
SSD交換
クローン
パーティション
Windows 11
Dell
「Cドライブが100GBしかなくて、もうすぐ埋まりそうなんですが……Dドライブはガラ空きなので、そっちを使えないですか?」
よくあるご相談です。でも、実はこれ——Cドライブと Dドライブが「同じ棚の中」にあるとは限らないんですよね。今回のお客様のパソコンがまさにそのパターンでした。「最初はパーティションを広げるだけかな」と思っていたのが、最終的にはNVMe SSDの交換・クローン・パーティション再構成まで行う作業になりました。
記録として残しておきます。
最初のご相談内容
お客様のパソコンは Windows 11 搭載のデスクトップ(Dell製)。症状というより、容量の話でした。
📋 ご相談内容
Cドライブの空き容量が残りわずか(全体で約100GB)
Dドライブには900GBほどあって、データは30GBくらいしか入っていない
できればCドライブを広げたい
聞いた感じだと「Dドライブの空きをCに移せばいいかな」という雰囲気はあります。実際、そういうケースも多い。ただ、確認しないと何も始まらないのがこの手の作業です。
まず確認したこと——同じディスクかどうか
Dドライブの空きをCドライブへ移すには、ふたつのドライブが「同じ物理ディスクの中」にある必要があります。
例えるなら——本棚の仕切りをずらすのは簡単ですよね。でも、隣の棚の空きスペースを「こちらの棚に足す」ことはできません。Cドライブ・Dドライブの関係も、これと同じです。
🔍 実際に確認したこと
CドライブとDドライブが同じSSD内のパーティション分割なのか、それとも別々のディスクなのか
BitLockerが有効になっていないか
パーティションの並び順はどうなっているか
SSD・HDDの健康状態に問題がないか
で、確認してみると——Cドライブは小容量のNVMe SSD、Dドライブは別の物理ディスク(SATA HDD)でした。完全に別々の棚、です。
| ドライブ | 種類 | 容量 |
|---|---|---|
| Cドライブ | NVMe SSD(M.2) | 約128GB(全体) |
| Dドライブ | SATA HDD(別の物理ディスク) | 約1TB |
つまり、Dドライブにどれだけ空きがあっても、その空きをCドライブへ直接「移す」ことはできない構成でした。Cドライブ自体が入っているSSDが小さいわけなので、そこを何とかするしかありません。
Windowsのディスク管理で見ると、CもDも並んで表示されるので「同じディスクの中」と思いがちなんですよね。でも実際はメーカーによって、OSドライブとデータドライブを最初から別々の物理ディスクで構成している場合があります。確認してみないとわからない部分です。
Cドライブを広げるには——NVMe SSD交換が必要だった
CドライブのSSDが小さいのであれば、そのSSDを大容量のものに交換するしかありません。今回は1TB NVMe SSDへの交換を提案し、お客様にご了承いただきました。
ただ、交換するといっても、OSが入っているドライブを抜き差しするだけでは当然Windowsは動きません。今まで使っていた環境を丸ごと新しいSSDへ移す「クローン作業」が必要です。
🔧 今回の作業の流れ(全体像)
1
既存の小容量NVMe SSDの状態・構成を確認する
2
1TB NVMe SSDを用意して装着する
3
既存のWindows環境を新しいSSDへクローンする
4
GPT情報を修正し、パーティションを調整する
5
Cドライブを拡張して起動・動作確認を行う
Windowsを再インストールする方法もありますが、そうするとデスクトップの状態、インストール済みのソフト、各種設定、保存データをすべて入れ直すことになります。クローン移行であれば、今まで使っていた状態をなるべくそのまま引き継げるのでお客様の手間が減ります。
SSDのクローン作業
クローンというのは、ファイルをコピーするのとは違います。Windowsの起動情報やシステム領域も含めて、元のSSDの内容を新しいSSDへ「丸ごと複製」する作業です。普通のコピーではWindowsは起動しません。専用のクローンソフトや機材を使って、起動可能な状態を保ったまま移行します。
⚠️ クローン作業時の注意点
元のSSDは作業完了まで絶対に消去しない
クローン先(新SSD)とクローン元(旧SSD)を絶対に間違えない
BitLockerが有効な場合は事前に解除する
SSDの健康状態を確認してから作業する
作業中の電源断を避ける
今回は問題なくクローン自体は成功しました。ただ——ここで終わりじゃないんですよね、これが。
クローンは成功——でもCドライブはまだ100GBのまま
小さいSSDから1TB SSDへクローンすると、元のパーティション構成がそのままコピーされます。当然といえば当然ですが、これが「落とし穴」になります。
クローン直後の1TB SSDの中身はこんな状態でした。
| 領域 | 内容 | サイズ |
|---|---|---|
| EFIシステムパーティション | 起動用 | 約750MB |
| Microsoft Reserved | Windowsシステム予約 | 約128MB |
| OS(Cドライブ) | Windowsが入っている領域 | 約102GB |
| Image(Dellリカバリ) | Dell工場出荷状態復元用 | 約804MB |
| Image(Dellリカバリ) | 同上 | 約13.59GB |
| DELLSUPPORT | Dellサポートツール | 約1.27GB |
| 未割り当て領域 | まだ使われていない空き | 約834GB |
834GBも空いているのに、Cドライブはまだ102GBのまま。Windowsのディスク管理ではCドライブのすぐ右隣に未割り当て領域がないと拡張できないのですが、今回はCドライブとUnallocated(未割り当て)の間に、Dellのリカバリ系パーティションが3つ挟まっていたのです。
Windowsのディスク管理って、拡張したい領域のすぐ右が「未割り当て」じゃないと「ボリュームの拡張」がグレーアウトして押せないんですよね。間に別のパーティションがあると詰みます。
GParted Liveを使ってパーティションを調整する
この状態を解決するために、GParted Liveというツールを使いました。USBメモリに書き込んで起動する、Linux系のパーティション編集ツールです。Windows上からでは操作しにくい「パーティションの移動や削除・サイズ変更」がGUIで行えます。
非常に便利な反面、操作を誤るとデータ消失や起動不能につながるため、業務では細心の注意を払って使います。
GParted Live 起動時にエラーが出た
最初にUSBからGParted Liveを起動しようとしたところ、こんなエラーが出ました。
/live/vmlinuz not found
you need to load the kernel first
you need to load the kernel first
GParted LiveのUSBが正常に起動できない状態です。USBメモリの書き込み方式や相性で出ることがあります。USBを作り直して書き込み方式を変更したところ、無事に起動できました。
こういうのって、一発でうまくいかないことも普通にあります。「また作り直すか〜」という感じで、焦らずやり直します。
GPartedは起動できたが——NVMe SSDが見えない
GParted Liveが起動してディスク一覧を確認すると、最初に表示されたのは /dev/sda(SATA HDD=Dドライブ)だけでした。
⚠️ ここは特に注意
Dドライブにはお客様のデータが残っています。間違ってDドライブ側を操作してしまうとデータに影響します。表示されているのがどのディスクなのかを必ず確認してから操作します。
本来操作したいのはCドライブが入っている /dev/nvme0n1(NVMe SSD)です。右上のドライブ選択メニューで探しましたが、一覧に出てこない。
Dell BIOS の SATA Operation を確認する
Dell製PCでこの現象が起きる場合、BIOSのSATA Operation設定が「RAID On」になっていることが原因の場合があります。
Dellでは工場出荷時の設定が「RAID On」になっているケースがあり、この状態だとWindowsからはNVMe SSDが見えていても、GParted LiveのようなLinux系のツールからは認識されにくいことがあります。
BIOS設定を確認し、今回は一時的に AHCI に変更しました。
📌 BIOS設定変更時の注意
!
変更前のBIOS設定は必ず写真で記録しておく
!
設定変更後はWindowsではなくGParted Liveを起動する(そのままWindowsを起動すると起動できなくなる可能性がある)
!
パーティション作業後は必要に応じてBIOS設定を元に戻す
NVMe SSDが見えた——今度はGPT修正の警告
BIOS設定を変更してGParted Liveを再起動すると、今度はNVMe SSDが認識されました。ただ、選択した直後にこんな警告が出ました。
Not all of the space available to /dev/nvme0n1 appears to be used.
You can fix the GPT to use all of the space (an extra 1789569024 blocks) or continue with the current setting?
You can fix the GPT to use all of the space (an extra 1789569024 blocks) or continue with the current setting?
これは、クローン元(小さいSSD)のサイズ情報が、GPTの管理テーブルに残っているためです。新しい1TB SSDに乗り換えたにもかかわらず、「自分は128GBのディスクだ」と思い込んでいる状態です。Fix を選んでGPT情報を修正しました。
この修正をしないと、1TBの全領域をGPartedが正しく扱えません。クローン直後にGParted Liveを使う場合はこの警告が出るケースがあります。
Dellのリカバリ領域をどうするか——今回の判断
GParted でNVMe SSDのパーティション構成を確認すると、Cドライブ(/dev/nvme0n1p3)の右隣には3つのDellリカバリ系パーティションがありました。これがあるかぎり、Cドライブを右側へ広げることができません。
今回、これらのパーティションを削除してCドライブを拡張する判断をしました。理由は以下のとおりです。
📝 今回の判断根拠
お客様の主目的はCドライブの容量不足解消であった
旧SSDをまだ保管しているため、万が一の際に元の状態に戻せる
現在のWindows環境はクローン済みで保護されている
Dell工場出荷時復元機能は今後使う可能性が高くないと判断した
⚠️ これはあくまで今回の状況での判断です。メーカーリカバリ機能を残しておきたい場合、回復環境に依存している場合、Windows回復オプションを使いたい場合などは、削除せずに対応策を検討する必要があります。すべての環境で同じ対応が正解とは限りません。
実際に行ったGPartedの操作
操作手順の概要は以下のとおりです。
1
対象ディスクが /dev/nvme0n1 であることを再確認する(間違えると大事故)
2
Dellリカバリ系パーティション(p4・p5・p6)を削除する
3
OS領域(p3・Cドライブ)を右側の未割り当て領域いっぱいまで拡張する
4
「Apply All Operations」を押して反映する(この時点まで変更は確定しない)
GPartedでは操作を選んだだけではすぐに実行されず、最後にApplyを押して初めて反映される仕組みになっています。それまでは「やる予定の操作一覧(Pending Operations)」として積まれているだけです。これは操作ミスの防止として非常に助かる設計です。
⚠️ GParted操作中の鉄則
EFIパーティション(p1)には絶対に触らない
Microsoft Reserved Partition(p2)には触らない
OS領域(p3・Cドライブ)は削除しない
SATA HDD側(/dev/sda・Dドライブ)には一切触らない
Apply前に対象ディスクとPending Operationsを必ず確認する
作業後の確認——Cドライブが広がっていることを確認
パーティション調整が完了したら、BIOS設定を元に戻してWindowsを起動します。確認した項目は以下のとおりです。
✅ 作業後の確認リスト
Windows 11が正常に起動するか
Cドライブの容量が広がっているか(約900GB以上になっているか)
Dドライブ(SATA HDD)が正常に認識されているか
お客様のデータ・インストール済みソフトに問題がないか
Windows UpdateやBasic動作に異常がないか
必要に応じて
chkdsk C: /scan を実行してディスクエラーがないか確認
必要に応じて
reagentc /info でWindows回復環境の状態を確認
全項目問題なし。CドライブもDドライブも正常で、今まで使っていた環境がそのまま引き継がれていました。
最終的にCドライブが900GB超になって、お客様にも「こんなに増えるんですね」と喜んでいただけました。旧SSDも念のため手元に残しておいていただくようお伝えしました。
今回の作業内容と費用について
今回は「SSDを交換して終わり」という作業ではありませんでした。環境移行とパーティション再構成を含む、複数の工程にわたる作業です。
🧾 今回の作業内容
1TB NVMe SSD 本体
SSD 取り付け・交換作業
既存 Windows 環境のクローン移行
GPT 情報の修正
パーティション調整・Cドライブ拡張
起動確認・動作確認・Dドライブ認識確認
合計(税込)
¥58,300
まとめ
今回の作業を振り返ると、最初は「パーティションを広げるだけかな」という見立てが、確認してみたらまったく別の構成だった——というケースでした。
📌 今回のポイント整理
CドライブとDドライブが同じ物理ディスクとは限らない——今回はNVMe SSD(C)とSATA HDD(D)の別々の構成だった
別々のディスクの場合、Dドライブの空きをCドライブへ直接移すことはできない
解決策は「Cドライブ側のNVMe SSDを大容量に交換し、クローン移行する」こと
クローン後もCドライブは自動で大きくならない——パーティション調整が必要
Dellのリカバリ領域がCドライブ拡張の邪魔になっていた——今回は削除して対応
GParted Liveの起動や、Dell BIOSのSATA Operation設定でつまずく場面もあった
Cドライブの容量不足は「Dドライブが空いているから大丈夫」とは必ずしも言えません。構成を確認して初めて、対応方法が見えてきます。
パーティション操作は、やり方を間違えると起動不能やデータ消失につながる可能性があります。今回も旧SSDを保管した状態で作業を進めたように、バックアップ・記録・慎重な確認がなによりも大切です。
【ご注意】この記事は今回の作業事例をもとにした記録です。パーティション構成・メーカー独自の回復領域・BitLockerの状態・BIOS設定によって対応方法は異なります。パーティションの削除・移動は起動不能やデータ消失のリスクを伴います。同様の作業を検討される場合は、必ず事前バックアップと十分な確認のうえで行ってください。
参考リンク
🔗 この記事に関連する参考情報
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GParted Live CD/USB/PXE/HD — 公式ダウンロードページ
GParted Live のISOイメージをダウンロードできる公式ページです。
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ボリュームの拡張 — Microsoft Learn
Windowsのディスク管理でボリュームを拡張する方法の公式説明です。
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BitLocker の概要 — Microsoft Learn
SSD交換前にBitLockerの状態確認・解除が必要な場合の参考情報です。
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Windows 回復環境(Windows RE)— Microsoft Learn
reagentc コマンドやWindows回復環境に関する公式技術情報です。
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Cドライブの容量不足でお困りですか?
今回のようにCドライブとDドライブの構成は環境によってさまざまです。まずは状況をお聞かせください。
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