
Windows 11 のメモリ使用量を、Microsoft が本気で減らすと言い出しました。2026 年 7 月 31 日の公式ブログで、Windows の責任者パヴァン・ダヴルリ氏が「8GB 以上の PC でのメモリ最適化」を今年の重点課題に挙げ、10 月に入ってからは「メモリのコストが上がっている」ことが理由の一つだと語ったと報じられています。
メモリの値段が上がり続けるなか、8GB のパソコンを使っている人にとっては朗報に聞こえます。ただ、ここで「じゃあ Windows が痩せるまで待とう」と決めてしまうのは少し早い。私はこれを「ダイエット待ち問題」と呼んでいます。痩せると宣言した人を待っているあいだに、こちらの仕事が止まってしまう問題です。
先に結論:Microsoft は Windows 11 のメモリ使用量を減らす方針を公式に示しましたが、何 MB 減るのかは示しておらず、時期も「この秋から順次」までしか分かっていません。今のパソコンで困っていなければ様子見で構いませんが、すでに重くて困っているなら、待たずに今の使用率を見て増設か買い替えを決めるほうが確実です。
判断の材料は、タスクマネージャーのメモリ使用率と、そのパソコンがメモリを増やせる機種かどうかの 2 つです。
Windows 11 のメモリ使用量を減らす、と Microsoft が言った中身
まず、どこで何が言われたのかを分けておきます。元になっているのは Windows Insider Blog に載った「Windows quality: an update on the commitment we made in March」という記事で、3 月に約束した品質改善の途中経過をまとめたものです。その中で、これから力を入れる 4 つの分野の一つとして「8GB 以上のメモリ最適化」が挙げられました。
Windows のメモリ使用量(フットプリント)を減らし、日常的に使われている PC で速く快適な体験を届けることを「8GB 以上のメモリ最適化」として重点分野に加えた。これまでの改善は Windows Insider で先に提供しており、この秋から Windows 11 の PC へ広く展開を始める。
出典:Windows Insider Blog「Windows quality: an update on the commitment we made in March」
公式ブログに書かれた 3 つの手段
公式ブログが挙げている具体的な手段は 3 つです。1 つ目は、より効率のよいメモリの割り当ての仕組み(アロケーター)を使い、アプリやシステムの部品の無駄を減らすこと。2 つ目は、WinUI 3 という部品を調整して、それで作られたアプリが最初からメモリを食わないようにすること。3 つ目は、Windows の中で使われている Chromium と WebView2 の部品を効率化することです。
用語:WebView2 とは、Windows のアプリの中でウェブページを表示するための部品のことです。Microsoft Edge と同じ Chromium という土台で動いており、ウィジェットや一部の標準アプリなど、見た目は普通のアプリでも中身はこの部品でできているものがあります。便利な反面、アプリごとにブラウザを 1 つ抱えているような状態になり、メモリを使いやすいのが弱点です。
「メモリが高いから」という本音
10 月 4 日には Windows Latest が、ダヴルリ氏が「パソコン全般でメモリのコストが上がっている」ことを背景に挙げたと報じました。同じ記事では、AI などの機能は使うときだけメモリを使う形にする考えも紹介されています。
ダヴルリ氏は、メモリのコストの上昇を受けてメモリをよりうまく使う取り組みを進めていると説明し、機能のメモリは「その機能を使うときにだけ払う」形にしたいと話している。
出典:Windows Latest「”Rising cost of memory,” Microsoft explains why Windows 11 will use less RAM」
メーカーがメモリを高く仕入れることになれば、安いパソコンは 8GB のまま売られる。だったら OS のほうを 8GB で快適に動くようにしておく。筋の通った話です。OS が部品の値段に合わせて体型を変えるというのは、長年パソコンを見てきた身としてもあまり記憶にない光景です。

Windows 11 のメモリ使用量はいつ、どれだけ減るのか?
ここがいちばん知りたいところだと思いますが、答えは「まだ分からない」です。公式ブログにも報道にも、削減量の数字は出てきません。分かっていることと分かっていないことを表にします。
| 項目 | 分かっていること |
|---|---|
| 方針 | 8GB 以上の PC でのメモリ最適化を重点分野にした |
| 手段 | メモリ割り当ての効率化、WinUI 3 の調整、Chromium・WebView2 の効率化 |
| 時期 | Insider で先行提供中。この秋から広く展開を始める |
| 削減量 | 示されていない |
| 届け方 | 1 回の更新か、何回かに分かれるかは示されていない |
Insider(インサイダー)は、正式に配る前の Windows を試す先行テスト版のことです。つまり、改善の多くはまだ一般のパソコンには届いていません。届くときも、たぶん「ある月の更新で突然 2GB 空きました」ではなく、毎月の更新に少しずつ混ざって入ってくる形になると私は見ています。これは推測なので、外れたらごめんなさい。
ここ、見落としがちです:メモリ削減の改善は Windows Update で届きます。更新を止めたままのパソコンや、更新が途中で止まっているパソコンには、改善が出ても入りません。「軽くなるのを待つ」なら、まず更新が正常に入っているかを確かめておく必要があります。
もう一つ、OS が軽くなっても、メモリを食う主役はたいていブラウザとアプリです。Chrome や Edge でタブを 20 枚開けば、OS が多少痩せた分はすぐに埋まります。Windows のダイエットは「土台が軽くなる」話であって、上に載せる荷物まで軽くしてくれるわけではありません。
手持ちのパソコンは 8GB で足りているか、タスクマネージャーで確かめる
待つか動くかを決める前に、今のパソコンのメモリが本当に足りていないのかを見ておきましょう。Windows 11 に最初から入っているタスクマネージャーで、5 分あれば確かめられます。ポイントは、何もしていないときではなく、いつもの使い方をしている最中に見ることです。
- ふだん使うブラウザ・メール・Office などを、いつもどおり開いた状態にする。
- キーボードの Ctrl と Shift と Esc を同時に押して、タスクマネージャーを開く。
- 左側の「パフォーマンス」を選び、「メモリ」を押す。
- 右上の合計容量(8.0 GB など)と、グラフの下の「使用中」「利用可能」の数字を見る。
- 同じ画面の「使用されているスロット」を見て、メモリを差す場所に空きがあるかを確かめる(「1/2」なら 1 つ空いている)。
目安として、いつもの使い方で使用率が 8 割を超えたまま下がらない、動作が引っかかるときに限ってディスクの使用率も跳ね上がっている、という状態なら、メモリが足りていない可能性が高いです。逆に、使用率が 6 割前後で落ち着いているのに遅いなら、原因はメモリ以外(ストレージやバックグラウンドの処理など)を疑ったほうが早いです。
メモ:「使用されているスロット」は、機種によっては表示されなかったり、メモリが基板に直付けでも数字が出たりします。ここだけで増設できると判断せず、最後はメーカーの仕様表で型番ごとの「最大メモリ容量」と「スロット数」を確かめてください。

増設するか、待つか、買い替えるか。判断の目安
タスクマネージャーの結果と、パソコンの状態を組み合わせると、だいたい次の 3 つに分かれます。メモリの値段が上がっている今は、とくに「増設できる機種かどうか」で判断が大きく変わります。
| 今の状態 | 向いている選択 |
|---|---|
| 使用率に余裕があり、困っていない | 待つ(更新はきちんと入れる) |
| 使用率が常に高く、スロットに空きがある | 増設を考える |
| 使用率が常に高く、メモリが直付け | 買い替えを考える |
| メモリ以外も古い(HDD、古い CPU) | 買い替えを考える |
表のとおり、「待つ」が向いているのは今困っていない人だけです。困っている人が待っても、届く改善の大きさが分からない以上、困っている期間が延びるだけかもしれません。ダイエット待ち問題の正体は、待つこと自体ではなく「待つ理由がない人まで待ってしまう」ことです。
増設できるパソコン、できないパソコン
デスクトップパソコンの多くと、底面のふたを開けるとメモリのスロットがあるノートパソコンは、後からメモリを足せます。一方、薄型のノートパソコンの多くは、メモリが基板に直接はんだ付けされていて、買ったときの容量から増やせません。買う前に仕様表で「オンボード」「増設不可」と書かれていないかを見ておくと、あとで泣かずに済みます。
注意:ノートパソコンのふたを開ける前に、電源を切り、AC アダプターを抜いてください。内蔵バッテリーの機種は、通電したまま作業すると基板を傷めるおそれがあります。また、メモリには規格(DDR4・DDR5、ノート用・デスクトップ用)があり、合わないメモリは差さっても動かず、無理に押し込むとスロットを壊します。
なお、Windows 11 の最低要件は 4GB ですが、それは「起動して動く」線であって、快適に使える線ではありません。これから買い替えるなら、Microsoft の改善に期待しつつも、長く使うつもりなら 16GB を選んでおくほうが後悔は少ないと思います。メモリが高い時期ほど、後から足せない機種で容量をケチると高くつきます。

メモリより先に済ませたいのは「バックアップ」と「SSD」
ここまでメモリの話をしてきましたが、最後に少し話をずらします。パソコンの「遅い」「重い」を前にしたとき、メモリより優先度が高いことが 2 つあります。一つはデータのバックアップ、もう一つはストレージが HDD のままなら SSD にすることです。
メモリが足りないパソコンは遅いだけですが、HDD が弱っているパソコンは、ある日データごと開かなくなることがあります。遅さの原因が HDD なら、メモリを足しても体感はあまり変わりません。増設や買い替えの話を始める前に、消えたら困るものを別の場所に逃がしておく。順番としてはこれが先です。
判断の前に、これだけ確かめておいてください。
- 写真・書類・メールなど、消えたら困るデータを外付けドライブやクラウドにコピーしてあるか
- タスクマネージャーの「パフォーマンス」で、ディスクの種類が HDD か SSD か
- Windows Update が止まらずに最新まで入っているか
- メーカーの仕様表で、メモリの最大容量とスロット数
- パソコンを買ってから何年たっているか
Microsoft の今回の方針は、メモリが高い時代に 8GB のパソコンを使う人の味方になる話です。……と、ここで OS の設計思想まで語り出すと止まらなくなるのでブレーキをかけます。私たちがやることは、自分のパソコンの状態を見て、待つ理由があるかどうかを決めるだけです。
よくある質問
Windows 11 が軽くなるなら、メモリ増設や買い替えは待ったほうがいいですか?
今のパソコンで困っていないなら急ぐ必要はありませんが、すでに動作が重くて困っているなら待つ理由は弱いです。Microsoft は削減量を示しておらず、公式ブログで示された時期も「この秋から順次」にとどまります。効果の大きさが分からない改善を待つより、今の使い方とメモリ使用率を見て判断するほうが確実です。
8GB のパソコンはもう使えませんか?
メール、ウェブ閲覧、文書作成が中心なら、8GB でも使い続けられることは多いです。ブラウザのタブを大量に開く、複数のアプリを同時に動かす、ゲームや画像・動画編集をする場合は足りなくなりやすくなります。タスクマネージャーでメモリの使用率が普段から高いままなら、増設か買い替えを考える目安になります。
自分のパソコンのメモリは増やせますか?
機種によります。デスクトップパソコンや、メモリスロットのあるノートパソコンなら増設できますが、薄型ノートの多くはメモリが基板に直付けで、後から増やせません。メーカーの仕様表で型番ごとの最大メモリ容量とスロット数を確かめてから部品を買うのが安全です。
まとめ
Microsoft は Windows 11 のメモリ使用量を減らす方針を公式ブログで示し、メモリ割り当ての効率化、WinUI 3 の調整、Chromium・WebView2 の効率化を手段に挙げました。改善はこの秋から順次広がる予定ですが、何 MB 減るのかはまだ分かっていません。
だからこそ、ダイエット待ち問題に巻き込まれないことが大事です。困っていないなら更新を入れて待てばいい。困っているなら、タスクマネージャーで使用率とスロットを見て、増設か買い替えかを今決める。その前にバックアップだけは済ませておく。自分のパソコンがどれに当たるか分からないときは、ご来店か出張のときに気軽に相談してください。










