
「Windows 11 26H2って、もう来ました?」と店頭で聞かれるようになりました。Windows 11 26H2で何が変わるのか、いつ来るのか。私も気になって、ここ1週間ほど設定画面を無意味に開いては閉じていました。ところが調べてみると、わりと拍子抜けする事実にたどり着きます。あわせて、2026年9月の月例Windows Updateは修正された脆弱性が974件という過去最多を記録しているので、「今日やるべきこと」のほうも一緒に整理します。
「26H2」という文字列には、独特の圧があります。25H2の次だから大型で、大型だから何かが壊れて、壊れたら修理屋である私の電話が鳴る。この三段論法が頭の中で勝手に完成していて、私はここ1週間、来てもいない更新に身構えていました。
ところが、Microsoftが8月27日(米国時間)にRelease Previewチャネルへ配信した26H2の中身を確認すると、話は静かでした。26H2はOS全体を入れ替える更新ではなく、「有効化パッケージ」と呼ばれる小さな更新です。
では26H2は何のためにあるのか。PC Watchの報道によると、目玉になっているのは法人向けの話です。以前から入っていたものの会社のPCでは既定でオフだった機能——Windows設定のバックアップ、タスクバーからのアプリ固有のアクション、エクスプローラーの機能強化——が利用可能になる、というのが公式の説明でした。自宅のPCで使っている私たちにとっては、「大型更新」という名前を背負った月次更新、と言ってしまって差し支えない内容です。
つまり私は1週間、来ない津波に備えて土のうを積んでいたわけです。しかもこの話には続きがあって、「じゃあタスクバーが横に置けるとか、スタートメニューが小さくなるとか、あの話はどこへ行ったの?」という疑問が残ります。答えは次の見出しです。
私はこの現象に「先に来てた問題」と名前をつけました。大型更新を待っている間に、目玉機能のほうが月例更新に乗って先に到着している。玄関でずっと宅配便を待っていたら、荷物はとっくに裏口から入っていて、しかもリビングに置いてあった。そういう話です。
具体的には、8月27日にオプション配信されたプレビュー更新(KB5120998)に以下の変更が入り、それが9月9日(日本時間)の月例更新KB5124008に丸ごと同梱されました。9月の更新を入れた時点で、26H2を待たずにこれらは手元に来ています。
タスクバーを画面の上・左・右にも置けるようになりました。設定は[個人用設定]→[タスク バー]→[タスク バーの動作]→[タスク バーの位置]です。同じ場所で「タスク バーのサイズ」を「小」にすると、アイコンと高さが縮んで作業領域が広がります(ただし小さいタスクバーと検索ボックスは上下配置のみ対応)。スタートメニューは[個人用設定]→[スタート]→[スタート メニューのサイズ]で「小」「大」を選べるようになり、「おすすめ」は「最近使用」に改称されました。Windows Searchのホーム画面は簡素化され、検索結果に「アプリ」「設定」「ファイル」「Web」といった出所が表示されます。日本語環境では、Microsoft IME入力時のハングアップが軽減されています。

ここで少し踏み込みます。なぜMicrosoftは「大型更新」という看板を残したまま、中身を月例に移してしまったのか。年に1度まとめてOSを入れ替える方式は、企業のIT担当者にとっては検証が一度で済む一方、一般ユーザーにとっては「更新に3時間かかって夜が終わる」「古いプリンタが動かなくなる」というトラウマ製造装置でした。機能を毎月少しずつ、しかも段階展開で流せば、不具合が出たときの影響範囲を小さく抑えられます。修理屋としては、大型更新の翌週に持ち込みが増える「更新明けの月曜日」が薄まるのは、ありがたい変化です。
……と、Windowsの更新戦略について語り始めてしまいましたが、私はMicrosoftの人ではないですし、読者の方が知りたいのは「で、今日何をすればいいの」だと思うので戻ります。今日やることは、9月の月例更新を入れることです。理由は次のとおりです。
2026年9月の月例更新で修正された脆弱性は974件。8月の421件から倍増し、これまで最多だった7月の622件も大きく超えて、記録を更新しました。私は毎月この数字を見ていますが、974という数字を最初に見たときは、桁を1つ読み間違えたのかと思って3回見直しました。
ただし、974という数字そのものに怯える必要はありません。件数が増えている背景には、Microsoftが対象製品と報告の粒度を広げてきたことがあり、「悪用されている数」は比例して増えていません。本当に見るべきは件数ではなく、「すでに攻撃に使われているか」の1点です。そして今月は、その「使われている」が2件あります。
「KB」はMicrosoftの更新プログラムの通し番号で、Windows Updateの画面や更新履歴にこの番号で表示されます。自分のバージョンは[設定]→[システム]→[バージョン情報]の「Windowsの仕様」欄で確認できます。今月の対応表は以下のとおりです。
バージョン25H2:KB5124008(ビルド26200.9445)
バージョン24H2:KB5124008(ビルド26100.9445)
バージョン23H2:KB5122880(ビルド22631.7582)
Windows Updateを開いて「更新プログラムのチェック」を押せば通常どおり降ってきます。25H2/24H2のKB5124008には、8月プレビュー更新で報告されていた「英語以外の表示言語でマウスカーソルの設定が消える」「デスクトップの壁紙が読み込まれない」「Arm搭載PCでTeamsやOutlookが落ちる」といった不具合の修正も含まれています。
ただしWindows 10は2025年10月で一般向けサポートが終わっており、この更新を受け取れるのは「拡張セキュリティ更新プログラム(ESU)」に登録済みのPCだけです。個人向けESUは2027年10月まで無償で延長できますが、登録していないPCにはこの974件のうち1件も届きません。Windows Updateの画面に「最新の状態です」と出ていても、それは「配る更新がない」という意味である可能性があります。

「更新は入れてください」と言うだけなら誰でもできるので、修理屋として毎回言っていることを手順にしておきます。更新そのものより、その前後のほうが大事です。
更新が終わったら、[タスク バーの動作]の中に[タスク バーの位置]があるか、ついでに覗いてみてください。あれば「先に来てた」側の人です。なければ、あなたのPCにはまだ裏口から荷物が届いていないだけなので、私と一緒にもう少し玄関で待ちましょう。










