
「Codex 使い方」で調べ始めると、最初につまずくのが「で、ChatGPT と何が違うの?」です。どちらも OpenAI の AI で、同じアプリの中に並んでいます。違いを一言で言うと、ChatGPT は質問して答えをもらう道具、Codex はパソコンのフォルダーの中で実際に作業をさせる道具です。
答えをもらう道具と、手を動かす道具。似た顔をしていますが、まったく別物です。手を動かす道具には、手を動かす道具なりの気をつけ方があります。パソコン屋の目線で、そこまで含めて書いておきます。
先に結論:Codex は、指定したフォルダーの中でファイルを読み、書き換え、作業を進めてくれる AI です。聞きたいこと・考えたいことは ChatGPT、形にしたい作業は Codex、と分けて考えると迷いません。
ファイルを実際に動かす道具なので、最初は大事なフォルダーで試さず、バックアップを取ってから、練習用のフォルダーで始めてください。
Codex 使い方の基本は「ChatGPT との違い」から
ChatGPT の使い方は、分からないことを聞く、文章を直してもらう、ファイルを読ませて中身をまとめてもらう、のように「答えをもらう」ことが中心です。答えを受け取ったあと、実際に手を動かすのは自分です。
用語:Codex とは、OpenAI の AI に、パソコンのフォルダーやクラウド上の作業場で実際の作業をさせるための道具です。ファイルを開いて読み、書き換え、必要な処理を動かすところまで AI が進めます。もとはプログラムを書く人向けの道具ですが、書類や表の整理にも使えます。
今回このテーマを書くきっかけになったのが、YouTube チャンネル「AI様の下僕」の動画「【OpenAI】入門編の次に見る「Codex」の徹底ガイド。ChatGPTだけじゃもったいない/OpenAI」です。話し手は冒頭で、OpenAI とのコラボレーション企画だと話しています。作り手側と組んだ紹介なので、良いところが前に出ている前提で読むのがちょうどいいと思います。
動画の中で話し手は、ChatGPT は分からないことを聞いたりファイルを整理させたりする使い方、Codex はファイルの中で実際に活動させる使い方だと説明しています。さらに、工場にたとえて「製品のアイデアを出すのは ChatGPT、設計図に落として完成させるのは Codex」という分け方も紹介していました。
この整理を、家庭や小さな事業所の使い方に置き換えると次のようになります。
| 比べる点 | ChatGPT | Codex |
|---|---|---|
| 役割 | 質問に答える | 作業を進める |
| 触るもの | 会話と渡したファイル | 指定したフォルダーの中身 |
| 向く用事 | 調べる・考える・文章を直す | ファイル整理・表の加工・道具作り |
| 結果 | 答えの文章 | 書き換わったファイル |
表のいちばん下の行を見てください。ChatGPT の答えが間違っていても、読んで捨てれば済みます。Codex の結果が間違っていると、ファイルのほうが変わってしまっています。この差が、あとで書く注意の出発点です。
ChatGPT は質問や整理に、Codex はファイルの中で実際に作業させる用途に向く、と話し手は使い分けを説明しています。
出典:【OpenAI】入門編の次に見る「Codex」の徹底ガイド。ChatGPTだけじゃもったいない/OpenAI(AI様の下僕)

Codex の使い方の入口:動く場所は 3 つある
Codex は ChatGPT のデスクトップアプリから使えます。OpenAI の公式の案内では、アプリは macOS と Windows 向けに配られていて、Linux 向けの手順もあります。アプリを開いてサインインし、ChatGPT と Codex のどちらを使うかを選ぶ形です。ChatGPT のアプリが別物に置き換わるわけではありません。
ChatGPT のデスクトップアプリは macOS・Windows 向けに提供され、サインイン後に作業する場所(チャット・プロジェクト・フォルダー)を選び、ChatGPT か Codex を選んで始める、と案内されています。
出典:OpenAI「ChatGPT desktop app」
使い方でまず決めるのは、Codex に「どこで」作業させるかです。動画でも公式の案内でも、大きく 3 つの場所が出てきます。
- 自分のパソコンのフォルダー:いつも使っているフォルダーの中で、そのまま作業する
- 別の作業場(ワークツリー):元のフォルダーには手を付けず、作業用の写しを作ってそちらで作業する
- クラウド:OpenAI 側の作業場で動き、自分のパソコンの中には直接触れない
家庭や小さな事業所で最初に使うのは、たいてい 1 つ目の「自分のパソコンのフォルダー」です。公式の説明では、自分のパソコンで動かすとき、Codex は基本的に作業中のフォルダーの中だけを触れるように囲われ、ネットへの接続も最初は切ってあります。その外に出る操作をするときは、止まってこちらに確認を求める仕組みです。
メモ:2 つ目の「別の作業場」は、公式の説明では Git という版の管理の仕組みが入ったフォルダーでしか使えません。ふだんの書類フォルダーでは選べないので、同じ効果がほしいときは、フォルダーごとコピーした練習用の写しを Codex に渡すのが手軽です。
裏を返すと、囲いの「内側」では、Codex は確認なしでファイルを読んだり書き換えたりできる、ということです。どのフォルダーを渡すかが、そのまま「どこまで任せるか」の線引きになります。この線引きを、この記事では「おまかせ範囲」と呼ぶことにします。
頼む前に 10 分しゃべると結果が変わる?
動画でいちばん時間をかけて語られていたのが、頼み方の話です。話し手は、「なんかいい感じのものを作って」のような曖昧な指示だと微妙な結果になりやすく、やらせたいことを具体的にするだけで出来が大きく変わる、と自分の経験として話しています。
そのための工夫として紹介されていたのが 2 つです。1 つは、いきなり実行させずに計画だけを一緒に練るモード(話し手は「プランモード」と呼んでいます)。もう 1 つは音声入力で、作りたいものを 10 分ほどぽつぽつ話してまとめてもらう、というやり方でした。
これは Codex に限らず、人に仕事を頼むときと同じです。初めて使うときは、次の順で頼むと失敗が減ります。
- 練習用のフォルダーを作り、試したいファイルのコピーだけを入れる
- Codex にそのフォルダーを開かせ、まず「中身を見て、何ができそうか説明して」と頼む
- やってほしいことを、終わったときの状態で伝える(例:「請求書の PDF を月ごとのフォルダーに分けた状態にして」)
- 実行の前に「何をどう変えるつもりか」を一覧で出してもらい、読んでから進めてもらう
- 終わったら、変わったファイルを自分の目で開いて確かめる
ここ、見落としがちです:「いい感じに整理して」と頼むと、AI なりの「いい感じ」で整理されます。ファイル名の付け方やフォルダーの分け方を自分のルールで決めていないと、あとで自分が探せない並びになり、結局やり直しになります。
ここで少しだけ深追いすると、10 分しゃべる作業の正体は「AI のため」というより「自分の頭の整理」なんだと思います。何をしてほしいか言葉にできていない仕事は、人に頼んでも AI に頼んでもうまくいかない。……と書きながら、自分の店の仕事の頼み方を思い出して耳が痛くなってきたので、このへんでやめておきます。

メール整理の自動化は便利、でも任せる範囲を決めてから
動画で「まず試してほしい」と紹介されていたのが、メールやクラウドのサービスとつないだ使い方です。話し手は Gmail をつないでメールにラベルを付けて整理させ、Google ドライブもつないで請求書・領収書・見積書のメールを選んで保存させ、さらに Notion に仕事のタスクを作らせていました。個人事業主なら経理の手間がかなり減るのでは、という話です。
同じ作業を毎朝決まった時刻に動かす「スケジュール」の設定も紹介されていました。OpenAI の公式の案内にも、決まった時刻に作業を動かす機能があります。ただし、自分のパソコンのファイルを使う作業なら、その時刻にパソコンの電源が入っていて、アプリが動いている必要があると書かれています。
自分のパソコン上で動かす場合、Codex は作業中のフォルダーに限られた囲いの中で動き、その範囲の中ではファイルの読み書きを確認なしで進められる。囲いの外に出るときに確認を求める仕組みだと説明されています。
出典:OpenAI「Agent approvals & security」
便利なのは間違いありません。そのうえで、メールや大事な書類を AI に任せる前に、次のことだけは先に決めておいてください。
- どのフォルダー・どのメールアカウントまで触らせるか(おまかせ範囲)
- 「削除」は頼まない。移動やラベル付けまでにする
- 自動で動かすのは、手で何回か試して結果を確かめてから
- 仕事のメールに、お客様の個人情報がどれだけ入っているか
最後の項目は、店をやっている方ほど見落とします。つないだ先のサービスにどこまで読ませるかは、家族の写真より慎重に決めたほうがいい部分です。
AI のサービスに何を渡しているか、学習に使わせない設定はどこか、という話は別の記事にまとめています。メールをつなぐ前に一度目を通しておくと安心です。
そしてもう 1 つ。Codex はファイルを実際に動かす道具です。指示の受け取り方がずれていれば、ずれたまま書き換えます。パソコン屋としては、ここだけは強めに書いておきます。
注意:最初から仕事の書類や写真の本物のフォルダーを Codex に渡さないでください。囲いの内側では確認なしにファイルが書き換えられるため、指示の行き違いで中身が消えたり上書きされたりしても、その場では気づけないことがあります。試す前に外付けの記憶装置などへバックアップを取り、終わったら何が変わったかを必ず確かめてください。

よくある質問
Codex は無料で使えますか?
OpenAI の公式の料金ページでは、無料プランにも Codex の項目があり、デスクトップアプリで順次使えるようになると案内されています。使える量や使えるモデルはプランごとに違い、有料プランのほうが多く使えます。内容は変わりやすいので、始める前に公式の料金ページで最新の条件を確かめてください。
Windows のパソコンでも Codex は使えますか?
使えます。Codex が入っている ChatGPT のデスクトップアプリは、macOS と Windows 向けに提供されています。紹介動画の操作例は Mac が中心なので、ボタンの位置やキーの操作は Windows では少し違うと考えてください。
スマホから Codex に作業を頼めますか?
頼めますが、作業をするのはスマホではなく、つながっている自宅や職場のパソコンです。公式の案内では、ChatGPT のスマホアプリから、接続したパソコン上の Codex に作業を始めさせたり、確認したりできるとされています。その間、パソコンの電源は入れておく必要があります。
まとめ
Codex の使い方は、ChatGPT と分けて考えるところから始まります。聞く・考えるは ChatGPT、フォルダーの中で手を動かしてもらうのは Codex。その代わり、手を動かす道具には、どこまで触らせるかという「おまかせ範囲」を自分で決める責任が付いてきます。
最初の 1 回は、練習用のフォルダーと、取ったばかりのバックアップで。そこで手応えがあれば、少しずつ範囲を広げていけば十分です。パソコンの中のデータの扱いで迷ったら、店頭でも一緒に確かめます。










