本文へスキップ

LibreOffice 26.8.1|乗り換え前に見る互換性

LibreOffice 26.8.1|乗り換え前に見る互換性

無料のオフィスソフト「LibreOffice 26.8.1」が公開されました。Word・Excel・PowerPoint のファイルを開いたときの崩れや、アプリが落ちる不具合を直す更新です。ちょうど Office 2021 のサポートが 2026 年 10 月 13 日で終わるため、「無料のソフトで代わりになるなら、乗り換えてしまおうか」と考えている方もいると思います。

ただ、更新の中身を読むと、引っかかるところがあります。開発元は 26.8 の系統を「経験のあるユーザー向け」とし、仕事で使う人には一つ前の 26.2 を勧めているのです。新しい版がいちばん安心な版とは限らない。何が直ったのか、どの版を入れればいいのか、乗り換える前に何を確かめればいいのかを、順に整理します。

先に結論:LibreOffice 26.8.1 は新機能の無い修正版で、約 40 件の不具合修正のうち、DOCX・XLSX・PPTX の読み込みまわりの修正が目立ちます。ただし開発元は、仕事で使うなら当面は 26.2 系を使い、11 月 30 日の 26.2 のサポート終了までに 26.8 系へ移る計画を立てるよう案内しています。

Office 2021 はサポートが終わっても起動はします。乗り換えるかどうかは、今のファイルを LibreOffice で開いて見比べてから決めるのが確実です。

LibreOffice 26.8.1 で何が変わったのか

まず前提として、LibreOffice がどういうソフトかを押さえておきます。Microsoft Office の Word にあたる「Writer」、Excel にあたる「Calc」、PowerPoint にあたる「Impress」がひとまとめになったソフトで、Office のファイルもそのまま開けます。

用語:LibreOffice とは、The Document Foundation が開発しているオープンソースのオフィスソフトです。公式サイトから無償で入手でき、Windows・macOS・Linux 向けがあります。保存の標準は ODF という形式ですが、DOCX・XLSX・PPTX でも保存できます。

26.8.1 は、26.8 系の最初の修正版です。新しい機能は入っておらず、中身は不具合の修正だけです。開発元の発表では、修正はおよそ 40 件とされています。

LibreOffice 26.8.1 は 26.8 系の最初の小さな更新で、約 40 件の不具合を修正した。DOCX・XLSX・PPTX との互換性が改善され、DOCX の目次のハイパーリンク、Word 文書の文字の配置と行間、XLSX の描画オブジェクトとデータベース範囲、一部の PPTX を Impress で開いたときに落ちる問題などが直された。

出典:The Document Foundation Blog「LibreOffice 26.8.1」

Word・Excel・PowerPoint のファイルまわりの修正

修正の一覧から、Office のファイルを使っている人に関係しそうなものを拾うと、次のとおりです。細かい項目は UbuntuHandbook の解説記事がまとめています。

  • Word(DOCX):目次のハイパーリンクが急に効かなくなることがある問題
  • Word(DOCX):タブ文字が多い文書で文字の位置がずれる問題
  • Word(DOC・DOCX):日本語など CJK のフォントを使った文書で行間がおかしくなる問題
  • Excel(XLSX):データベース範囲が編集できない問題、回転させた図形の大きさがずれる問題
  • PowerPoint(PPTX):表のスタイルやコメントのデータによっては、開いた瞬間に落ちる問題

日本語の CSV やテキストの読み込みも直った

地味ですが、日本語で使う人に効きそうなのが文字コードまわりです。窓の杜は、テキストや CSV を読み込むときの UTF-16、ISO Latin 1、日本語・中国語のエンコーディングへの対応がよくなったと報じています。Calc の「区切り位置(Text to Columns)」で全角スペースを区切りとして見つけられず、日本語が化ける問題も直りました。

販売管理や会計のソフトから CSV を書き出して表計算で開く、という使い方をしている小さな事業者の方は、ここが関係します。とはいえ、自分の CSV で化けないかどうかは、実際に開いてみるまで分かりません。

店長
店長
「互換性が改善」は、裏返せば「これまでは崩れていた所があった」という意味です。直った一覧に自分のファイルが当てはまるかは、開いてみて確かめるしかありません。

LibreOffice 26.8.1 と 26.2 はどちらを入れる?

公式のダウンロードページを開くと、26.8.1 と 26.2.6 の 2 つの版が並んでいます。どちらも無料ですが、開発元の位置づけははっきり違います。

項目26.8 系(26.8.1)26.2 系(26.2.6)
位置づけ最新の安定版一つ前の系統
開発元が勧める人最新の機能が欲しい経験者仕事で使う人(当面)
サポート続く2026 年 11 月 30 日まで
Windows 版x86-64・ARM64x86-64・ARM64
LibreOffice の 2 つの系統(2026 年 10 月 11 日時点)

表だけ見ると迷いますが、今から入れるなら答えは比較的はっきりしています。26.2 系は 11 月 30 日でバグ修正もセキュリティの更新も止まるので、これから乗り換える人は 26.8.1 を入れ、こまめに更新するほうが、7 週間後にもう一度入れ替えるより手間が少ないはずです。すでに 26.2 で仕事が回っている人は、開発元の案内どおり、11 月末までに 26.8 系へ移る計画を立てれば足ります。

公開が 1 週間遅れた理由と、版数の確かめ方

窓の杜によると、26.8.1 は 10 月 2 日に発表されたものの、Windows 版のパッケージ作りとダウンロード用サーバーのトラブルで、実際に落とせるようになるまで約 1 週間かかりました。10 月 9 日の時点では、正常にダウンロードできるとされています。

ここ、見落としがちです:発表の直後にダウンロードした人は、26.8.1 ではなく一つ前の版が入っていることがあります。LibreOffice を起動し、メニューの「ヘルプ」→「LibreOffice について」で版数を見てください。26.8.1 より前なら、公式サイトから入れ直します。

ダウンロードは公式サイト(libreoffice.org)か、窓の杜のライブラリから行います。検索で出てくる「無料ダウンロード」をうたう知らないサイトから落とすのは避けてください。

Office 2021 のサポート終了で何が起き、何は起きないのか

乗り換えを考えるきっかけになっている Office 2021 のほうも、事実を確かめておきます。慌てて入れ替える前に、何が止まるのかを知っておくと判断がぶれません。

Office 2021 のサポートは 2026 年 10 月 13 日に終了し、延長や追加のセキュリティ更新は提供されない。アプリはその後も動き続ける可能性があるが、新しく見つかった脆弱性の修正、ソフトウェアの更新、電話やチャットでの技術サポートは提供されなくなる。

出典:Microsoft サポート「End of support for Office 2021」

つまり、10 月 14 日になったら Word や Excel が開かなくなる、ということはありません。止まるのはセキュリティの修正です。問題になるのは、メールの添付ファイルやダウンロードした文書を開く使い方で、そこに新しい弱点を突くファイルが混ざっていても、もう塞がれません。

メモ:Office 2016 と Office 2019 は、Microsoft のライフサイクルの案内どおり 2025 年 10 月 14 日にサポートが終わっています。2016・2019 を使っている方は、すでに 1 年近く更新が無い状態です。Office 2021 より先に考えたほうがいいのは、こちらです。

Office のライセンスまわりでは、更新や入れ替えのタイミングで「認証が外れた」「Office が消えた」という形でつまずくこともあります。乗り換えを考える前に、今の Office がどういう状態かも見ておくと安心です。

Officeのライセンス認証が外れた|消えたOfficeの戻し方

乗り換えで崩れやすいファイルと、確かめる手順

LibreOffice で Office のファイルが開けるのは本当です。ただ、開けることと、同じ見た目で動くことは別の話です。崩れやすいのは、だいたい決まった種類のファイルです。

先に確かめたいファイル

  • マクロ(VBA)入りの Excel ファイル。LibreOffice のマクロは仕組みが違い、そのまま動くとは限らない
  • 表や図、段組みを細かく組んだ Word の書類(申請書の様式、チラシなど)
  • アニメーションや画面切り替えを凝った PowerPoint
  • 取引先や役所とやり取りする書類。相手は Office で開くため、こちらで保存し直した形が崩れて届くことがある
  • 販売・会計ソフトから書き出した CSV

確かめ方は難しくありません。大事なのは、元の Office がまだ動くうちに見比べることです。Office を消してから崩れに気づいても、正しい見た目と比べようがありません。

注意:試すときは、必ず元のファイルをコピーしてから、コピーのほうを開いてください。LibreOffice で開いて上書き保存すると、崩れた状態のまま DOCX や XLSX として保存され、元のレイアウトやマクロが戻らなくなることがあります。

  1. よく使うファイルを 5〜10 個選び、別のフォルダーにコピーする。
  2. 公式サイトから LibreOffice を入れる。Office は消さずに入れたままでよい。
  3. コピーしたファイルを LibreOffice で開き、Office で開いたものと画面を並べて見比べる。改ページ・表の幅・図の位置・フォントを見る。
  4. マクロ入りの Excel は、ふだんの操作を一通り試し、計算や集計が同じ結果になるか確かめる。
  5. 取引先に送るファイルは、LibreOffice で保存したものを Office で開き直し、相手の画面でどう見えるかを確かめる。

ここで崩れが無ければ、そのファイルについては乗り換えて困ることは少ないはずです。崩れたファイルが仕事の中心にあるなら、そのファイルだけ Office で開ける環境を残すことを考えます。

店長
店長
Office をアンインストールしてから「やっぱり戻したい」となっても、ライセンスの情報が分からず入れ直せないことがあります。見比べが終わるまで、Office は消さないでください。

LibreOffice に乗り換えるか、Office を続けるかの目安

ここは、私の評価を言い切らずにおきます。LibreOffice が「おすすめかどうか」は、使い方によって答えが変わるからです。判断の材料になる線だけ引いておきます。

家庭で文書を作る・表を付ける・届いたファイルを読む、という使い方で、見比べても崩れが無かったなら、LibreOffice で十分な方は多いと思います。反対に、マクロ入りの Excel で仕事が回っている、取引先と書類を何度も往復させる、という使い方なら、崩れたときの手間が無料の分を上回るかもしれません。その場合は、Microsoft が案内しているとおり、新しい版の Office か Microsoft 365 を選ぶほうが筋が通ります。

もう一つ、LibreOffice には Microsoft のような有償のサポート窓口がありません。更新が出たら自分で入れる、困ったら自分で調べる、という前提で使うソフトです。似た立場の無料オフィスソフトでも、更新が止まったまま使い続けると弱点が残ることは、以前に取り上げた OpenOffice の件でも同じでした。

OpenOffice 脆弱性|修正版が出る前にJava連携をオフ
店長
店長
無料か有料かより、「更新を入れ続けられるか」で選んだほうが後悔が少ないと思います。サポートの切れた Office を使い続けるのだけは、やめておいたほうがいいです。

よくある質問

LibreOffice は無料で使い続けられますか?

使い続けられます。The Document Foundation が開発しているオープンソースのソフトで、公式サイトから無償で入手でき、Windows・macOS・Linux 向けがあります。有償のサポート窓口は無いため、更新の確認と入れ替えは自分で行う前提になります。

Office 2021 はサポート終了後も使えますか?

起動して使うことはできます。ただし 2026 年 10 月 13 日のサポート終了後は、新しく見つかった脆弱性の修正やソフトウェアの更新が提供されません。メールの添付ファイルやダウンロードした文書を開く使い方では、新しい版の Office か Microsoft 365、または LibreOffice への移行を考えたほうが安全です。

LibreOffice で Word や Excel のファイルは崩れませんか?

崩れないとは言い切れません。26.8.1 では DOCX の目次のリンクや行間、XLSX のデータベース範囲、PPTX を開くと落ちる問題などが直されましたが、マクロ入りの Excel や凝ったレイアウトの書類は表示や動きが変わることがあります。元の Office が使えるうちに、コピーしたファイルを開いて見比べてください。

まとめ

LibreOffice 26.8.1 は、約 40 件の不具合を直した修正版で、Word・Excel・PowerPoint のファイルの読み込みと、日本語の CSV やテキストの扱いがよくなりました。開発元は仕事での利用には当面 26.2 系を勧めていますが、26.2 系は 11 月 30 日でサポートが終わるため、これから入れる人は 26.8.1 を入れて更新を続けるのが手間の少ない道です。

Office 2021 はサポートが終わっても動きます。だからこそ、慌てて消さずに、元の Office があるうちに自分のファイルを LibreOffice で開いて見比べてください。乗り換えるかどうかは、その結果を見てからで間に合います。自分のファイルで判断がつかないときは、パソコンを持ってご来店いただくか出張で、一緒に見比べることもできます。

この記事を書いた人

ホンダ ヒデユキ

ホンダ ヒデユキ

北海道苫小牧市でパソコン修理店「ピシコ」を運営しています。 パソコン修理・データ復旧・自作PCサポートなど、現場での対応を続けながら、毎日テックブログを更新しています。 近年は、企業向けのAI導入や業務自動化の支援にも力を入れており、予約・見積・請求など、日々の業務を効率化する仕組みを実際に構築・運用しています。 「難しいことを、できるだけわかりやすく」を大切に、修理の現場やAI活用で得た知識を発信しています。