
ある日突然、あなたのスマホに見慣れない「+1(833)」で始まる番号からの着信が…。ドキッとして出てみると、聞こえてくるのは早口の外国語(もしかして中国語?)の自動音声。わけがわからないうちに一方的に切れてしまい、「今の電話、一体何だったんだろう…?」と不安な気持ちになった経験はありませんか?
実はそれ、近年、日本でも被害が急増している国際電話番号やフリーダイヤルを悪用した、巧妙な詐欺の手口かもしれません。決して他人事ではありません。
この記事では、「+1(833)」や「0800」といった番号からかかってくる怪しい電話の正体、卑劣な詐欺の仕組み、そして何より、あなた自身とあなたの大切な人を守るための具体的な対策を、心を込めて分かりやすく解説します。どうか最後まで読んで、もしもの時に備えてください。
怪しい電話番号の正体を知ろう
まず、問題となっている電話番号について知っておきましょう。
- 「+1(833)」って何?
- 「+1」はアメリカやカナダなどの国番号です。「833」はその中でも企業などが使うフリーダイヤル(通話料無料)の番号帯。本来なら、まっとうなサービスに使われるはずの番号です。
- しかし、日本に住む私たち個人に、心当たりもなく突然この番号からかかってくる場合、ほぼ詐欺や迷惑電話と考えて間違いありません。特に、不自然な日本語や中国語の自動音声が流れたら、警戒レベルは最大級です!「サービスを停止します」などと不安を煽り、あなたに行動させようとする悪質なケースが後を絶ちません。
- 「0800」から始まる番号は?
- 「0800」は日本国内のフリーダイヤルです。「0120」と同じで、電話を受けた側(契約している企業など)が通話料を負担します。大手企業の問い合わせ窓口なども使っているので、一概に危険とは言えません。
- しかし! 最近、この「0800」を悪用した強引な勧誘や迷惑電話の相談が、全国の消費生活センターに急増しているのです。「携帯の080と間違えて出たら、しつこいセールスだった」「『インターネットサービスのご案内』と言われ、会社名を聞いたら無言で切られた」…こんな声が実際に寄せられています。「0800だから安心」とは限らないのです。
つまり、「+」で始まる見慣れない国際番号や、唐突な「0800」からの着信は、何らかの悪意を持った電話である可能性が高い、と心に留めておいてください。
なぜ電話をかけてくるの? 詐欺のカラクリとは
では、犯人たちはなぜこんな電話をかけてくるのでしょうか? その目的は主に「通話料」と「特殊詐欺」です。
- 「かけ直し」で儲ける国際ワン切り詐欺
- 最も古典的で、今もなお使われる手口が「国際ワン切り詐欺」です。
- 犯人は、海外の番号からあなたのスマホに一瞬だけ電話をかけ(ワンコール)、すぐに切ります。着信履歴だけが残り、あなたは「誰だろう?」と、つい表示された番号にかけ直してしまう…。
- これが罠です! あなたがかけ直した先は、高額な通話料が発生する国際電話。あなたは後日、覚えのない高額な国際通話料を請求されることになります。
- 犯人たちの狙いは、まさにこの通話料。あなたが支払った通話料の一部が、国際的な電話網の仕組みを通じて、最終的に犯人グループに報酬(キックバック)として渡るのです。あなたがかけ直すだけで、彼らは儲かる仕組みです。
- 通話料は、1分あたり数百円、場合によっては30秒で250円もかかるケースも! 被害額は数千円で済むこともあれば、長電話してしまい20万円以上になった例も報告されています。侮れません。
- 犯人は、少しでも長く通話させようと、「おめでとうございます!当選しました!」といった嘘のガイダンスで引き止めようとすることもあります。もちろん、全て嘘。通話を引き延ばすための悪質な手口です。
- 「特殊詐欺」への利用も急増
- 最近、さらに深刻なのは、これらの番号が「振り込め詐欺」などの特殊詐欺に使われるケースが急増していることです。
- 警察庁の発表でも、2023年には特殊詐欺に使われた電話番号として、従来のIP電話(050)に代わり、+1(アメリカ)や+44(イギリス)といった国際電話番号が目立って増えたと報告されています。
- 犯人は、海外から発信しているように見せかけたり、アプリで番号を偽装したりして、追跡を逃れようとしています。電話番号だけでは、本当の発信元は分からないのです。
なぜ外国語(中国語)で話しかけてくるの?
着信に出てみると、いきなり中国語などの外国語でまくしたてられる…。これにも理由があります。
- 特定の層を狙い撃ち?
- 日本に住む中国人の方などをターゲットにしている可能性が指摘されています。中国語の音声に反応した人だけを選び出し、次の詐欺(例えば、偽の中国大使館や警察を名乗るなど)へ誘導しようとしているのかもしれません。
- 日本人にも「ワン切り」効果
- 言葉が分からない日本人が出ても、驚いてかけ直してしまうことを期待している側面もあります。どちらに転んでも、犯人には(通話料詐欺として)メリットがあるのです。
- 権威を装う手口
- 「中国大使館」「入国管理局」などを名乗り、「在留資格に問題がある」「重要書類が届いている」などと不安を煽り、指示に従わせようとする手口も報告されています。もちろん、公的機関がこのような電話をかけることは絶対にありません! これは、言葉巧みにあなたを騙し、金銭を要求したり個人情報を聞き出したりするための、完全な嘘です。
今、まさに増えています! 最近の状況
国際電話を使った迷惑・詐欺電話は、ここ数年で明らかに増加しており、手口を変えながら今も続いています。
- 2023年には、特殊詐欺で国際番号が急増したことが公式に発表されました。
- 「+」で始まる、聞き慣れない小さな国の番号からの着信も増えています。警戒心が薄れやすい心理を突いているのかもしれません。
- 話題の「+1(833)」からの不審電話は、実は2020年頃から問題になっており、2025年現在も後を絶ちません。携帯各社も繰り返し注意を呼びかけています。
被害に遭わないために! あなたができること
では、どうすればこの卑劣な詐欺から身を守れるのでしょうか? 難しいことはありません。今日からできる対策をまとめました。
- 【鉄則】知らない番号には「出ない」!「かけ直さない」!
- これが一番大事です! 「+」で始まる国際番号、見覚えのない「0800」「0120」には、絶対に出ない。留守電が残っていても、安易にかけ直さないでください。本当に用事がある相手なら、別の方法で連絡してくるはずです。
- もし出てしまったら「すぐに切る」!
- 万が一出てしまい、「怪しい!」と感じたら、会話の途中でもためらわずにすぐに電話を切ってください。長話は相手の思うツボ。ボタン操作を求められても絶対に従わないで!
- 「着信拒否」と「迷惑電話ブロックサービス」を活用!
- かかってきた怪しい番号は、すぐにスマホの着信拒否リストへ登録しましょう。
- 携帯会社が提供している迷惑電話対策サービス(有料・無料あり)の利用も非常に有効です。海外からの着信を自動でブロックする機能などもあります。
- 究極の対策?「国際電話の発着信を止める」
- 海外と電話する機会が全くない、という方は、電話会社に申し出て、国際電話の発信・着信そのものを停止するサービスを利用するのも手です。特にご高齢のご家族を守るために有効な場合があります。
- 焦らず「番号を検索」してみる
- 知らない番号から着信があったら、かけ直す前に、まずその番号をインターネットで検索してみましょう。企業の公式サイトにあれば安心材料ですが、迷惑電話の口コミサイトなどがヒットしたら危険信号です。
- 公的機関を名乗る電話は「まず疑う」「必ず確認」!
- 警察、役所、銀行、入管などを名乗り、お金や個人情報を要求する電話は、ほぼ100%詐欺です。慌てず、一度電話を切って、必ず公式に発表されている代表電話番号などに自分でかけ直して確認しましょう。
- もし被害に遭ってしまったら…「すぐに相談」!
- 万が一、高額請求が来た、お金を振り込んでしまった、個人情報を教えてしまった…という場合は、決して一人で悩まず、すぐに電話会社、警察(相談ダイヤル#9110)、消費生活センター(188)などに相談してください。
最後に伝えたいこと:冷静さが、あなたを守る
突然の怪しい電話には、誰だって驚き、不安になりますよね。でも、その正体の多くは、今日お話ししたような詐欺なのです。相手は、あなたの焦りや不安につけ込もうとしてきます。
だからこそ、まずは深呼吸して、「冷静になること」が何よりも大切です。そして、「知らない番号には出ない、かけ直さない」というシンプルなルールを守るだけで、ほとんどの被害は防げます。
この情報を、ぜひご家族や友人にも伝えてあげてください。「自分は大丈夫」と思わず、常に「もしかしたら?」という気持ちで、賢く、安全に電話を利用していきましょう。あなたの注意深さが、あなた自身と周りの大切な人を守る盾となるはずです。
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