
Windows11 26H2 を、要件を満たさない古いパソコンにも入れられる。そんな方法を紹介する動画が出て、話題になっています。「このPCは Windows 11 を実行するための要件を満たしていません」と言われて諦めていた方にとっては、気になる話ですよね。
ただ、Microsoft はこういう使い方について、注意点をはっきり書いています。この記事では、方法の中身と公式の注意点を並べて、やるかどうかを決める材料を整理します。手順の細かい解説はしません。手順より先に決めることがあるからです。
先に結論:要件を満たさないパソコンでも、メディア作成ツールで作った ISO を使えば Windows11 26H2 へ上書きアップグレードできたという報告はあります。ただし Microsoft は、要件外のパソコンはセキュリティ更新を含む更新を受けられる保証がなく、非互換による故障はメーカー保証の対象外だとしています。
やるなら、データのバックアップを取ってから、「試しに使う」くらいの気持ちで。Windows 10 は 2027 年 10 月 12 日まで無償でセキュリティ更新を受ける方法があるので、急いで要件外のアップグレードをする必要はありません。
Windows11 26H2 要件を満たさないPCはどう扱われる?いまの状況
まず前提から。Windows 11 の 2026 年版である 26H2 は、2026 年 9 月 29 日に一般向けの配信が始まりました。Windows 11 の 24H2・25H2 を使っている対応機種なら、Windows Update から小さな更新を当てるだけで 26H2 になります。中身の大半はすでに 25H2 の月例更新で届いているので、対応機種の人にとっては「名前が変わる」くらいの更新です。
Windows 11 バージョン 26H2 は、バージョン 25H2・24H2 を使っている対象のデバイスに提供を開始した。これらのデバイスには「有効化パッケージ」で届けられ、OS の入れ替えは要らない。提供の範囲は今後数週間で広げていく。
出典:Microsoft 365 メッセージセンター MC1482225「How to get the Windows 11 2026 Update」(2026 年 9 月 29 日)
一方で、Windows 11 を動かすための最小要件は 26H2 になっても変わっていません。Microsoft の仕様ページにある要件は次のとおりです。
| 項目 | 最小要件 |
|---|---|
| CPU | 1GHz 以上・2 コア以上の対応 64 ビット CPU |
| メモリ | 4GB |
| ストレージ | 64GB 以上 |
| ファームウェア | UEFI・セキュアブート対応 |
| TPM | バージョン 2.0 |
古いパソコンが引っかかるのは、たいてい CPU の世代と TPM 2.0 です。メモリやストレージは足りていても、「対応 CPU の一覧に載っていない」の一点で弾かれる。まだ十分動くのに、書類審査で落ちる。私はこれを勝手に「書類落ち問題」と呼んでいます。
用語:TPM 2.0 とは、パソコンに組み込まれたセキュリティ用の部品(またはその機能)のことです。暗号化の鍵や本人確認の情報を、ほかのソフトから取り出されにくい場所に保管します。Windows 11 は、この TPM のバージョン 2.0 があることを前提に作られています。
メディア作成ツールは、Microsoft の Windows 11 ダウンロードページにある、インストール用の USB メモリや ISO ファイルを作る公式のツールです。このツールはその時点の最新の公開版を作るので、26H2 が配信されたいまは 26H2 の ISO が作れるようになっています。
Windows11 26H2 要件を満たさないPCで話題の「ISOで上書き」とは
話題になっているのは、YouTube チャンネル「PCまなぶ」の動画「超楽に古いPCも無条件Windows 11 26H2最新版へアップグレード!」です。要件を満たしていないパソコンを使って、アプリとデータを残したまま 26H2 へ上げるところを実演しています。
動画で紹介されている流れを、ざっくり言葉にするとこうです。メディア作成ツールで 26H2 の ISO ファイルを作り、エクスプローラーでその ISO をマウント(仮想の DVD として開く)し、セットアップを特別な指定を付けて起動する。同氏は、普通にセットアップを実行するとうまくいかないことを先に確かめたうえで、この指定を付けて実行し、作業はおよそ 10 分で終わったと話しています。
アップデートやアップグレードでプログラムやファイルは消えないが、99.9% ぐらいは大丈夫でも 100% ではない。古いパソコンでは SSD が寿命を迎えていることもあり、いずれにしてもバックアップは常に取ってほしい、と同氏は呼びかけている。
出典:超楽に古いPCも無条件Windows 11 26H2最新版へアップグレード!(PCまなぶ)
もう一つの論点が「どの ISO を使うか」です。同氏は、ダウンロードページから直接落とせる ISO は半年に 1 回しか作り直されないので使わず、毎月の更新を含んだ最新版が作られるメディア作成ツールのほうを使ってほしい、と説明しています。また、24H2 以降は Core 2 世代のようなかなり古い CPU では動かないので、その場合は Windows 10 のまま使ってほしい、とも話しています。
動画を見て感心したのは、手順の簡単さより、注意を先に言っているところでした。バックアップを取れ、超古い機種はやめておけ、SSD が弱っていたら方法のせいにするな。うまい話ほど注意書きが先、というのは修理の現場でも同じです。
メモ:この記事では、動画で使われているセットアップの指定(コマンド)の書き方は載せていません。手順そのものは動画で確かめられますし、ここでお伝えしたいのは「やるかどうか」を決めるための材料だからです。
Microsoftが公式に書いている3つの注意点
ここからが判断の本体です。Microsoft は、最小要件を満たさないデバイスに Windows 11 を入れることについて、サポートページで注意点をまとめています。要点は 3 つです。
要件を満たさないデバイスに Windows 11 を入れると、そのパソコンはサポート対象外になり、セキュリティ更新を含む更新を受け取れる保証がなくなる。互換性がないことによる損傷は、メーカー保証の対象外になる。
出典:Microsoft サポート「Installing Windows 11 on devices that don't meet minimum system requirements」
| 注意点 | Microsoft の書き方 | 読み替えると |
|---|---|---|
| 更新 | セキュリティ更新を含め、受け取れる保証がない | 今日届いても、来月届くとは限らない |
| 保証 | 非互換による損傷はメーカー保証の対象外 | 壊れても自己責任 |
| 表示 | デスクトップに透かしが表示される | 「要件外」の印が画面に出る |
| 戻す期限 | Windows 10 へ戻せるのはアップグレード後 10 日間 | 11 日目からは戻せない |
いちばん重いのは 1 つ目の「更新の保証がない」です。動画の方法で 26H2 が入っても、それは「入った」というだけで、「この先ずっと更新が届く」とは誰も約束していません。セキュリティ更新が止まった OS でネットバンキングやメールを使うのは、鍵の壊れた玄関で暮らすようなものです。
ここ、見落としがちです:Windows 10 から上げた場合、元に戻す「回復」の機能が使えるのはアップグレードから 10 日間だけです。10 日を過ぎると戻すためのファイルが消えます。「しばらく使ってみてから決めよう」と思っているうちに期限が過ぎる、というのがよくある落とし穴です。
なお、Microsoft のこのページは、要件外のパソコンに入れてしまった場合は Windows 10 にすぐ戻すことをすすめています。公式の立場としては「やらないでほしい」です。動画の方法が使えることと、Microsoft がそれを認めていることは、別の話として分けて考えてください。

やる前にやること:バックアップと戻す準備
それでも試すと決めたなら、作業の前にやることがあります。動画の中でも同氏が繰り返していたとおり、アップグレードは 100% ではありません。失敗したときに困らない状態を先に作っておきます。
注意:古いパソコンでは、ストレージ(SSD・HDD)が寿命に近づいていることがあります。アップグレードは大量の読み書きを長時間続けるので、弱ったストレージには最後のひと押しになりえます。途中で止まると、Windows が起動しなくなり、データも取り出しにくくなるおそれがあるため、バックアップは必ず先に取ってください。
- 写真・書類・メールなど、消えて困るデータを外付けの HDD・SSD か USB メモリにコピーする。クラウドに同期しているものも、同期が終わっているか確かめる。
- 使っているアプリの一覧と、ライセンスキーやログイン情報が手元にあるかを確かめる。入れ直しが必要になったときに困らないようにする。
- BitLocker(デバイスの暗号化)が有効なら、回復キーを Microsoft アカウントの画面などで確かめ、控えておく。
- 作業した日付をメモしておく。Windows 10 から上げた場合、戻せる期限はその日から 10 日間。
- ノートパソコンは電源アダプターをつなぎ、時間に余裕のある日に始める。途中で電源を切らない。
バックアップというと身構える方が多いのですが、まずは「消えたら泣くもの」だけで十分です。全部を完璧に残そうとして結局何もしないより、写真のフォルダー 1 つでもコピーしてあるほうが、ずっとましです。

上げる・上げない・買い替える、どれを選ぶ?
最後に、選び方の目安です。いま Windows 10 を使っている方には、急がなくていい理由があります。Windows 10 の個人向けの延長セキュリティ更新(ESU)は、2027 年 10 月 12 日まで続くことになりました。
個人向けの ESU は 2027 年 10 月 12 日まで申し込める。申し込みの方法は、PC の設定を Microsoft アカウントに同期する(無償)、Microsoft Rewards のポイントを使う、一度だけ料金を払う、の 3 つ。
出典:Microsoft「Windows 10 Extended Security Updates」
つまり、Windows 10 のまま ESU を受けていれば、少なくとも 2027 年 10 月までは公式にセキュリティ更新が届きます。要件外の 26H2 は、入れた瞬間から更新の保証がありません。安全の面だけで比べると、いまは Windows 10+ESU のほうが上という、ちょっと皮肉な状態です。
| 選び方 | 向いている人 | 気をつけること |
|---|---|---|
| Windows 10+ESU | 今のパソコンを安全に使い続けたい人 | 2027 年 10 月 12 日までに次を決める |
| 要件外で 26H2 | 2 台目・試用機で新しい Windows を触りたい人 | 更新・保証なし。バックアップ必須 |
| 対応機種へ買い替え | 仕事や大事なデータに使う 1 台目 | データ移行の段取りを先に決める |
ここで少しだけ深掘りします。要件外のアップグレードが話題になる背景には、「まだ動くパソコンを捨てたくない」という、とても真っ当な気持ちがあります。CPU の世代だけで線を引く Microsoft の決め方に、納得できない人がいるのも分かります。ただ、そのもやもやを晴らす手段として、更新の保証がない OS を大事な 1 台目に入れるのは、筋が違う。……と熱くなりかけたのでブレーキをかけます。修理屋としての結論は、「1 台目は守る、試すなら 2 台目」です。
古いパソコンでも、ストレージを SSD に替えたり中身を整理し直したりすると、まだ十分に使えることがあります。Google のクチコミ(139 件・平均 4.9、2026 年 10 月時点)にも、久しぶりに出したパソコンの動きが悪く、OS を入れ替えてもらったら別の機械のように動くようになった、という声をいただいています。買い替えか延命かは、パソコンの状態を見てから決めても遅くありません。

よくある質問
要件を満たさないPCに26H2を入れると、すぐ使えなくなりますか?
すぐ使えなくなるとは限りません。ただし Microsoft は、要件を満たさないパソコンはセキュリティ更新を含む更新を受け取れる保証がないとしています。いつまで更新が届くかは分からないので、大事なデータを扱う 1 台目で長く使う前提にはしないほうが安心です。
失敗したら元のWindowsに戻せますか?
Windows 10 から上げた場合、アップグレード後 10 日以内なら元の Windows 10 に戻せると Microsoft は案内しています。10 日を過ぎると戻すためのファイルが消えるので、作業の前に必ずデータのバックアップを取ってください。
Windows 10のままでも、しばらくは大丈夫ですか?
個人向けの延長セキュリティ更新(ESU)に申し込めば、2027 年 10 月 12 日までセキュリティ更新が届きます。PC の設定を Microsoft アカウントに同期する方法なら無償で申し込めます。その間に、買い替えや延命の計画を立てるのも一つの選択肢です。
まとめ
Windows11 26H2 は、要件を満たさないパソコンでも、メディア作成ツールの ISO を使った上書きアップグレードで入れられたという報告があります。一方で Microsoft は、要件外のパソコンには更新の保証がなく、非互換による故障はメーカー保証の対象外で、Windows 10 に戻せるのは 10 日間だけだとしています。
書類落ち問題のもやもやは分かります。それでも、大事な 1 台目は Windows 10+ESU か対応機種への買い替えで守り、試すなら 2 台目で、バックアップを取ってから。この順番さえ守れば、話題の方法とも落ち着いて付き合えます。迷ったときは、パソコンの状態をご来店か出張で一緒に見ながら決めましょう。









