
MINISFORUM M2 PRO-358H は、グラフィックボード(グラボ)を積まずにゲームが動くとうたう、新しいミニPCです。Intel の新世代 CPU「Core Ultra X7 358H」(開発コード名 Panther Lake)に、内蔵 GPU としてはかなり強い「Intel Arc B390」を組み合わせていて、国内では 2026 年 9 月 25 日から出荷が始まりました。
「ゲームはしたい。でも大きなゲーミングPCを置く場所がない」。この悩みに、弁当箱くらいの大きさの箱が「グラボは要りません」と答えに来たわけです。税込 251,999 円という値札を見て、私は一度画面を閉じました。そして開き直して、ちゃんと中身を調べました。
先に結論:MINISFORUM M2 PRO-358H は、メーカーが「GeForce RTX 3050 に匹敵する」とする内蔵 GPU を持ち、画質を調整すれば多くのゲームを遊べるミニPCです。ただし最新の重いゲームを高画質で遊ぶなら、グラボを積んだゲーミングPCのほうが確実です。
メモリは基板に直付けで後から増やせず、販売は直販サイトだけです。置き場所の小ささと 10 ギガ LAN などの端子の豪華さに価値を感じる人向けの、尖った 1 台です。
MINISFORUM M2 PRO-358H とは?価格・出荷日・中身を整理
MINISFORUM(ミニスフォーラム)は、小型のデスクトップPC、いわゆるミニPCを多く出しているメーカーです。M2 PRO-358H は、その中でも「大きめのミニPC」に当たる機種で、電源ユニットを本体に内蔵し、端子をぎっしり並べた上位機という位置づけです。
価格・出荷日・販売先
国内では 2026 年 8 月 24 日に発表され、価格は税込 251,999 円、9 月 25 日から出荷されています。売っているのは同社の直販サイトで、家電量販店の店頭に並ぶ製品ではありません。
Core Ultra X7 358H と、GeForce RTX 3050 に匹敵するグラフィックス性能を持つ Intel Arc B390 を搭載したミニPC。直販サイトでの価格は税込 251,999 円で、9 月 25 日から出荷される予定とされた。
出典:エルミタージュ秋葉原「MINISFORUM M2 PRO-358H」プレスリリース
主なスペック
中身を表にまとめます。数字はプレスリリースに載っているものです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| CPU | Core Ultra X7 358H(16 コア/16 スレッド) |
| GPU | Intel Arc B390(CPU 内蔵) |
| メモリ | LPDDR5X-7467 32GB |
| SSD | 1TB |
| 有線 LAN | 2.5 ギガ+10 ギガ |
| 無線 | Wi-Fi 7、Bluetooth 6.0 |
| 映像出力 | HDMI 2.1、DisplayPort 1.4、USB4×3 |
| 電源 | 135W 電源ユニット内蔵 |
| 大きさ・重さ | 幅 195×奥行き 195×厚さ 47.5mm、1.39kg |
| OS | Windows 11 Pro |
| 価格 | 税込 251,999 円(直販) |
AI の処理性能は、GPU の 122TOPS と NPU の 50TOPS を合わせて「合計 180TOPS」とされています。Windows の AI 機能を使う「Copilot+ PC」の話にもつながる数字ですが、この記事ではゲームと普段使いに絞って見ていきます。
用語:Panther Lake とは、Intel のノートPC・小型PC向け CPU「Core Ultra シリーズ 3」の開発コード名です。型番に「X」が付くモデル(今回の X7 358H など)は、内蔵 GPU に強力な Arc B シリーズを積んでいるのが特徴です。
MINISFORUM M2 PRO-358H が「グラボ不要」と言われる理由、Arc B390 の実力
普通のパソコンの映像は、CPU に入っているおまけの GPU(内蔵 GPU)か、別に差し込むグラボのどちらかが描いています。これまで内蔵 GPU は「事務作業と動画視聴なら十分、ゲームは軽いものだけ」というのが相場でした。M2 PRO-358H が注目されているのは、その相場を崩しに来たからです。
メーカーの目安は RTX 3050 相当
メーカーは Arc B390 の性能を「GeForce RTX 3050 に匹敵する」と案内しています。RTX 3050 は、数年前に入門向けのゲーミングPCによく積まれていたグラボです。グラボの入門機と同じ土俵に、内蔵 GPU が上がってきたというのが今回の話の芯です。
動画での検証で語られていたこと
実機での検証は、YouTube チャンネル「八尋工房 YahiroLab」の動画「【最強ミニPC】グラボ不要の時代へ!インテル最新 Panther Lake(Arc B390)を搭載した、ミニPCの常識を覆す最高スペックマシンの実力を徹底検証!【Minisforum M2 Pro】」が詳しいです。八尋氏は、3DMark の Steel Nomad Light で 5,994、FF14 のベンチマーク(標準品質(ノートPC))で 13,154 の「とても快適」が出たと話しています。
「負荷が高いゲームでも設定の調整次第で快適にプレイできる性能は十分にあると思います」と八尋氏は話す。一方で、重いタイトルを最高品質の設定で動かすのは内蔵 GPU なので難しい、とも付け加えている。
出典:【最強ミニPC】グラボ不要の時代へ!インテル最新 Panther Lake(Arc B390)を搭載した、ミニPCの常識を覆す最高スペックマシンの実力を徹底検証!【Minisforum M2 Pro】(八尋工房 YahiroLab)
動画では、前の世代の内蔵 GPU(Arc 140T)と比べて 3DMark の結果が約 1.8 倍になったこと、ゲーミングノート向けの RTX 4050 Laptop と同じくらいの性能があるようだ、という見方も語られています。実際のゲームの画面と、動作音の確認も入っているので、気になる方は見てみてください。
ここで一つ引っかかるのが、「RTX 3050 相当」と「RTX 4050 Laptop 相当」という 2 つの物差しです。前者はメーカーの案内、後者は動画の中の見方で、比べている相手もテストも違います。内蔵 GPU は、メモリの速さ(今回は LPDDR5X-7467 という速いもの)と、本体に許された電力でかなり性能が変わる部品です。同じ Arc B390 でも、薄いノートPCに入ったものと、この大きめの箱に入ったものでは同じ数字にならない。……と、ここまで語ったところでブレーキをかけます。読者にとって大事なのは「遊びたいゲームが、この箱で動くか」の一点です。

電源内蔵・10 ギガ LAN・USB4×3、ミニPCとしての使い勝手
M2 PRO-358H は、ゲーム性能だけの箱ではありません。むしろ、端子と作りの豪華さのほうが「らしさ」かもしれません。仕様と動画の内容から、使い勝手に関わるところを拾います。
- 電源ユニットが本体の中にあり、机の下に大きな AC アダプターが転がらない
- 有線 LAN が 2 つ(2.5 ギガと 10 ギガ)。NAS や社内ネットワークとの大きなファイルのやり取りが速い
- USB4 が 3 つ。動画では、画面出力は最大 4 画面までと紹介されている
- 動画では、指紋認証センサーと SD カードリーダーも付いていると紹介されている
- 動画では、中に M.2 SSD のスロットが 3 つあり、SSD は後から足せると紹介されている
動画でおもしろかったのは、背面の USB4 の 1 つが、USB PD(USB 給電)での電源入力に対応しているという話です。八尋氏は、電源ケーブルを抜いた状態で 100W 対応の USB 充電器をつなぎ、本体が起動するところを見せています。コンセントが取りにくい場所で使えるので、イベントや出張先での展示に向く、というのが八尋氏の見方です。
メモ:動画によると、USB 給電で動かすときは 65W〜100W を出せる充電器かモバイルバッテリーと、その W 数に対応した USB Type-C ケーブルが要ります。ケーブルが細い規格のままだと、充電器が強くても足りません。
一方で、大きさは幅・奥行きとも 19.5cm、重さは 1.39kg です。手のひらに乗るミニPCを想像していると、ちょっと驚きます。「ミニ」と「小さい」は、この機種では別の言葉だと思っておくと、届いた日にがっかりしません。
同じ「強い内蔵 GPU のミニPC」の流れとして、AMD 側の機種を取り上げた記事もあります。数字だけで選ぶときの注意点は共通です。
買う前に気をつけたい 3 つのこと
ここからは、パソコン屋として気になるところです。性能の話より地味ですが、買ったあとに効いてくるのはこちらです。
メモリは後から増やせない
メモリは LPDDR5X の 32GB で、動画では基板に直付けされていてメモリのスロットが無いことが確かめられています。速いメモリを内蔵 GPU に使わせるための作りで、性能のためには理にかなっています。
ここ、見落としがちです:内蔵 GPU は、メインのメモリの一部を映像用として使います。ゲームとブラウザーと配信ソフトを同時に動かすような使い方だと、32GB を GPU と分け合う形になります。買ったときの 32GB で使い続ける前提で考えてください。
直販だけ。保証と修理の窓口を先に確かめる
国内の販売は直販サイトです。量販店で買ったパソコンのように「買った店に持っていく」ことはできないので、壊れたときの流れを先に知っておくと安心です。
- 保証の期間と、保証の対象になる故障の範囲
- 修理を頼むときの連絡先と、本体の送り先
- 修理に出すとき、SSD のデータをどう扱うか
- 返品・初期不良の受付期間
熱と音は「普通のミニPC並み」
動画では、CPU に強い負荷をかけ続けたときの温度は最高で 91℃、そのときの本体全体の消費電力は 86W 付近だったと紹介されています。音は、負荷をかけると少し大きくなるものの、気にならない程度という評価でした。ミニPCとしては普通の範囲ですが、夏場の閉め切った棚の中に押し込むのは避けたいところです。

どんな人に向く?グラボ付きのゲーミングPCとの比べ方
最後に、普通のゲーミングPCや、よくある安いミニPCと並べてみます。価格は M2 PRO-358H 以外は構成で大きく変わるので、表には入れていません。
| 比べる点 | M2 PRO | グラボ付き | 格安ミニPC |
|---|---|---|---|
| 置き場所 | 19.5cm 角 | タワー型で大きい | 手のひら大 |
| ゲーム | 画質の調整で多くが動く | 重いゲームも高画質 | 軽いものだけ |
| 後からの強化 | SSD のみ | グラボ・メモリも交換可 | 機種による |
| 端子 | 10 ギガ LAN・USB4×3 | 機種による | 最低限 |
向いているのは、置き場所が限られていて、ゲームは画質を少し下げても構わない人。それに加えて 10 ギガ LAN や複数画面などの端子の豪華さを使い切れる人です。逆に、最新の重いゲームを高画質で遊びたい人、数年後にグラボを載せ替えて長く使いたい人は、グラボ付きのゲーミングPCのほうが満足しやすいはずです。

ゲームはしない、普段使いだけのミニPCで十分という方は、安いミニPCをメイン機として使ってみた記事もどうぞ。差の大きさがよく分かります。
同じミニPCでも、値札が大きく違うと、できることもここまで違います。弁当箱サイズで重いゲームまで動かしたいのか、軽い作業が静かに動けばいいのか。まず自分の使い方を一言で言えるかが、ミニPC選びの最初の関門です。
ご自宅のパソコンで、遊びたいゲームがどこまで動くか分からないという方は、今の機種のスペックを確かめるところから始めると話が早いです。ピシコでは、ご来店か出張のときに、今のパソコンの中身を一緒に確かめられます。
よくある質問
MINISFORUM M2 PRO-358H で最新の重いゲームも遊べますか?
画質や解像度を下げれば遊べるゲームは多いですが、最新の重いゲームを高画質で遊ぶならグラボを積んだゲーミングPCのほうが確実です。メーカーは内蔵 GPU の Arc B390 の性能を GeForce RTX 3050 に匹敵するとしています。買う前に、遊びたいゲームの推奨スペックと比べてください。
M2 PRO-358H のメモリは後から増やせますか?
増やせません。メモリは LPDDR5X の 32GB で、基板に直付けされていてメモリのスロットがありません。後から足せるのは M.2 SSD のほうです。
M2 PRO-358H は家電量販店で買えますか?
国内の案内では、販売は MINISFORUM の直販サイトです。価格は税込 251,999 円で、2026 年 9 月 25 日から出荷されています。保証や修理の受付も直販の窓口になるので、注文する前に確かめておくと安心です。
まとめ
MINISFORUM M2 PRO-358H は、Panther Lake 世代の Core Ultra X7 358H と内蔵 GPU の Arc B390 を積み、グラボなしでも画質を調整すれば多くのゲームが動くミニPCです。価格は税込 251,999 円、直販サイトだけで売られていて、メモリ 32GB は後から増やせません。
内蔵 GPU がグラボの入門機に並んだのは、大きな変化です。それでも、弁当箱サイズのこの 1 台が向くのは、場所の制約とゲームの両方を抱えた人です。遊びたいゲームと置き場所、この 2 つを書き出してから選んでください。迷ったら、ご来店のときに気軽に相談してください。










