
Windows11 の便利機能は、何かを買い足さなくても最初から入っています。画面の切り抜き、音声での文字入力、コピーの履歴、日付の自動記録。どれもキーを 2〜3 個押すだけなのに、知らないまま毎日マウスで遠回りしている人がとても多い機能です。
今回はパソコン博士TAIKIさんの動画で紹介されていた小技を材料に、初心者の方が「明日から本当に使う」ものだけを 7 つに絞りました。パソコン屋の私が言うのもなんですが、パソコンが遅いのではなく、操作が遠回りなだけということは本当によくあります。私はこれを勝手に「マウス遠征問題」と呼んでいます。
先に結論:まず覚えるなら「Windows キー+Shift+S(画面の切り抜き)」「Windows キー+H(音声入力)」「Windows キー+V(コピーの履歴)」の 3 つです。どれも Windows11 の標準機能で、追加のソフトは要りません。
このほか、Edge でのページ全体の保存、メモ帳の「.LOG」、日付の一発入力、スマホを Web カメラにする方法まで、手順つきで順に説明します。
Windows11 便利機能その1:Snipping Tool で画面を「見せて聞く」
最初に、この記事で扱う 7 つを一覧にしておきます。全部覚えなくて大丈夫です。気になったものから試してください。
| やりたいこと | 押すキー・場所 | 種類 |
|---|---|---|
| 画面の一部を切り抜く | Win+Shift+S | 標準 |
| 画面を動画で録る | Win+Shift+R | 標準 |
| Web ページを丸ごと保存 | Edge で Ctrl+Shift+S | 標準 |
| 声で文字を入力する | Win+H | 標準 |
| 前にコピーしたものを貼る | Win+V | 標準 |
| 開いた日時を自動で残す | メモ帳の先頭に .LOG | 標準 |
| スマホを Web カメラにする | 設定のモバイルデバイス | Android は標準 |
この中でいちばん出番が多いのが Snipping Tool(スニッピングツール)です。画面に出ているものを好きな範囲で切り抜いて、そのまま別のアプリに貼り付けられます。
画面の一部を切り抜いて貼り付ける手順
- Windows キーと Shift キーを押したまま、S キーを押す。画面が少し暗くなり、上に切り抜きのメニューが出る(設定によっては PrintScreen キーでも同じ画面が開く)。
- 切り抜きたい範囲を、マウスでドラッグして囲む。
- 囲み終わると、画像がクリップボードにコピーされ、同時に「ピクチャ」フォルダーの中の「スクリーンショット」フォルダーへ自動で保存される。
- 貼り付けたい場所(Excel、メール、ChatGPT の入力欄など)をクリックして、Ctrl キー+V キーで貼り付ける。
これが AI と相性がいい、というのが動画の主張でした。エラーメッセージが出たとき、長い英数字を一文字ずつ打ち写して ChatGPT に聞く必要はありません。切り抜いて貼って「このエラーは何?」と聞けば、打ち間違いのない正確な情報をそのまま渡せます。
動画で録る・写真の中の文字を取り出す
Snipping Tool は静止画だけではありません。Windows キー+Shift+R で録画用の画面が開き、範囲を選んで録画を始めると、カウントダウンのあとに画面の動きがそのまま動画になります。設定の手順のように「1 枚では説明しきれない」ものを人や AI に見せたいときに使えます。
用語:OCR とは、画像に写っている文字を読み取って、コピーできる文字のデータに変える技術のことです。Snipping Tool では、切り抜いたあとに出る「テキスト アクション」のボタンを押すと、画像の中の文字を選んでコピーできます。
紙の案内を撮った写真や、文字をコピーできない PDF の画面から、文字だけを抜き出せるわけです。読み取りは完璧ではないので、取り出した文字は貼り付けたあとに一度目で確かめてください。
Windows キー+Shift+S で静止画を、Windows キー+Shift+R で動画クリップをキャプチャできる。撮った画像はスクリーンショット フォルダーに自動で保存され、テキスト アクションで画像から文字を取り出せる。
出典:Microsoft サポート「Snipping Tool を使用してスクリーンショットをキャプチャする」
長い Web ページは Edge で丸ごと保存する
Snipping Tool で切り抜けるのは、画面に見えている範囲だけです。縦に長いページを丸ごと残したいときは、Windows に入っているブラウザー Edge の機能を使います。Edge で開いたページの右上「…」から「スクリーンショット」を選び(Ctrl キー+Shift キー+S でも開きます)、「ページ全体をキャプチャ」を押すと、下までスクロールした分も 1 枚の画像になります。保存は右上のボタンからです。

Windows11 便利機能その2:音声入力(Win+H)で打たずに書く
キーボードが苦手な方にこそ試してほしいのが音声入力です。文字を入れたい場所をクリックしてから Windows キー+H を押すと、マイクのボタンが出て聞き取りが始まります。話し終わったら、もう一度 Windows キー+H で止まります。
TAIKIさんは動画の中で、何年も使ってきた有料の音声入力アプリと Windows 標準の音声入力を並べて同じ文章を話し、どちらもかなり正確に文字にできることを見せていました。そのうえで、AI に指示を出すときは、型にはまった短い指示文より、友達に話すように長くしゃべって情報を多く渡すほうがよい結果になる、と話しています。
Windows 標準の音声入力はパソコンの処理能力ではなく、インターネットの先にある Microsoft の Azure で音声を認識している。だからクラウド側の技術が進めば、パソコンが同じでも性能が上がっていく、とTAIKI氏は説明している。
出典:【Windowsが神進化!】PC操作が10倍快適になるテクニックを紹介!【AIのお供に最高】(パソコン博士TAIKI)
この点は Microsoft のサポートページでも、音声入力には Azure Speech のオンライン音声認識が使われ、インターネット接続とマイクが必要だと案内されています。話した内容に合わせて句読点を自動で入れる設定もあります。動画の全体は、パソコン博士TAIKIさんの「【Windowsが神進化!】PC操作が10倍快適になるテクニックを紹介!【AIのお供に最高】」で見られます。
うまく聞き取ってくれないときは、声の大きさよりマイクと口の距離を疑ってください。ノートパソコンの内蔵マイクは口から遠く、大きな声を出さないと拾いにくいことがあります。動画では、口元に近づけられる小さなクリップ式のマイクを使えば、小声でもしっかり認識されると紹介していました。
メモ:標準の音声入力は、話した声をインターネット経由で Microsoft のサービスに送って文字にしています。ネットにつながっていないと使えません。お客さまの個人情報や社外秘の内容を話すときは、この仕組みを踏まえて使うかどうかを決めてください。
以前、ChatGPT と並べて音声入力を取り上げた記事も書いています。あわせて読むと、使いどころのイメージがつかみやすいと思います。
クリップボード履歴(Win+V)を「貼り付け候補リスト」にする
普通のコピーは、新しく何かをコピーした瞬間に、前にコピーしたものが消えます。これをため込めるようにするのがクリップボード履歴です。最初はオフになっているので、一度だけ有効にする必要があります。
- Windows キー+V を押す。初めてのときは「有効にする」のボタンが出るので押す。
- 文字や画像を、いつもどおり Ctrl キー+C で何回かコピーする。
- 貼り付けたい場所で Windows キー+V を押すと、コピーした履歴が一覧で出る。
- 一覧から貼りたいものをクリックすると、その場所に貼り付けられる。
動画で紹介されていた面白い使い方が「ピン留め」です。一覧の各項目にあるピンのマークを押しておくと、その項目は再起動しても消えません。住所、会社名と肩書き、よく使うあいさつ文などをピン留めしておけば、自分専用の貼り付け候補リストができあがります。
クリップボード履歴は最新の 25 項目までで、古いものから自動で消える。履歴は PC を再起動するたびに消えるが、ピン留めした項目は残る。
出典:Microsoft サポート「Windows のクリップボード」
ひとつだけ惜しいのは、ピン留めした項目が一覧のいちばん上に固定されないことです。新しくコピーするたびに、ピン留めしたリストは下へ押し下げられていきます。そんなときは一覧の「すべてクリア」を押すと、ピン留め以外が消えて、自分のリストだけの状態に戻ります。
ここ、見落としがちです:履歴を有効にすると、コピーしたパスワードや暗証番号も一覧に残ります。ほかの人も使うパソコンでは、パスワードをコピーで貼ったあとに Windows キー+V で開き、その項目を削除しておくと安心です。パスワードはピン留めしないでください。
ちなみに、さきほどの Snipping Tool で切り抜いた画像もこの履歴に入ります。「さっき撮ったあの画面、もう一回貼りたい」がキー 1 つで済むので、2 つを組み合わせると手間がさらに減ります。
メモ帳の「.LOG」と「きょう」+Tab で記録を速くする
動画で「誰も知らないメモ帳の裏機能」として紹介されていたのが「.LOG」です。メモ帳のいちばん最初の行に、半角の大文字で「.LOG」と入力して保存し、閉じます。次にそのファイルを開くと、開いた日時が自動で最後の行に入ります。
動画の使い方は、仕事ごとのフォルダーにこのメモ帳を 1 つ置いておく、というものでした。作業をするたびにメモを開けば日時が入るので、その下に「Excel 完成、あとは PowerPoint を入れたら提出」と一行書く。いつ・何をして・何が残っているかが、フォルダーを開くだけで分かるようになります。複数の人で同じフォルダーを使う職場なら、全員の作業の記録にもなります。
メモ:「.LOG」は先頭の行に、ピリオドを含めて半角・大文字で書きます。日時が入るのは、ファイルを保存して閉じ、もう一度開いたときです。保存せずに閉じた場合や、先頭に空白や別の文字があると働きません。
日付といえば、もう 1 つ地味に効く小技があります。Windows 標準の日本語入力で「きょう」と打つと、変換候補の下のほうに今日の日付が出ます。ここで変換キー(スペース)を押すと候補が切り替わって日付が消えてしまうので、Tab キーで候補を下へ降りていくのがコツだと動画では説明していました。
- 「きょう」と入力して Tab キー:今日の日付(西暦・和暦などの形から選ぶ)
- 「いま」と入力して Tab キー:今の時刻(いくつかの形から選ぶ)
- 変換キー(スペース)は押さない。押すと日付の候補が一覧から外れる
- 候補を選んだら Enter キーで確定する
このあたりで、メモ帳ひとつにここまで語るのもどうかと我に返りました。……が、毎日書く日報や作業記録は、1 回数秒の差が 1 年でけっこうな時間になります。日付を手で打っている方は、今日から「きょう」+Tab に切り替えてみてください。

スマホを Web カメラにする(Android は標準、iPhone はアプリ)
オンライン会議がたまにしか無いのに、そのために Web カメラを買うのはもったいない。そんなときは手元のスマホをカメラ代わりにできます。スマホのカメラとマイクは、安い Web カメラより性能が高いことも多いです。ただし、Android と iPhone でやり方が違います。
Android の場合:Windows の設定から登録する
- Windows の「設定」→「Bluetooth とデバイス」→「モバイル デバイス」を開く。
- 「デバイスの追加」を押し、出てきた画面で Android を選ぶと QR コードが表示される。
- スマホで QR コードを読み取り、案内される「Windows にリンク」アプリをインストールする。
- アプリに、パソコンと同じ Microsoft アカウントでログインする。
- パソコンでカメラを使うアプリを開くとスマホに通知が来るので、それをタップするとスマホのカメラが映る。
一度登録すれば、次からは自動でつながります。動画では、この登録をしておくとパソコンからスマホの回線で電話をかけたり、SMS の送受信やスマホの通知の確認がパソコンでできたりする点も紹介されていました。
iPhone の場合:無料アプリ Camo を使う
iPhone は Windows の標準機能ではカメラにできません。動画では、iPhone に「Camo Camera」、パソコンに「Camo Studio」という無料のアプリを入れ、パソコン側に出る QR コードを iPhone で読み取ってつなぐ方法が紹介されていました。
ここ、見落としがちです:Camo は無料版だと画質が抑えられ、高い画質で使うには有料のライセンスが要ると動画では説明されています。会議に使う程度なら無料版で足りることが多いので、いきなり有料版を買わず、まず無料版で映りを確かめてください。
Windows11 の機能の話は、以前にも動画を見て感動したものをまとめたことがあります。今回とは別の小技も載っています。

よくある質問
Windows11 のクリップボード履歴は再起動すると消えますか?
ピン留めしていない項目は、再起動すると消えます。ピン留めした項目は再起動しても残ります。履歴は最新の 25 項目までで、それより古いものは自動で消えていきます。
Windows11 の音声入力はインターネットにつながっていないと使えませんか?
はい、インターネット接続が必要です。Windows キー+H の音声入力は、Microsoft のオンライン音声認識を使って声を文字にしています。マイクが使えることと、文字を入れたい場所にカーソルがあることも必要です。
Snipping Tool で撮ったスクリーンショットはどこに保存されますか?
ピクチャ フォルダーの中の「スクリーンショット」フォルダーに自動で保存されます。同時にクリップボードにもコピーされるので、すぐに Ctrl キー+V で貼り付けることもできます。保存先は Snipping Tool の設定で変えられます。
まとめ
Windows11 の便利機能は、最初から入っているのに気づかれていないものばかりです。画面の切り抜きは Windows キー+Shift+S、音声入力は Windows キー+H、コピーの履歴は Windows キー+V。この 3 つだけでも、エラーを AI に聞く、長い文章を入れる、同じ文を何度も貼る、といった毎日の作業がぐっと短くなります。
「マウス遠征問題」は、パソコンを買い替えなくても、キーを 1 つ覚えるたびに少しずつ解決します。1 週間に 1 つずつ、試してみてください。小技を試しても動きそのものが重い、起動が遅いという場合は、ご来店か出張で見せていただければ一緒に原因を探します。










