と電源側の両方)
  • 電源ユニットの型番と、使っていたケーブルの種類
  • オーバークロックや電力制限の設定のメモ
  • サポートとのやり取りの記録(メールは消さない)

グラボのメーカーに断られても、それで終わりとは限りません。Tom's Hardware によると、Reddit では、10 年保証が付いている電源ユニットのメーカー(ASRock)に連絡するよう勧める声も出ています。どこに申請するにしても、上の記録が揃っていれば話が進めやすくなります。

店長
店長
焦げたにおいがしたのに「まだ動くから」と使い続けるのは、いちばんやめてほしいパターンです。一度傷んだ接点は、さらに熱を持ちやすくなります。気づいたら止めて、まず写真を撮ってください。

よくある質問

電源ユニットに付いてきた12V-2x6ケーブルを使うのは間違いなのですか?

間違いではありません。12V-2x6 は PCI-SIG という業界団体が定めた共通の規格で、電源ユニット付属のケーブルでグラボにつなぐのは一般的な方法です。ただ、PNY が付属のケーブルやアダプタだけを保証すると回答したと報じられているため、お使いのグラボの保証書で電源ケーブルの扱いを一度確かめておくと安心です。

日本で買ったPNYのグラボも同じ扱いになりますか?

今回の報道からは分かりません。報じられたのは米国の保証書と海外の持ち主のやり取りで、国内で買った製品は販売店や代理店が保証の窓口になっていることもあります。購入したお店と保証書の内容を確かめてください。

コネクタが溶けていないか、自分で確かめる方法はありますか?

電源を切ってコンセントを抜いてから、目とにおいで確かめられます。コネクタが奥まで差さっているか、周りが茶色く変色していないか、焦げたにおいがしないかを、グラボ側と電源側の両方で見てください。少しでも異常があれば使うのをやめ、抜き差しを繰り返さないでください。

まとめ

PNY が RTX 5090 の溶損を「電源付属のケーブルを使ったから」と保証しなかったという報告は、今のところ持ち主の説明に基づく話で、PNY の正式な説明は出ていません。ただ、公開されている保証書にケーブルの条件が書かれていないことは、誰でも確かめられる事実です。12V-2x6 は共通の規格で、電源付属のケーブルでつなぐのは普通のつなぎ方です。

「後出し条件」から身を守る方法は地味です。買った日に保証書を読む。付属品と箱と購入証明を残す。コネクタは奥まで差して、根元で曲げない。異変に気づいたら止めて写真を撮る。これで足ります。コネクタの状態を一緒に見てほしいときは、パソコンごとお持ちいただくか、出張でうかがいます。

この記事を書いた人

ホンダ ヒデユキ

ホンダ ヒデユキ

北海道苫小牧市でパソコン修理店「ピシコ」を運営しています。 パソコン修理・データ復旧・自作PCサポートなど、現場での対応を続けながら、毎日テックブログを更新しています。 近年は、企業向けのAI導入や業務自動化の支援にも力を入れており、予約・見積・請求など、日々の業務を効率化する仕組みを実際に構築・運用しています。 「難しいことを、できるだけわかりやすく」を大切に、修理の現場やAI活用で得た知識を発信しています。