
「ウイルスバスターを解約しよう」と思って公式サポートのページを開いたら、「TrendLife」という見知らぬサイトに飛ばされた。ロゴも違う。聞いたこともない名前。……これは詐欺サイトなのでは?
そう思ってブラウザをそっと閉じたあなた。その判断、セキュリティ的にはほぼ満点です。満点なんですが、問題がひとつだけあります。解約は1ミリも進んでいません。
先に種明かしをすると、TrendLifeは詐欺ではありません。トレンドマイクロが2026年に個人向け事業のブランド名を変更したもので、飛ばされた先は正真正銘の公式サイトです。
ただ、この名称変更、解約したい人にとってはなかなかの罠になっています。考えてみてください。「セキュリティソフトの会社を名乗る、知らない名前のサイトを疑え」と私たちに教えてくれたのは、他ならぬセキュリティソフトの会社です。その教えの通りに疑った結果、正規の解約ページを閉じてしまう。私はこれを勝手に「正しく疑った人ほど解約できない問題」と呼んでいます。
店頭でも「このサイトが本物か見てほしい」という相談は定番中の定番です。そして、疑ってから確認しに来るその順番は、間違いなく正解です。責められるべきは疑った側ではなく、解約の入口で改名した側だと思う。
ここで少し意地悪な視点を足すと、表記が新旧で混在している移行期間というのは、本物の変更に便乗した偽メール・偽サイトが紛れ込みやすいタイミングでもあります。「本物が改名したらしい」という空気があると、偽物への警戒もつられて緩む。詐欺の手口の歴史を振り返ると、この手の「公式の変化に便乗する」パターンは……と、ブランド論と詐欺史をあと2000字ほど語りたくなってきましたが、私たちは今日、解約をしに来たのでした。手を動かします。

ウイルスバスターの「解約」とは、実務的には「あんしん自動更新の解除」を指します。これをやらない限り、契約は毎年(または毎月)自動で更新され、課金が続きます。以下、トレンドマイクロ公式ヘルプセンター(2026年8月3日更新)の案内に沿った手順です。
手順3で「あれ、そんなボタンない」となった方。故障でも操作ミスでもなく、契約の種類が違うだけです。画面の表示ごとに対応が分かれます。
その契約に、あんしん自動更新はそもそも付いていません。追加の手続きをしなくても次回の課金は発生せず、契約期限が来れば保護が終了するだけです。解約したつもりで探し回る必要はありません。
ライセンス形態に「自動更新」と書かれているのにボタンがない場合、TrendLife以外で自動更新を契約しているパターンです。Google Play や App Store で契約したモバイル版は各ストアの定期購入(サブスクリプション)画面から、プロバイダ経由などの月額版は契約元での手続きになります。トレンドマイクロのアカウント画面をいくら探しても、解約ボタンはそこにはありません。
別のメールアドレスで作ったアカウントにライセンスが登録されている可能性があります。昔使っていたアドレスに心当たりがあれば、そちらでのログインを試してください。

「気づいたらもう引き落とされていた」。この場合も、まだ終わっていません。公式の案内では、あんしん自動更新の課金後90日以内であれば返金を受け付けるとされています。窓口はトレンドマイクロ(TrendLife)のお問い合わせページです。
90日を過ぎると対応は難しくなります。明細を見て気づいた時点で、早めに連絡してください。「もう引き落とされたから」と諦めるのが、一番もったいないパターンです。
意外と知られていませんが、あんしん自動更新を解約しても、その瞬間にパソコンが無防備になるわけではありません。契約の有効期限までは、製品はそのまま動き続けます。解約は「次回の課金を止める」手続きであって、「保護を今すぐ切る」手続きではないからです。
危ないのは、期限が切れた後です。乗り換えるつもりのまま忘れて期限切れ、そのまま無防備で数か月。店頭で状態を見せていただくと、これが一番よくある事故です。順番だけ、先に決めておきましょう。

最後に、「正しく疑った人ほど解約できない問題」の答え合わせです。疑うのをやめる必要はありません。むしろ疑い続けてください。変えるのは一点だけ。確認する場所を「なんとなくの検索結果」から「公式ページと、裏取りされた情報」に変えることです。疑う力に確認先の正しさが加われば、それはもう立派なセキュリティ対策です。伝えたいことは書きました。あとは、課金予定日の前々日が来る前に。









