完全にアウトだったけど超人気のファミコンレンタル
ふと思い出すと、現代では絶対に認可されないサービスがありましたよね。それは35年程前の事ですが「ファミコンレンタル」というサービスが各地域のゲームショップもしくはレンタルビデオ店でひっそりと行われておりました。これは任天堂に許可を取らずに行っていたとの事で、きっと申請を行っても決して認可されないサービスですよね。
レンタルは一日から可能
そのファミコンレンタルの仕組みとしては、ファミコンのゲームカセットを一日300円程度で貸し出すと言うもので、2泊3日で500円やRPGでは最長一週間の期間を貸し出を行えたソフトもありました。これは現代言うレンタルCDやDVDと同じです。
当初のファミコンカセットの価格は5000円前後、週刊少年ジャンプやたばこ1つの170円などで購入できた時代ですから、決して安すぎる価格はありませんでした。ましてや現代と違ってファミコンは家庭用ゲーム機としてようやく認知され始めた頃ですから、ゲームソフトを易々と購入してくれるご両親は限りなく少なかったと思います。
現代にはない手作り感マックスの店舗
私の家はそれほど裕福な家ではありませんでしたので、ファミコンのゲームカセットを買ってもらうことが出来たのは一年に1度のみ年末のみ。幼少期の子供が1年間も同じゲームソフトで遊ぶなんて事は不可能に近く、友人の家で他のゲームを眺める事だけでも楽しかった記憶があります。
そこで「ファミコンレンタル屋というものがあるみたいだよ」と従兄弟が教えてくれたことで、一緒に店舗の中を拝見すると異様な光景であったのを覚えております。
それは現代のような綺麗なスチール製の棚ではなく、如何にも店舗でDIYしたかのような木棚とホコリの匂い、その棚の上にはファミコンの空き箱がずらりと並んでおり、当初のビデオレンタルのように札が差し込まれ、抜き取ると「貸し出し中」になるような仕組み。後々に私はこの店舗に足繁く通う事になるのですが、狙っているゲームに札が刺さっている事を確認しただけで喜び興奮した記憶があります。
進化を遂げたファミコンレンタル
さらに数年後にはドラゴンクエスト3が発売された頃には1時間100円で店舗内に設置されているタイマー式のテレビで試遊できるサービスまでもが展開され、私はこの時初めて赤の他人のレベル上げを立ち見する体験をしました。
そんなファミコンレンタルも年々サービスの幅を広げ「〇〇の日」などというイベントもあったりと、現代で言えばレンタルDVDの「半額レンタルの日」のような日がもあったのです。このときにレンタルするものは名作ではなく世間で言われるクソゲーとも呼ばれるゲームを嗜む期間となりますので、今ではこれらのゲームソフトのサウンドやチープな世界観の方が脳裏に焼き付いており、たまに口ずさむほど。
このように、ファミコンレンタルは法的もは完全にアウトでしょうが、お金のない少年が普段決して手にすることのないチープなゲームを知るきっかけになったのは皮肉にもファミコンレンタルというサービスのお陰だと思っております。現代では考えられないバーのような飲み屋でお勤めされている女性が受付に居たりと、普段は決して店員さんの顔や声を覚えることはありませんが、このファミコンレンタルを行っていた店舗の店員さんの印象だけは忘れることが出来ないのです。
今はWiFiとスマホがあれば無償で遊べるゲームが多数ありますが、こんな閉鎖的な環境で限られた店舗でしか味わえないサービスがあった事を先日ふと思い出しました。自転車で通い詰め、自身のモノにならないレンタルとしてのゲームソフトを限られた時間の中で必死で遊び、満たされた時代がそこにありました。
もし、これを読んでいる10代の方もきっと、数年前にコンビニ前でフリーWiFiスポットで限定キャラをゲットしていた時を懐かしいと思うはずです。こんな時代もあったのですよ、というお話でした。