
いきなり結論から言います。Macで撮った動画にしっかり入ってしまった「ブーン」「サーッ」という雑音、あとからでも消せます。標準機能で粘れるところまで粘って、無理なところだけAIに渡す——この線引きさえ覚えれば、音で台無しになった動画は意外とよみがえります。
こんにちは、苫小牧のパソコン屋ピシコの店長です。今日は私が勝手に「空調ブーン問題」と呼んでいる現象の話をします。せっかくいい映像が撮れたのに、再生したら部屋のエアコンの「ブーン」だけがやたら主張していて、肝心の声が後ろに引っ込んでいる。あれです。撮影中は耳が慣れていて気づかないのに、編集で聞き返した瞬間に「うわ、これ全部撮り直し……?」と青ざめる、あの絶望。
店にも時々「この動画、音だけどうにかなりませんか」と相談が来ます。結論、けっこうどうにかなります。というわけで今回は、Macで動画の音声ノイズを除去する方法を、被害者目線で(私も被害者なので)正直に整理していきます。
そもそも、なんであの動画はあんなに残念な音なのか
退治する前に、まず敵の正体を知っておきましょう。動画の音声に乗る雑音は、だいたい次の4種類に分けられます。原因がわかると「これはMac標準で消せる雑音か/AIに頼るやつか」の見当がつくようになります。
空調ブーンハムノイズ。エアコン・換気扇・電源や配線由来の低い「ブーン」。今回の主犯格で、室内撮影で一番よく入ります。周波数が低くて耳にも残りやすい、しつこいタイプ。
サーッ事件ヒスノイズ。録音機材や信号の干渉で出る、高めの「サーッ」。安いマイクや古い機材、ゲインを上げすぎた時に出やすい背景の砂嵐みたいな音です。
風風切り音。屋外撮影で風がマイクを直撃して出る「ボフッ」。Vlogや散歩動画の天敵で、一度乗るとかなり手強い。
反響エコー・残響。がらんとした部屋で声が反射して、こもって聞こえるやつ。これは厳密には「ノイズ」と少し性質が違いますが、聞き取りにくさの原因としてはセットで語られがちです。
で、今日の主役はやっぱり「空調ブーン問題」。室内で人がしゃべる動画なら、十中八九これにやられています。覚えておいてください、また後で出てきます。
まずはMac標準(iMovie)で応急処置してみる
Macには無料の動画編集ソフト「iMovie」が最初から入っています。実はこのiMovie、簡単なノイズ低減機能を持っています。わざわざ何かを買う前に、まずはここで応急処置を試すのが筋というものです。
やり方はシンプルで、クリップを選んで音声(オーディオ)の調整から「バックグラウンドノイズを低減」にチェックを入れ、スライダーで強さを決めるだけ。ツマミを右に振るほどノイズが引いていきます。タダで、追加インストールも要らない。被害者としては、まずここに駆け込むのが自然な流れです。
⚠ ただし、応急処置には限界がある
スライダーを強くかけると、確かに「ブーン」は減ります。減りますが——同時に肝心の声まで痩せて、こもった水中みたいな音になりがちです。軽い雑音をうっすら整える分には十分頼れる。けれど、しっかり居座った空調ブーンや砂嵐サーッを「声はそのままで雑音だけ」消すとなると、正直ここで力尽きます。私も何度も力尽きました。
iMovieのノイズ低減は「ボリュームを下げる」発想に近いんです。なので雑音と声をまとめて押し下げてしまう。軽症ならiMovie、重症ならこの先のAI、と覚えておくと判断が早いですよ。
AIノイズ除去は何が違うのか(ここだけ少し真面目に)
ここで一度だけ真面目な話をさせてください。最近の「AIノイズ除去」が従来のやり方と決定的に違うのは、発想が「引き算」じゃなくて「輪郭づけ」だというところです。
従来のノイズ低減は、ざっくり言えば「この音量帯を下げる」という力技でした。だから声も一緒に削れた。一方でAIは、膨大な音声を学習していて「これは人の声」「これは環境音」と正体を見分けてから処理します。声はくっきり前に残したまま、空調のブーンや背景のサーッだけを後ろから引き抜く。引いて消すんじゃなくて、残したい声の輪郭をなぞって浮かび上がらせる感覚です。
……と、ここを語り出すと音響工学の沼にハマって日が暮れるのでこのへんでやめておきます。とにかく「声を残して雑音だけ抜ける」のがAIの強み、とだけ持ち帰ってもらえれば十分です。で、そのAIノイズ除去をMacで手軽に試せるソフトとして、今回は HitPaw Edimakor を使ってみます。
被害からの生還:Edimakorで実際にやってみた
Edimakorは、録音から編集、ノイズ除去、書き出しまでを1本でこなせるオールインワンの動画編集ソフトです。もちろんMac対応(macOS 10.15以上/Apple Silicon・M1以降にも対応)。ノイズ除去だけのために別ソフトを行き来しなくていいのが、地味にありがたいところです。
肝心のノイズ除去の流れは、拍子抜けするくらい単純で3ステップでした。
1
Edimakorを入れて開く
Mac版をダウンロードしてインストール。立ち上げてノイズ除去(音声)の機能を開きます。
2
ファイルを放り込んでAIにお任せ
ノイズを消したい動画・音声をアップロードすると、AIが背景ノイズを自動で検出して除去してくれます。風切り音・ハム(ブーン)・ヒス(サーッ)に対応。対応音声フォーマットはMP3・WAV・AACなど。
3
プレビューして書き出す
処理後の音をその場で確認して、納得いくまで微調整。よければ書き出して完成です。
メニューから「ノイズ除去」を選ぶだけ。迷子になりようがない
ファイルを放り込めば、あとはAIが自動で雑音を見つけて抜いてくれる
で、肝心の「効果のほどは?」ですが——文章でいくら「スッキリ消えます」と言われても、正直ピンと来ないですよね。なので実際のBefore / Afterの音を置いておきます。Edimakor公式の実例音声がわかりやすいので、まずは耳で体感してみてください。
▼ Before:オリジナル音声(ノイズ入り)
▼ After:ノイズ除去後
Mac対応 macOS 10.15+
Apple Silicon対応
風 / ブーン / サーッ 対応
MP3・WAV・AAC
自分でも空調ブーン入りの動画を食わせてみた感想としては、「ブーン」がスッと後ろに引いて、声が一段前に出てきたのが分かりやすかったです。iMovieで強めにかけた時のような「声まで水中」感が出にくいのが、AIならではだなと。例の被害者がここでようやく生還する、という流れですね。
正直に:無料版でどこまでできる?
AIノイズ除去は無料でも体験できます。ただし無料版で書き出すと、動画・音声どちらにもウォーターマーク(透かし)が入ります。なので「まず無料で、自分の動画でちゃんとノイズが抜けるか」を確かめて、納得したら透かしの取れる有料版へ——という順番が安心です。タダで効果を見られるのは被害者にとってありがたい。ちなみに後で出てくるボーカルリムーバーなど一部のAI機能は有料会員向けなので、そこは正直にお伝えしておきます。
価格は永久ライセンス(買い切り)が比較的お得で、執筆時点では永久ライセンス向けの20%OFFキャンペーンや、全プランで使える20%OFFクーポンも出ていました(※キャンペーン特典とクーポンは併用不可)。割引の内容や期間は変動するので、最新はキャンペーンページでセットプランやAIクレジット特典つきの今の条件を確認するのが確実です。
雑音を消したあとが、実は本番
ここまでで「空調ブーン問題」はだいたい解決します。でも、Edimakorのおいしいところは「雑音を消したあと」。せっかく音声編集機能が一通りそろっているので、ついでに動画全体の音質を底上げしてしまいましょう。
BGMの追加・差し替え
ノイズを抜いてスッキリした声に、改めてBGMを足したり差し替えたり。雑音だらけの時には乗せようがなかった音楽も、土台がクリアになると一気に「ちゃんとした動画」感が出ます。
AIによるBGM生成
手持ちにちょうどいい曲がない、という時はAIにBGMそのものを作ってもらう手もあります。EdimakorではAI音楽生成機能がこれにあたります。モデルや楽曲によって消費するAIクレジットは変わりますが、たとえば MiniMax Music 2.0 での楽曲生成が1回、テキストからの効果音生成が1回、無料でも試せます。さらにうれしいのが、生成した曲は透かしなし・商用利用OKでファイルに保存されること。動画として書き出さなくても、そのまま音声ファイルとして使えます。著作権を気にせず動画の尺や雰囲気に合わせた音源を用意できるのは、地味に強い。
BGMをAIに発注する画面。透かしなしで商用OKなのが効く
ついでに言うと、足音・環境音・効果音みたいな「ちょっとした音」をテキストから作れるAI効果音生成もあります。動画に臨場感を一さじ足したいときに便利です。
ボーカル分離(ボーカルリムーバー)
Edimakorには、音声から人の声とBGMを分けて取り出すボーカルリムーバーも入っています。「この動画、声はいいんだけど後ろの音楽だけ差し替えたい」みたいな時に、声とBGMを分離してから組み直せる。カラオケ音源づくりやリミックスにも使える機能です。※こちらは有料会員向けの機能で、会員なら回数制限なく使えます。
メニューから「ボーカルリムーバー」へ
声とBGMがスッと別トラックに分かれる。これが地味にすごい
「ノイズ除去ソフト」だと思って入れたのに、気づいたら音まわりが全部ここで完結してた、というのが正直な印象です。音で損してる動画は、たいてい救えます。
こんな動画・こんな人に効きます
「自分の動画は関係ないかな」と思った人ほど、たぶん当てはまります。空調ブーン問題は、ジャンルを問わず忍び寄ってくるので。
お店・サービスのPR動画
BGMや環境音にかき消されていた「売り」も、声がクリアになるだけでちゃんと伝わるようになります。
オンライン講座・研修動画
聞き取りやすさは集中力に直結。空調ブーンは地味に受講者を疲れさせます。
子どもの行事・思い出ムービー
体育館の反響やザワつきの奥から、わが子の声を引っぱり出せます。
ゲーム実況・配信
ゲーム音は残して、マイクの「サーッ」だけ抜く。実況の聞きやすさが段違いに。
SNS・YouTube
最初の数秒の音が悪いと離脱されがち。クリアな声は、地味だけど最強の引き止めです。
気になるところ、先にまとめておきます
Q. パソコンが苦手でも使えますか?
A. ノイズ除去はファイルを入れてAIに任せるだけの数クリックなので、初心者向けの設計です。難しい音響知識は要りません。
Q. どんなノイズが消せますか?
A. ハムノイズ(空調ブーン)、ヒスノイズ(サーッ)、風切り音など。人の声はできるだけ残したまま、邪魔な音だけを狙って減らします。
Q. 対応する音声フォーマットは?
A. MP3・WAV・AACなど主要な形式に対応しています。
Q. M1/M2などのMacでも動きますか?
A. macOS 10.15以上に対応し、Apple Silicon(M1以降)でも動作します。
Q. 無料でどこまで試せますか?
A. AIノイズ除去は無料で体験できます。ただし無料版での書き出しには透かしが入り、ボーカルリムーバーなど一部のAI機能は有料会員向けです。
というわけで、Macで動画の音声ノイズを消す話でした。軽症ならiMovieで応急処置、空調ブーンやサーッがしぶとく残る重症ならAIノイズ除去に渡す——この線引きさえ持っておけば、もう「音が残念だから撮り直し」と青ざめる回数はぐっと減るはずです。せっかく撮ったいい映像を、音で損するのは本当にもったいない。










