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エプソン ReadyPrintは得か|月1,100円の損得ライン

エプソン ReadyPrintは得か|月1,100円の損得ライン

エプソン ReadyPrint(レディプリント)が、2026 年 10 月 1 日から始まりました。プリンター本体を借りて、インクの配送と故障時の交換までを月額料金にまとめたサブスクで、料金は月 1,100 円〜3,300 円です。同じ日にエプソン販売は社名を「エプソンジャパン」に変え、10 月 29 日には EP-889A などの新しいプリンターも出ます。

「インクがすぐ無くなる」「年賀状の時期にしか使わないのにインク代が高い」。プリンターのお金の悩みは、だいたいこの 2 つに集まります。月 1,100 円と聞くと飛びつきたくなりますが、この料金表、よく見ると刷らない人ほど 1 枚が高くつく作りになっています。

先に結論:ReadyPrint が得になりやすいのは、毎月 100 枚以上を安定して刷る家庭や小さな事務所です。月に数十枚以下なら、上限まで使っても 1 枚 19〜22 円になり、手持ちのプリンターでインクを買うほうが安く済むことが多いはずです。

判断の材料は「直近 1 年でインクにいくら使ったか」と「月に何枚刷るか」の 2 つ。最低利用期間は 1 年で、途中でやめると残りの月数ぶんの解約金がかかります。

エプソン ReadyPrintとは? 中身は「エコタンク機の貸し出し+インク込み」

エプソン ReadyPrintとは? 中身は「エコタンク機の貸し出し+インク込み」

名前だけ聞くと新しい仕組みのようですが、やっていることは素直です。エプソンがプリンターを貸し、ネット経由で減り具合を見てインクを送り、普通に使っていて壊れたら交換する。その代わりに毎月決まった額を払う。プリンターを「買う物」から「借りる物」に変えたサービスです。

用語:ReadyPrint とは、エプソンジャパンが 2026 年 10 月 1 日に始めた、プリンター本体・インク・故障時の交換を月額定額で使えるサブスクリプションサービスです。プリンターは貸与品で、利用中はプリンターを常にインターネットにつないでおく必要があります。

借りられるのは 2 機種だけです。A4 のエコタンク搭載モデル「EW-M638T」をベースにした専用型番の「TEWM638T」と、A3 対応でファクス付きの「EW-M5610FT」をベースにした「TEWM5610FT」。この 2 機種に、月の印刷上限枚数の違うプランが合わせて 7 つあります。

機種月の上限月額(税込)
A4 カラー複合機(TEWM638T)50 枚1,100 円
A4 カラー複合機(TEWM638T)100 枚1,900 円
A4 カラー複合機(TEWM638T)300 枚2,300 円
A4 カラー複合機(TEWM638T)500 枚2,700 円
A3 カラー複合機(TEWM5610FT)100 枚2,500 円
A3 カラー複合機(TEWM5610FT)300 枚2,900 円
A3 カラー複合機(TEWM5610FT)500 枚3,300 円
ReadyPrint の全 7 プラン(2026 年 10 月 2 日時点・エプソン公式ページより)。初期費用は無料

プリンター本体に加え、インクのお届けや故障時の無償交換を含む月額サブスクリプションサービスとして 10 月 1 日に開始。2024 年からのテストマーケティングでは、募集 400 名に 989 名の応募があり、寄せられた要望を受けて未使用枚数の翌月繰り越しとプラン変更に対応した。最低契約期間は 1 年、支払いはクレジットカードのみ。

出典:エプソンジャパン ニュースリリース「プリンターの月額サブスクリプションサービス『ReadyPrint』を開始」

ちなみに社名の件は、2026 年 10 月 1 日付で「エプソン販売」が「エプソンジャパン」に変わったものです。サポートの窓口やインクの型番が急に変わる話ではないので、家庭のプリンターについては気にしなくて大丈夫です。

店長
店長
たまにしか使わないインクジェットほど、久しぶりに刷ったらかすれる、というのはもう宿命です。インク代より、詰まりで使えなくなるほうが痛い家は多いと思います。

エプソン ReadyPrintは誰が得? 1 枚あたりで比べる損得ライン

エプソン ReadyPrintは誰が得? 1 枚あたりで比べる損得ライン

月額だけを見ても損得は分かりません。上限まで使い切ったとして、1 枚あたりいくらになるかを割り算してみます。どれも A4 片面 1 枚の換算で、用紙代は入っていません。

プラン使い切った時超えた分
A4・50 枚1 枚 22 円1 枚 22 円
A4・100 枚1 枚 19 円1 枚 11 円
A4・300 枚1 枚 約 7.7 円1 枚 11 円
A4・500 枚1 枚 5.4 円1 枚 11 円
A3・100 枚1 枚 25 円1 枚 11 円
A3・300 枚1 枚 約 9.7 円1 枚 11 円
A3・500 枚1 枚 6.6 円1 枚 11 円
月額 ÷ 上限枚数で計算。超過料金は公式ページの記載(税込)

表を眺めると、いちばん安い 50 枚プランが、1 枚あたりではいちばん高い部類に入ります。しかも 50 枚プランだけは超過料金も 1 枚 22 円で、使い切っても超えても単価が同じ。つまり50 枚プランは「印刷枚数」より「プリンターを置いておく権利」に払うお金に近い。月に 20 枚しか刷らなければ、実質 1 枚 55 円です。

ここ、見落としがちです:枚数は「面」で数えます。A4 の両面印刷は 2 枚、A3 の片面は 2 枚、A3 の両面は 4 枚の扱いです。コピーやファクスの出力も同じように数えるので、両面で節約しているつもりの家ほど、上限に早く届きます。

月に何枚刷る人なら、インクを買うより得になる?

答えは家ごとに違います。比べる相手が「今のプリンター+インク代」だからです。自分の数字を出すために、次の 3 つを確かめてみてください。

  • 直近 1 年でインクにいくら払ったか(通販の購入履歴やレシートで分かる)を 12 で割り、月のインク代を出す
  • 月に何枚刷っているかを数える。分からなければ、1 か月だけ刷った枚数をメモしてみる
  • 今のプリンターをあと何年使えそうか。買い替えるなら本体代をその年数の月数で割り、月のインク代に足す
  • 出た金額と、自分の枚数に合うプランの月額を並べる。そのうえで、プランの月額が 1 年分(最低利用期間)かかることも覚えておく

得になりやすいのは、子どもの学習プリントを毎日のように刷る家庭、見積書や資料を日常的に出す小さな事務所、コンビニ印刷にちょくちょく通っている人です。反対に、年賀状と年に数回の書類くらいなら、50 枚プランでも年 13,200 円。今あるプリンターで足りているなら、そのままのほうが安く済む見込みが高いです。

はがきデザインキット

契約前に確かめたい条件(解約金・ネット接続・用紙)

契約前に確かめたい条件(解約金・ネット接続・用紙)

料金表より大事なのが、利用規約と注意事項のほうです。公式ページと約款を読んで、家庭で引っかかりそうな所を拾いました。

申し込む前に知っておきたいこと

  • 最低利用期間は契約開始日から 1 年。期間内の解約は「月額 ×(12 − 支払済みの月数)」の解約金と事務手数料がかかる
  • キャンセルできるのは申し込み当日だけ。翌日以降は解約の扱い
  • プリンターは常にインターネットにつないでおく必要がある(USB だけでは使えない)
  • 用紙は含まれない。インクとメンテナンスボックスは届く
  • 支払いはクレジットカードのみ。問い合わせはメールのフォームのみで、電話サポートと設置サポートは無い
  • プラン変更は同じ機種の中だけ。変更した月は余った枚数を繰り越せない

解約金の式を具体的にすると、50 枚プランを 3 か月使ってやめた場合、1,100 円 × 9 か月で 9,900 円。これに事務手数料(返送の送料を含む)が足されます。事務手数料の金額は、申し込みのページで確かめてください。

注意:契約が終わったプリンターは、エプソンが遠隔で動作を止められると約款に書かれています。解約日から 2 週間以内に本体と未使用のインクを返さないと、実費相当額を請求されることもあります。返す前に、スキャンの保存先やファクスの電話帳など、自分で登録した設定は消しておくほうが安心です。

いい点もあります。余った枚数は翌月に繰り越せますし、5 年以上続けると、条件つきで契約終了時にプリンターを譲ってもらえる場合があります。インクの自動配送も、刷る量が多い家ほどありがたいはずです。ただし短期間に大量に刷った時や、年末年始などの長い休みの時期は、インクが切れる前に届かないことがあると公式に書かれています。

店長
店長
私がいちばん気にするのは、料金より「ネットにつながっていないと使えない」ところです。ルーターを替えた日にプリンターも止まる、は本当によくある流れなので、Wi-Fi の設定をつなぎ直せるかは先に考えておいてください。

10 月 29 日発売の新プリンター EP-889A・EW-M531F など

サブスクと同じ発表で、買う人向けの新機種も 6 機種出ています。発売日はどれも 2026 年 10 月 29 日で、価格はすべてオープンプライスです。

型番向け発表された特長
EP-889AW/AB/AP家庭Wi-Fi 5GHz に新対応。本体色は 3 色。ディスクトレイはオプションに
EP-819A家庭カラリオの新モデル
EP-719A家庭カラリオの新モデル
EW-559A家庭文書印刷向けに新しく追加。2.4 型液晶、前面給紙
PX-M731F事務所A4 複合機。ファクス・ADF 付き、4.3 型タッチパネル
EW-M531F事務所A4 複合機。ファクス・ADF 付き、省スペース
10 月 29 日発売の新機種(エプソンジャパンの発表より)

メモ:EP-889A や EW-M531F などの新機種は、ReadyPrint の対象としては案内されていません。発表時点で借りられるのは TEWM638T と TEWM5610FT の 2 機種だけです。新機種を月額で使う、という選び方は今のところできません。

小さな事務所でファクスを使い続けるなら、PX-M731F と EW-M531F が候補になります。家庭向けで 5GHz の Wi-Fi につなげたいなら EP-889A。店頭や通販での実売価格は発売日の前後に出てくるはずなので、ReadyPrint の月額と並べて比べるのはそれからで遅くありません。

家庭向けカラリオの新商品 4 機種と、ビジネス向け A4 インクジェット複合機 2 機種を 2026 年 10 月 29 日に発売。EP-889AW/AB/AP は Wi-Fi 5GHz に新対応し、EW-559A は学習資料や書類の印刷、在宅ワーク向けに新たに追加した。価格はいずれもオープンプライス。

出典:エプソンジャパン ニュースリリース「新たなプリント体験『MyPrintStory Premium』を開始」

今のプリンターを使い続けるか、買い替えるか、借りるか

ここまで読んで「で、うちはどうすれば」となった方へ。動いているプリンターを、サブスクが出たからという理由で手放す必要はありません。替えどきの合図は、だいたい次のどれかです。

  • メーカーのサイトに、今の Windows や Mac 向けのドライバーが無い
  • ヘッドクリーニングを何度しても、かすれやすじが消えない
  • メーカーの修理受付が終わっている
  • インクを 1 回そろえる金額が、本体の値段と変わらなくなってきた

どれにも当てはまらず、インク代も気にならないなら、今のままで十分です。合図が出ていて、しかも毎月それなりの枚数を刷るなら、買い替えと ReadyPrint を並べて比べる価値があります。逆に、合図が出ていても刷る量が少ないなら、安い機種を買ってたまに使うほうが、1 年縛りが無いぶん身軽です。

WindwsXPパソコン

サブスクという仕組みそのものについて、一つだけ考えたことがあります。プリンターは昔から「本体は安く、インクで回収する」商売だと言われてきました。ReadyPrint はその回収を月額に置き換えて、見える形にしたものです。損か得かより、毎月いくらかかるかが先に分かることに価値を感じる人向け、と言えるかもしれません。……と、経営の話に入りかけたのでここで止めます。家庭の判断は、さっきの割り算で足ります。

店長
店長
古いプリンターを手放すとき、ファクス付きの複合機は電話帳や送受信の履歴が本体に残っています。初期化してから手放す。これだけは忘れないでください。

よくある質問

エプソン ReadyPrintは途中で解約できますか?

解約はマイページからいつでもできますが、契約開始日から 1 年の最低利用期間内にやめると、解約金と事務手数料がかかります。解約金は「月額 ×(最低利用期間の月数 − 支払済みの月数)」で計算されます。解約後は 2 週間以内にプリンターと未使用のインクを返却する必要があります。

ReadyPrintの月額料金に用紙代は含まれますか?

用紙代は含まれません。月額に含まれるのは、プリンター本体の利用、プランの枚数までの印刷、インクとメンテナンスボックスの配送、通常の使い方での故障時の交換です。上限枚数を超えた分は、1 枚 11 円(50 枚プランは 22 円)の超過料金が翌月に請求されます。

10月29日発売のEP-889AはReadyPrintで使えますか?

発表時点では、EP-889A は ReadyPrint の対象として案内されていません。ReadyPrint で借りられるのは、EW-M638T をもとにした TEWM638T と、EW-M5610FT をもとにした TEWM5610FT の 2 機種です。EP-889A を使いたい場合は購入になります。

まとめ

エプソン ReadyPrint は、プリンター本体・インク・故障時の交換を月 1,100 円〜3,300 円にまとめたサブスクです。上限まで使い切れば 1 枚 5〜7 円台まで下がるプランもある一方、刷る量が少ないと 50 枚プランでも 1 枚 22 円以上になり、最低 1 年の縛りもあります。10 月 29 日に出る EP-889A や EW-M531F は、今のところ買って使う機種です。

決め手は、去年のインク代と月の枚数を出して割り算すること。50 枚プランが「プリンターを置いておく権利」の料金だと分かったうえで選ぶなら、それは納得のいく買い物です。プリンターの Wi-Fi 設定や、古い機種の初期化でつまずいたときは、ご来店か出張で一緒に見ます。

この記事を書いた人

ホンダ ヒデユキ

ホンダ ヒデユキ

北海道苫小牧市でパソコン修理店「ピシコ」を運営しています。 パソコン修理・データ復旧・自作PCサポートなど、現場での対応を続けながら、毎日テックブログを更新しています。 近年は、企業向けのAI導入や業務自動化の支援にも力を入れており、予約・見積・請求など、日々の業務を効率化する仕組みを実際に構築・運用しています。 「難しいことを、できるだけわかりやすく」を大切に、修理の現場やAI活用で得た知識を発信しています。