
9 月 24 日から続いていた「Office のライセンス認証が外れた」「Office が消えた」という不具合の続報です。Word を開いたら認証を求められた、Excel のアイコンがなくなった、という方が一気に増えた件で、ついに Microsoft が動きました。
一報を書いた時点では「原因不明、公式発表なし」でした。そこから 2 日で、犯人の名前がはっきりしました。
先に結論:Office のライセンス認証が外れた原因は、9 月 24 日ごろから Windows Update で配られた更新プログラム KB5002907 です。Microsoft は 9 月 26 日、Office 2016・2019 の一部で Office が動かなくなったことを認め、この更新の配信を一時停止しました。
戻し方は変わりません。Office を登録した Microsoft アカウントでサインインし直すか、プロダクトキーを入れ直して認証し、消えていれば入れ直します。Microsoft が勧めているのもこの方法で、更新プログラムを外すことではありません。
Office 認証外れの原因は KB5002907? Microsoft が認めたこと
Microsoft が説明を載せたのは、英語版の KB5002907 のページです。「重要」と書かれたお知らせの中身を、日本語でまとめるとこうなります。
Office 2016 または Office 2019 を使っている一部の端末で、この更新を入れたあとに予期しない結果が出ているという報告を調べている。更新による修復の過程で、一部の端末では Microsoft 365 Apps や Office が動かない状態になった。これ以上の端末に広がらないよう、この更新の配信を一時停止した。対処は、ライセンスが外れていれば認証し直すこと、消えていれば入れ直すこと。
出典:Microsoft サポート「KB5002907: Optional update for out-of-date Microsoft 365 Apps installations」(英語)
ややこしいのは、この更新がもともと Office 2016・2019 のためのものではなかったことです。
用語:KB5002907 とは、90 日以上更新が止まっている Microsoft 365 Apps を最新の状態に戻すために、Windows Update で配られたオプションの更新プログラムです。KB は Microsoft が更新プログラムやサポート記事に付ける番号で、同じ番号で説明のページが引けます。
つまり、サブスクリプションの Microsoft 365 を直すための更新が、買い切りの Office 2016・2019 まで巻き込んだ、という話です。Microsoft 365 のための修理が、隣の部屋の家具まで運び出してしまった。今回の騒ぎをひと言で言うと、そんな「隣の部屋まで片付けた問題」です。
| 項目 | 9 月 26 日時点 |
|---|---|
| 原因 | 更新プログラム KB5002907 |
| 対象 | Windows 版の Office 2016・2019 の一部 |
| Microsoft の対応 | 調査中。配信を一時停止 |
| 勧めている対処 | 認証のやり直し、消えていれば再インストール |
| 日本語版のページ | まだお知らせが載っていない |
国内では、全国に店舗を持つ PC 販売店のアプライドが、Office 2013 の製品でも同じ問い合わせがあると案内していました。Microsoft のお知らせが名前を挙げているのは 2016 と 2019 だけです。2013 がどう扱われるかは、9 月 26 日時点ではまだ分かりません。
メモ:日本語版の KB5002907 のページには、9 月 26 日の時点でこのお知らせがまだ載っていません。英語版が先に書き換えられたためです。海外でも同じ報告が出ていて、英国の IT ニュースサイト The Register は、「あと 5 日で使えなくなる」という黄色い帯が出た例も伝えています。
自分のパソコンに KB5002907 は入った? 確かめ方
Office がまだ普通に動いている方も、この更新が入っているかは一度見ておくと安心です。Windows の更新の履歴に番号が残ります。
- スタートボタンを右クリックし、[設定]を開く。
- Windows 11 は[Windows Update]→[更新の履歴]、Windows 10 は[更新とセキュリティ]→[Windows Update]→[更新の履歴を表示する]を開く。
- 一覧に「KB5002907」があるか、入った日付とあわせて確かめる。
入っていなければ、Microsoft が配信を止めているので、ひとまず新しく届く心配は小さくなりました。入っていても Office が普通に使えているなら、今のところ慌てる必要はありません。
気になるのは、入っていた場合に「原因の更新なら消してしまおう」と考えたくなることです。
ここ、見落としがちです:KB5002907 をアンインストールしても、一度外れたライセンスや消えた Office が戻るとは案内されていません。Microsoft が勧めているのは認証のやり直しと入れ直しで、Microsoft Q&A のボランティアのモデレーターも「外しても戻らない」と案内しています。更新を外す作業に時間を使うより、先にプロダクトキーの入れ直しかサインインを試すほうが早く終わります。
ライセンスが外れた・Office が消えたときの戻し方
原因がはっきりしても、戻し方は一報で書いた内容から変わっていません。まず Word を開いてみて、今どの状態かを見分けます。
- Word は開くが認証を求められる:登録した Microsoft アカウントでサインインし直すか、プロダクトキーを入れ直す
- アイコンだけ見当たらない:Windows の[アプリ]から Office を修復してから、認証する
- Office そのものが消えた:account.microsoft.com の[サービスとサブスクリプション]から入れ直して、認証する
状態ごとの細かい手順、プロダクトキーと登録したアカウントの探し方は、一報の記事にまとめています。

Office 2016・2019 はこのまま使い続けてよい?
今回の件で「古い Office を使っているから狙われたのでは」と感じた方もいると思います。狙われたわけではありませんが、Office 2016 と 2019 は 2025 年 10 月 14 日にサポートが終わっていて、セキュリティの更新はもう届きません。
| 選び方 | 向いている人 | 気をつけること |
|---|---|---|
| 今の Office を使い続ける | 文書の作成と閲覧が中心の人 | セキュリティの更新が届かない |
| 買い切りの新しい版に替える | 毎月の支払いを増やしたくない人 | 版ごとにサポートの期限がある |
| Microsoft 365 に替える | 複数の機器で使いたい人 | 支払いが続くあいだだけ使える |
認証をやり直して元どおり使えているなら、今日すぐに買い替える必要はありません。ただ、メールの添付を開く、ネットから落とした文書を開く、といった使い方が多いなら、サポートが続いている版へ移る時期を考えておく価値はあります。

よくある質問
Office のライセンス認証が外れた原因は何ですか?
9 月 24 日ごろから Windows Update で配られた更新プログラム KB5002907 です。Microsoft は 9 月 26 日、この更新のあとに Office 2016・2019 の一部で Office が動かなくなったことを認め、配信を一時停止しました。
KB5002907 をアンインストールすれば Office は元に戻りますか?
戻るとは案内されていません。Microsoft が勧めている対処は認証のやり直しと入れ直しで、Microsoft Q&A のボランティアのモデレーターも、更新を外しても外れたライセンスは戻らないと案内しています。Office を登録した Microsoft アカウントでサインインし直すか、プロダクトキーを入れ直して認証してください。
Office がまだ普通に使えている場合も、何かしたほうがいいですか?
急いでする作業はありません。Microsoft が配信を止めているので、今のうちにプロダクトキーのカードと、Office を登録した Microsoft アカウントを確かめておけば、万一のときにすぐ戻せます。
まとめ
9 月 24 日からの「Office の認証が外れた・消えた」騒ぎは、Microsoft 365 のための更新プログラム KB5002907 が、買い切りの Office 2016・2019 まで巻き込んだものでした。Microsoft は認めて配信を止めています。戻し方はサインインし直すか、キーを入れ直すか、入れ直すかの 3 つで、更新を外すことは勧められていません。
隣の部屋まで片付けてしまった修理屋さんに、家具を戻してもらう方法は今のところありません。自分で戻すための鍵、つまりプロダクトキーと登録アカウントを、手元に控えておくことがいちばんの備えです。キーもアカウントも見つからない、入れ直しても認証が通らない、という場合は、パソコンをお持ちいただくか出張で、一緒に確かめます。









