
先日、いつものように「もう使わないパソコン、処分しといて」とお客様からご依頼がありました。ありがたいことに、「もし直せるなら、自由に売っちゃっていいよ」とまで言ってくださって。こういう信頼、本当に励みになります。
さっそく分解して、中身をチェック。古いHDDをSSDに換装し、メモリも増設。今どきの感覚で言えば、もうちょっとだけ“気が利く”パソコンに変身させて、InstagramとLINE VOOMで告知したところ……なんと、ものの一日で完売。
「おお…SNSって、すごいなあ」と、独り言ちました。うちのような個人店でも、しっかりと“今”を使えば、ちゃんとチャンスに繋がる。小さな手応えを、ちょっと誇らしく感じた瞬間です。
でも、今回のお話にはもうひとつ、ちょっとした“余談”があります。
中古PCの販売告知を出してから間もなく、15年来お付き合いのある、地元の飲食店経営者の方から連絡がありました。
「そのPC、ちょっと考えてみてもいい?」と。
「もちろんです、ゆっくりご検討ください」と、僕は即答しました。
すると先方は「今日中には返事するから」と言い残して、メッセージが終わりました…
……はい、来ませんでした。返事。
いや、そんなのよくある話でしょ?と思われるかもしれません。もちろん、忙しさにかまけて連絡を忘れることなんて誰にでもあります。でも、僕はそこに「15年間のお付き合い」という重みをつい期待してしまったんです。
過去を思い返してみても、この方は見積もりだけ取って他店に流れたり、「部品は持ち込みで、工賃だけで安くしてくれ」といったご依頼もあったり。そういうご依頼自体は別に構わないんですが、やっぱりどこか“安易に見られてるな”と感じてしまうこともありました。
たった一本の「やっぱりやめておきます」というメッセージ。それだけでいいんです。本当に。
私たちのような小さな店舗は、大手のような価格競争には正直太刀打ちできません。でも、その代わり“顔が見える商売”をしていると思っています。
この商売を長く続けてきて、夜逃げして連絡が取れなくなったお客様、最終的に“踏み倒された”ような事例もありました。だからこそ、今では「これは一線を引くべきケースだな」と思ったら、きっぱり線を引くようになりました。
とはいえ、一般のお客様からの「検討しておきますね」は、まったく気になりません。むしろ「本当に必要になったらご連絡ください」と、心の中でエールを送っています。
なぜなら、そういうお客様は“ちゃんと自分のタイミングで決めている”から。こちらも在庫や状況を丁寧にお伝えして、お互いが無理せず気持ちよく進められたらそれでいいんです。
今後も、僕たちはSNSを通じて「こんなパソコンがありますよ」と情報を発信していきます。そして、「これ、気になるな」と思った方は、どうかお気軽にご連絡ください。必要なときに、必要なものを。誠実なやりとりでお応えしていきます。
ただ、経営者同士のやりとりに関しては、少しシビアにいかせていただきます。
なあなあにはしたくないからです。
もし、この記事をご覧になっている方の中に、「あれ、自分のことかも…」と感じられた方がいたら、どうか怒らずに、ほんの少しだけでいいので、考えてみていただけたら嬉しいです。
信頼って、約束を守るとか、連絡を忘れないとか、そんな小さな積み重ねでできているんだと思うのです。